ピアス

今まで一度も開けたことがなかったのに、大学生最後の年の就職先も決まったこの時期に突然ピアスを5個開けた。

あるかっこいい演劇人の方が付けているのを去年冬あたりに見てからずっと憧れはあったものの、なかなか恐くて手が出せなかった。今月になって突如踏み切ったこれは極めて衝動的な行動だった。

言うなれば若気の至りだ。厳密に言うと何か若気の至りっぽいことがしたかったのだ。入学年度が丁度コロナ直撃の年で色々できなかった上、真面目に育ってきたので「若いうちしかできない何か思い切ったことを楽しむ」ことを全然してこなかったのに今更気づいて寂しくなったのだ。よく考えたらピアスなんていつでも開けられるんだけど。


めちゃくちゃ手描きで
ストゼロの缶バッジ作ったから見てほしい


そんなしょうもない理由で1番神経のとち狂った後輩(褒めてる)を呼び出し、ニードルで耳たぶに開けてもらった。突然の召喚に不思議がってはいたものの、大抵のことには動じない後輩はトータル20分ちょっとでなんの容赦もなく2個上の先輩の耳に5回もステンレスの針を刺してくれた。私が恐がらないよう関係ない話で気を逸らしながらやってくれたところに根の優しさを感じる。人並みには出血したが、無事にファーストピアスを付けることもできた。背徳感と謎の達成感を得るとともに、後輩が金欠で最近食事が摂れていなかったというので謝礼として食料を贈呈した。

その後の生活に特に支障は無く、児童福祉のバイトの時だけテープで隠しつつ普通に暮らせている。私には外でアクセサリーを付けていないと落ち着かないという習性があるので、嫌でも外せないファーストピアスのおかげで付け忘れて出先で不安になることもなくなりむしろ快適だったりする。

今年の夏海に行った帰り
この数時間前に海でエグめのクラゲに刺され
片足だけこぶし大に腫れたまま花火をしている

開けてから気づいたが、これは自傷なのかもしれないとも思った。
ここ最近ストレスが酷く、自分を責めては自らを傷つけなくてはならないような気持ちに襲われる日が続いていた。
仮に衝動で露骨な自傷に走ったとして自分が傷だらけになるだけなら良いが、現時点で決まっている私の就職先は葬儀屋であり半袖の制服から見える腕に傷があっては自殺遺族への対応時に必要以上に辛い気持ちにさせてしまいかねない。現に面接の時点で社員の方々はその点を我々就活生に確認していた。
つまり、どうせ付けるなら付けても大丈夫な傷に留めたいという無意識による苦肉の策だったのかもしれない。ピアスじゃなかったらどうなってたんだろうか。王道リストカットか、それともお酒に走って急性アルコール中毒で倒れたんだろうか。知らない人にでもついて行ってしまったのだろうか。

このピアスは、今週8個に増える。

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