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理想の秋

雨が金木犀の甘い匂いを洗い流す。

六畳の部屋は、水色の光で柔く包まれている。秦基博の『水彩の月』をかける。

お湯を沸かし、ふたり分のコーヒー豆を挽く。
ペーパーフィルターに少しずつ湯を注ぐと、肌寒い朝に湯気が広がっていく。

布団をぎゅっと抱きしめている君の横顔に、おはよう、と声をかける。

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