田舎暮らしの話(田んぼと水の話)

雑然とした話を書く。

私は熊本県の田舎(標高500mくらいのとこ)に住んでいます。

我が家には小さいながらも田んぼがある。

平地にあるような大規模な田んぼではなく、『中山間地域』と呼ばれる、山間の棚田みたいなところで作っています。

山間にある……ということで、田んぼに入れる水は、山の間を流れる川の水を『井手』という水路に取り込んでいる。

平地に比べると水の取り合いみたいな殺伐とした争いは少ないのだけど、山の合間を通っている井手の管理が大変。

山林の間を走る水路を上流まで登り、草を刈りながら、下まで戻ってくる。

どの地域でも同じだと思うけれど、田舎での高齢化は著しく、草刈りするメンバーもみな高齢。最年少が45歳の私というのが泣ける。

昔は参加する人が多かったから、作業時間も少なかったのだけど、人が減れば必然的に作業時間が増える。

また、山の中を通っている水路なので、イノシシなどの獣によって土や石が水路に落ちたり、木が倒れたりして、それを除去する作業が意外としんどい。事務作業しかしてない太ったオッサンこと私には何しろしんどい。

さて、ここまでは前振りだ。

実は先日、井手の草刈りがあった。

草刈りの途中で水路の脇に土のうが積んであったので『こんな山奥に誰が積んだのかな?』と思っていたら、一緒に作業していたおじさんがこう言った。

「雨の影響で水が溢れて水路両脇の土がえぐれていたから土のうを積んだ」

『なるほど、雨が降ったら井手に流れる水量も増えるもんなぁ……』と思ったが、どうやらそう簡単な話でも無かった。


ここ数年、梅雨の時期に大雨が続いている。

雨が降ると山がある程度保水してくれるけれど、地面に吸収されなかった大量の雨水は山の斜面を流れ落ちる。

その流れ落ちた水が水路に入り、水路の水があふれ、水路の下の土を削っていくようだ。

それだけなら『ま、そんなこともあるよね』という話で聞き流しがちだけど、私が住んでいる場所は土壌的には火山灰土と呼ばれるものらしく、雨が多いと地すべりが起きる恐れがあると、そのおじさんは言った。

民家のない場所なら良いのだけど、土のう置いていた場所の下には民家が数件ある。

あふれないように対策をしなければ、下にある家の人たちヤバイということで、今回の草刈り時にそのえぐれていた部分をどうするか……という対策の話になった。パイプを通したり、水路のかさ上げ対策する予定。


『これ、山や田んぼの管理をしている人がいなかったら、災害につながっているだろうな……』と思う半面、『今後、この維持管理を何年できるのだろうか?』という不安もある。

私より上の世代の家では、後継者が戻ってきていない世帯が数件ある。

今は10人くらい居るけど、10年後に高齢の方が亡くなったら井手の管理をする人が5人くらいになりそうで地味にヤバイ。地味にどころかマジでやばい。

おそらく田んぼを作らない世帯が一気に増えると思う。

そうなった場合、田んぼを作らない=井手に水を流さない=井手から水があふれることは無い……かもしれない。

ただ、田んぼがあることで、保水し、川の反乱が防がれているという面もある。

つまり、中山間地で田んぼを作る世帯が減る→川の水が一気に増える→下流では水害発生という流れが今後ますます増えそうな予感がする。

恐怖しか無い。



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