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2024年ACLE中国クラブ紹介:上海海港

  6月末頃、YouTubeでサッカー観戦のライブ配信をしているあるVTuberに、アジアチャンピオンズリーグ・エリート(以下ACLE)に出場する中国の3つのクラブについて情報を整理し、紹介文を書くことを約束しました。中国リーグやクラブに関する日本語の資料は、2019年ぐらいで止まっているものが多く、こうした情報の更新が必要だと感じました。たとえ、それがただ中国語や英語の情報を日本語に翻訳するだけであったとしても。
  9月の試験が近づいているプレッシャーもあり、作業は途切れ途切れになっていましたが、最近の1週間でやっと十分な時間を割くことができました。そして昨日、中国サッカー関連の日本語コンテンツをずっと作っているあるXアカウントが、中国クラブの情報を更新するかどうかの投票を行っているのを目にしました。内容がかぶってしまうかもしれませんが、ここまで書いたので発表するつもりです。仕事を奪ったとは思わないでくれることを願っています;;ごめん;;

  こちらは昨年の中国スーパー(中超)リーグチャンピオン、上海海港編です。以下の注意事項をお読みの上、記事を続けてご覧ください。残りの2チームについては、第1戦と第2戦の間に書き上げて公開する予定です。そして浙江FCについては、ACL2のグループステージで日本のクラブと対戦しないため、ノックアウトステージに進出してからかも。

①私の日本語レベルがあまり良くないため、この記事はChatGPTによって日本語が修正されています。そのため、一部の文がやや書面語的に感じられるかもしれません。また、すべての文法や語彙の誤りが訂正されているとは限らないので、もしそのような問題があれば申し訳ありませんが、ご指摘いただければ幸いです。
②帰化選手やウイグル族選手の名前は主に漢字を使用します。帰化選手については、紹介する際に元の名前も注記します。ウイグル族選手については……正直なところ、どのようにカタカナで音訳するか分からないので、漢字のままにしておきます。
③本記事は公式な作品ではなく、単なる資料整理です。この記事の内容を自由に使用したり、共有したりしていただけると、大変ありがたく思います。
④記事が長く、写真も多いので、読み込みが遅かったらごめんなさい;;

それでは、スタート!


1.クラブ歴史紹介

  2000年5月16日、元中国代表選手(1966-1975)および元代表監督(1992-1993)の徐根宝が「根宝サッカー基地」を設立し、1988年から1991年に生まれた96名の若手プレーヤーが、建設されたばかりの「根宝サッカー基地アリーナ」でトレーニングを受けることになった。
  当初、プロクラブを設立するつもりはなかった。しかし、基地の若者たちが成長するにつれて、中国にはユースサッカーの試合が少ないことがわかり、徐は弟子たちがプロサッカーの試合経験を積むことができるように、サッカークラブを設立することに決めた。2005年12月25日、上海東亜クラブを設立し、徐が会長に就任。基地のフランス人ユースコーチ、クロード・ローウィッツを監督に任命した。
  中乙リーグ(3部)でのデビューシーズンから得た教訓と経験をもとに、若き上海東亜は2007シーズンに四川FCを破ってタイトルを獲得し、昇格を果たした。

2007年、中乙タイトル

  クラブが上のリーグに昇格したため、上海市金山区にある3万人収容の金山体育中心に移転し、2008年の中甲リーグ(2部)を6位で終えた。そして2009年、約60,000人収容の上海体育場を新たなホームスタジアムとして選んだ。2009シーズンを4位で終え、20歳以下の選手で構成され、外国人選手がいなかったチームとしてはかなりの偉業と見なされた。

2009年のアウェーユニフォーム(ミズノ)

  2010年のリーグ戦では、元中国代表(1992-2002)の范志毅が初めて監督を務め、マケドニア人のニコラ・カルチェフとハイチ人のファブリス・ノエルというクラブ史上初の外国人選手を獲得した。こうした新加入選手や新監督にもかかわらず、クラブは前シーズンの成績を上回ることができず、4位に終わった。昇格に失敗し、財政難に陥ったため、選手の確保ができなかった。2011シーズンを前に、先発選手のうち5人がクラブを去り、シーズン半ばには3人の外国人選手が退団し、9位という不本意な結果に終わった。

