中学イケてない芸人



この前録画して見たアメトーークのテーマは「中学イケてない芸人」だった。要は中学時代をいわゆるイケてない側、陰キャ、スクールカースト底辺付近で過ごしていた芸人さんが集まり、黒歴史や切なかった思い出を話すというものだ。で、当然様々な笑えるエピソードが飛び出すいつもの面白いアメトークで私のバイト前の食事の時間を愉快なものにしてもらおうと思った矢先、ご飯を食べながらどこか心から笑えない自分に気づいた。テーマの時点で薄々勘づいてはいたのだが。

そう、私は何も人のことを言えないのだ。

言うなれば共感性羞恥、どころか共感性の激痛、痛いほど分かるとかじゃなくてもう分かりすぎて痛いのだ。そんなわけでこの記事では入江がどんな中学生だったかぶち撒け散らかそうと思う。笑いたきゃ笑え…というか、むしろネタにして笑ってくれないと成仏もできない。

まず中学時代の私はシンプルにビジュアルが地味だった。ボブカットで前髪という概念は無く、眼鏡をかけていて肌荒れも酷かった。素材は同じなので別に今も全然地味顔だが、化粧やらなんやらを必死に研究して多少は人権を得ることができてきた。いや、周りが大人になっただけかもしれないけど。
オタク気質で喋るのは早いし、黙る時は逆に死ぬほど静かでその極端さも客観的に見て気持ち悪いものだったと思う。教室の隅で絵を描いたり本を読んだりしている、学年140人中20位くらいの微妙な学力をもつ陰キャの美術部員。そのくせ考え方が絶妙に尖ってもいたし、空気も読めなかったし、今思えば「変わった子」扱いされても仕方ないキャラだったと思う。授業中に謎の組織が教室を襲撃してくる妄想くらいなら誰でもしたことがあると思うが、私は窓からミサイルが突っ込んでくるところまで妄想して自分の妄想の中で突っ込んできたミサイルにびっくりして現実世界でもリアクションを取ってしまい近くの席の子から「!?!?」って反応をされる(当たり前)、そんな奴だった。なのでまあクラスの…どころか学年中の陽キャから目をつけられていた。まじでこちらが存在を認識していない、話したこともないパリピめな子からも。

クラスで席替えをすれば周囲の陽キャは途端に「えーまじか」「入江の隣(前)(後ろ)(同じ班)とか最悪ーお前代わってよw」「えーむりw」「もっかいくじ引きなおそー先生ー」の嵐だったし、合唱の時間なんか前列に座っていたらその時間いっぱい後列の陽キャから3人がかりで椅子を蹴られ続けた。言われのない噂を立てられることもザラだった。

ひとたび廊下を通れば男子からは「邪魔くせぇ」と足をひっかけられ、女子からは「キモ、ブス臭っ」と通せんぼされ、当時流行っていた王様ゲームの罰で私に告白させられる男子や面識もないのに突然話しかけてきて「顔キモイねw」と一言残して立ち去る女子も多かった。なんなら授業中に男子から「ブス」と叫ばれることもあった。逆に「入江さん今日も可愛いね!!!」と囃し立ててくる者も居た。
…あれ担任の授業だったよな、先生何してたんだ?

小学校から一緒に登下校していた友達は他の子から「なんで入江なんかと学校来よんwww」と茶化され、疎遠になった。

こんな奴だったので友達が少ないのは言うまでもなく、しかし大学生になった今でも帰省する度に遊ぼうと声をかけてくれる友達はゼロではないのでその猛者達にはもう本当に感謝している。あとは、その歴史を自分が繰り返さないことを願うばかりだ。


中学の卒アルより
人権のない美術部JCの模範解答的ビジュアルだと
自負している

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