見出し画像

【ドラマ】未生(ミセン)

弊記事をお読み頂いた方の記事を拝読して、ふと、あるTVドラマのことを
思い出しました。数ある韓国ドラマ中、私スピンの中での最高評価のドラマ『未生(ミセン)』をご紹介いたします。

『未生(ミセン)』とは、韓国の囲碁用語で、未だ陣地として確定していない状態の 石 (相手に攻められる状態) の集団 のことを指します。

ご存じではない方のために、先ずは囲碁の基本的なルールを簡単にご説明。

囲碁は、白黒それぞれの石を二人の対局者が持ち、縦横それぞれ19本の線が引かれた碁盤上の、線の「交点」に互いに自分の石を並べて自分の陣地を作っていき、同時に、相手の陣地を減らすために、互いに相手の陣をつぶそうと戦うゲームです。最後に相手の陣地と自分の陣地の目数を数え、その多い方が勝ちとなります。

線と線の交点を「目(モク)」と呼び、それぞれの陣地は、最低2目ない場合、相手に獲られてしまいます。
それだけではなく、2目ないと、その陣地につながった全ての石も獲られてしまい、獲られた石の数だけ、既に確保した自分の陣地を埋められてしまいます。2重に痛手を負う訳です。

さて、2目以上が確定している(相手が攻める手段がない状態)石とその陣地に繋がっている全ての石の状態を、韓国語では「完生(ワンセン)」 と呼び、
未だ2目以上が確定していない石の状態を「未生(ミセン)」と呼びます。

ご紹介するドラマの中では、この「未生(ミセン)」という言葉にて、
仕事に、組織に、役立っているかどうか判然としない中途半端な状態、
本来の目的を達成できていず、又は、目標すら定められていない状態、
そして、もちろん勝者にも成れていない状態、にある多くの人達のことを
暗示しています。

ドラマの主人公は、幼い頃からプロ棋士を目指していたチャン・グレ君。

プロの棋士への昇格を判定する勝負に勝つことができず、父親がこの世を
去ったことをきっかけに、棋士になる夢を諦め、20代中盤になっても、
自分が進むべき道を発見できず、アルバイト生活を続けている若者でした。

ある日、囲碁協会のコネで大手商社にインターンとして就職します。
が、履歴書上の学歴は、高卒どまり。もちろん、就職経験も、社会経験も、語学力もなくPCスキルすらない、チャン・グレ君は、所謂、落ちこぼれな
存在と、同期仲間からさげすまれ、配属された部署の上司達からは迷惑がられる存在でありました。

しかし、徐々に、囲碁で身につけていた洞察力や集中力を発揮し始め、
周囲の環境を見ながら次の手を選ぶ独特の判断力を発揮しながら、商社の
中の営業マンとして少しずつ力を伸ばすグレ君は、少しずつ、上司や先輩
社員たちに認められる存在に育っていきます。

時は2014年頃。

パワハラ・セクハラ・横領・着服・時間外労働などなど、何でもありのグチャグチャな企業内で育っていく若者たち。
彼らを叱咤、時折、激励しながら一人前に育てようとする先輩・上司たち。

主人公チャン・グレ君だけが「未生(ミセン)」なのではなく、先輩社員や
上司達も、そして組織自体も、未だ「完生(ワンセン)」ではないことを
暗に示しながらも、互いを助けあいながら成長することに懸命となる姿を
描く、感動的なドラマです。

会社や組織に所属したことがある方ならば、仲間とチームワークを育みながら目標を実現しようとしたことがある方ならば、男女を問わず、必ずや、
ドラマの中で同様の経験をする登場人物たちに共感なさり、ご自身の体験を見直して行かれることでありましょう。

予め申し上げますが、

① 韓国ドラマ的、男女のロマンスは全く無しです。
  その点は期待なさらないでくださいネ。

② 1回が約1時間半で第20話まであります。約3年に渉る時間を描く、
  長ーいドラマ。
  ですが、きっとアッと言う間に、最終回まで見終わってしまわれること
  でしょう  (o^―^o)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?