2010年、クラブ史上初の外国人選手

  2012シーズンの初めに、クラブは財政状況を改善するためにトップチームの名前をスポンサーに売却。その後、5人の外国人選手枠をすべて満たし、ついに「上海特萊士」という名義で中甲リーグ優勝と昇格を果たした。2012年12月28日、上海東亜クラブはSIPG(上海国際港務集団、略称「上港集団」)と4000万元のスポンサー契約を結び、トップチームの名称を上海上港に変更した。2013年1月7日、3部の上海中邦を正式に買収した。1993年から1994年に生まれ、「根宝サッカー基地」を卒業した前中邦の選手たちのほとんどは徐の下に引き戻され、上海東亜のリザーブチームとなった。

2012年、SIPGとスポンサー契約

  トップリーグでのデビューシーズンでは、元代表監督(2009-2011)の高洪波をヘッドコーチとして迎え入れ、クラブを9位に導いた。高は2013年12月にチームを去り、2014シーズンはアシスタントコーチの奚志康が監督に就任し、最終的に5位で終えた。2014年11月18日、上海港国際客運中心(上海港国際フェリーターミナル)で上海上港クラブの発足式が行われ、SIPGが上海東亜クラブの買収を完了したことが正式に発表された。それ以来、クラブは若手育成から成績追求へと完全に方向転換した。同日、新生クラブはすぐに元イングランド代表監督(2001-2006)スヴェン=ヨラン・エリクソンを新監督に任命した。

2014シーズン最終戦の徐根宝氏
2014年、全株買収
スヴェン=ヨラン・エリクソン監督就任
(ちなみに左のヤツは現在無期懲役中)

  チーム強化のためにダリオ・コンカ、キム・ジュヨンなどの8人の新戦力を獲得した。その中には、5000万元を投じた中国代表の于海も含まれており、これは中国人選手の移籍金として当時の最高記録となった。2015シーズンは上海上港の躍進を象徴していた。5月9日、上海緑地申花に5-0でダービー初勝利を飾った。夏の移籍市場でアル・アインからガーナ代表のアサモア・ギャンを獲得し、優勝に向けて強化を図った。しかし、第25節の広州恒大との直接対決で0-3で敗れ、その夢は潰えた。最終的には勝ち点65の2位で2015シーズンを終え、5連覇の王者広州恒大との勝ち点差はわずか2だった。クラブ史上初のAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得した。
  2016年冬の移籍市場で、広州恒大から元ACL&CSLゴールデンブーツ受賞者のエウケソン(2019年帰化し、艾克森)を1850万ユーロで獲得し、中国移籍市場の記録を塗り替えた。そして夏の移籍市場で、5600万ユーロを投じてブラジル代表FWフッキを獲得した。しかし、これほど大きな出費をしたにもかかわらず、クラブにとっては失敗のシーズンだった。リーグでは3位に終わり、国内カップ戦では4回戦で広州富力に敗れた。初のACLでは、ホームで0-0の引き分け、アウェイで0-5の惨敗を喫し、準々決勝でソウルFCに敗退した。シーズン終了後、エリクソン監督は彼の戦術的なプレースタイル、少ないローテーションと若手選手にチャンスを与えなかったことを大批判され、解任された。2016年11月4日、アンドレ・ビラス=ボアスが後任となった。

エリクソン時代の最高のハイライト:
ATでのFC東京への劇的な決勝ゴール(2016 ACL)。

  2017シーズン、チームは主力の枠組みを変えることなく、元ブラジル代表(2011-2015)オスカル、ウズベキスタン代表オディル・アフメドフ、元ポルトガル代表(2003-2016)リカルド・カルバーリョといった強力な外国人選手を投入し、3つの戦線でタイトルを争うというスローガンを掲げた。その結果、主なライバルである広州恒大の中心選手パウリーニョがラ・リーガの強豪バルセロナに引き抜かれ、上港は依然として広州恒大の支配を破ることができなかった。ACL準決勝で浦和に負け、国内カップ戦決勝でダービーライバルの上海緑地申花にアウェーゴールで敗れ、ビラス=ボアス監督は同国出身のヴィトール・ペレイラ監督に交代。
  この年の上海上港は、フィールド上でも試合外でも完全にアグレッシブなチームだった。オスカルに8試合の出場停止という極めて不可解な処分が下された後、チーム全体が中国サッカー協会への怒りで泥沼にはまった。これがシーズン後半にチームが崩壊し、ビラス=ボアス監督が中国リーグから去るきっかけとなった。

