好きな人に

私は相手のことが好きであればあるほど近づきにくくなってしまう傾向にある。
近づきすぎて嫌われるのが恐いというか、
近づいてから好きになるパターンでさえたまにそうなっていってしまう時がある。本当に嫌われたくない。特に大好きな演劇人の方々には。

その傾向はしばらく封印されていたが、大学でサークルの皆と深く関わった上で嫌われたことにより数年ぶりに再発した。そもそも人間が素の己のまま100%受け入れられる場などなかなか無いので、多少なりとも取り繕う必要があるのは当たり前のことだ。
人との距離感なんて生きていく上で絶対気にしなくてはならないことなのに、私はそれを忘れて気づいたらゼロ距離で色々やらかしてしまいがちだ。居場所がなくなるのも自業自得。サークルとか関係なく、普通に暮らしてても変な人とか寄って来やすいし。

恐くなって、逆に距離を取りすぎることもある。
変わった価値観がバレないようにしたり、気持ち悪い喋り方が露呈しないよう無理やり口数を減らしたり、この人に会う時はこの系統の趣味の服装は見せられない、この人の価値観は古いから自分の考えは言うべきじゃないとか。それはそれで空回って嫌われ、全然加減が上手くいかない。
距離感を掴むのが苦手なのに、人一倍相手との距離感を考えなくてはならない人種なので困る。短所に限らず、知られると不利益を被りそうな個性が私には多すぎるように感じる。ある程度仲良くなったら去っていく人が多いので、なんか分かる。
そして、深く知られた上で嫌われるということは「お前は私にとって本当の本当に無理な相手です」と言われることと同義でありもう二度と挽回して仲良くしてもらうことができないという宣告でもある。

そうやって嫌われた後はひたすら距離を取られるか、意地悪されるかといった感じ。
誰かに対して「この人に特別に好かれたい」と思った時それを叶えるにはそれなりに私を知ってもらう必要があるんだろうなとは思うが、嫌われたくないのでなかなかできない。知ってもらわずに惹き付けることができるほどの高嶺の花でもない。100均の造花ほどの価値もない。


「特別」になれないのならせめて「特殊」でいれば少しは覚えててもらえるだろうか。「ちょっとクセ強いけどまあ悪い子ではない」くらいで。

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