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ツマグロヒョウモンという蝶を育てる(1)

この蝶の名前をご存知でしょうか?これは「ツマグロヒョウモン」の雌です。

優雅な薄茶色ベースの上に、孔雀の尾羽のような紋様が とても綺麗な蝶。南方からの外来種らしく、そのせいか冬も暖かいところでないと見かけません。日本の北限は三浦半島あたりとのこと。

この蝶の雌雄のつがいが、春先に庭の花々の上を優雅にひらひらと飛ぶ様子は、モーツアルトのフルート協奏曲によく似合います。

私スピンは毎年、春さきから秋口まで、この蝶を、幼虫からサナギとなり成蝶となって飛び立つまで、育てています。上に添付したものも今春旅立った蝶の映像です。

この蝶、スミレ科の葉のみを食べて育ちます。
春先の庭にスミレ科の一年草のパンジーを沢山植えておくと、飛来した雌が卵を産み付け、卵から孵った幼虫はその葉を食べて大きくなります。
ただパンジーは一年草で、6月も中旬を過ぎるころには太陽の光に負けて枯れていきます。
巣立った成蝶たちが帰ってきて、どんどん卵を産み付け、どんどんとパンジーの葉はなくなり、いよいよ、食べるものがなくなった幼虫達が庭中をウロウロする羽目になります。

さような食糧難は起こさぬよう、私スピンは周囲の山や庭などから移植してきたスミレを所狭しと育てており、パンジーが枯れてしまった後は、幼虫達はこれを食べて育ちます。(それ故スピンは毎日のようにスミレを探してアチコチ歩き廻っております💦)

卵から孵った幼虫は約5mmほどですが、約10日ほどで体長5~6cm程の
黒字に赤い突起を備えた、見るからにおどろおどろしい姿に成長します。
まるで緋縅(ひおどし)の鎧を着ているかのようです。(こちらのリンクを開くと幼虫の姿が判ります。虫が嫌いな方は、くれぐれもご注意ください)

見るからに毒毛虫という姿でお世辞にも美しいとはいえません。
が、実は全く毒もなく、敵から攻撃されたりすると単にくるっと丸まって、気絶したように固まることしかできない、か弱い幼虫です。
どうぞ皆さん、パンジーの葉陰に見つけたときは、除虫剤をまいたりなさらず、足で踏みつけたりなさらず、そっと見守ってあげてくださいませ。

この幼虫、他の蝶の幼虫とは違って、さなぎになるときに、逆立ちします。普通の蝶は、頭を上にしてぶらさがりますが、こいつは、おしりを壁にくっつけて宙ぶらりんになるのです。面白くて可愛い奴です。

その、ぶら下がった日の数日後、赤と黒の表皮を、身体をくねくねと動かして脱ぎ捨て、金色の斑点の付いた枯葉色のサナギ姿に変身し、その約1週間後の早朝、美しく変身した成蝶が姿を現します。

まだ涼しい夏の朝、さなぎから抜け出て、華麗なツマグロヒョウモンに生まれ変わり、我が家の庭で陽の光を浴びて飛び立つ準備をしている姿を見ていると、スミレ集めの苦労も飛び去るのです。


ツマグロヒョウモンという蝶を育てる(2)」へ続きます。


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