2017年のオスカル

  アンドレ・ビラス=ボアス時代のチームの守備の脆弱さは、ペレイラ時代に大きく改善された。2018シーズン、上海上港はこの年リーグ得点王に輝いた中国代表の武磊の勢いに乗り、中超リーグ(1部、=中国スーパーリーグ/CSL)初優勝を果たした。
  国内選手がゴールデンブーツに輝くのは、2007年の山東魯能泰山の李金羽以来となる。特筆すべきは8月11日のホームでの上海申花戦で2-0の勝利を収め、武磊が中国スーパーリーグ通算89ゴール目を挙げ、元山東魯能の韓鵬を上回りリーグ新記録を樹立したことだ。

2018年、広州恒大の連覇を阻止し、初のCSL優勝
リーグ優勝メンバーと徐根宝

  しかし、武磊が2019年1月28日にRCDエスパニョールに移籍した後、ペレイラは2018年の成功を再現するのが難しい状況に立たされた。2019シーズンの夏の移籍市場で、エウケソンは主に帰化のために広州恒大に戻り、オーストリア代表のマルコ・アルナウトヴィッチが彼の代わりとなった。チームの調子も移籍市場が終わってから急降下した。
  2019シーズンをトロフィーなしで終えたペレイラ監督は、翌年にはロッカールーム内の不和で大打撃を受けた。複数のメディアが、アルナウトヴィッチとフッキの2人がペレイラに反旗を翻したという噂を伝えている。2020シーズン終了後、ヴィトール・ペレイラ監督は契約満了に伴い上海を去った。

一方、バルセロナ戦で同点ゴールを決めた武磊

  2020年12月14日、中国サッカー協会は、プロチームの名称に持ち株会社の名称を含めることはできないという新たなガイドラインを発表した。その後、上海上港は2021年1月12日に「上海海港」に名称を変更し、上港集団(SIPG)の部分を取り除いた。上海海港は、2021年と2022年にコロナ禍と不動産バブルの崩壊によって中国リーグから外国人選手が大量に流出しても深刻な影響を受けなかった。
  だが、元クロアチア代表(1999-2006)のイヴァン・レコ監督がチームを率いた二つの中立地開催のシーズンでは、チームのパフォーマンスはファンにとって満足のいくものではなかった。レコ監督の3バックシステムは、2021年シーズンのリーグ戦と国内カップ戦の両方で準優勝に終わったことで、サポーターの間で議論が巻き起こった。そして、この賛否両論の意見は、2022年シーズンのチームの低成績によって、完全に非難へと変わった。
  この2年で数少ない良いニュースは、2022年夏にRCDエスパニョールから武磊を買い戻し、同じ移籍市場で彼のチームメイトである元アルゼンチン代表(2018)バルガスがチームに合流したことである。

コロナの影響で2軍が派遣された2021ACLプレーオフ
スタメンの中に背番号が一桁の選手は一人もいません

  ゼロコロナ政策が2022年末に終了し、中国リーグは2023年からホーム&アウェイ方式を再開した。元河南監督(2020-2021)のハビエル・ペレイラが2023シーズン開幕寸前に新監督に任命された。2023年はクラブにとってビタースイートなシーズンであった。SIPGの投資不足にもかかわらず、広州降格後クラブの主敵である山東泰山はシーズン前半に八百長と贈収賄騒動に巻き込まれ、捜査を受け郝偉監督と多くの主力選手が逮捕された。シーズン前半は好調だった上海申花も夏には再びタイトル争いから脱落。
  ローテーション不足によるスタメンの疲労問題は、蒸し暑い8月の上海で一気に表面化した。リーグ戦2節連続未勝利の後、ホームでBGパトゥム・ユナイテッドFCに2-3で敗れ、AFCチャンピオンズリーグプレーオフに敗退。コロナ時期を除けば、中国クラブがACLの予選ステージで敗退したのは2度目で、それ以前にはダービーライバルである上海申花が2017年にオーストラリアのブリスベン・ロアーFCに敗れたことがあるだけ。

信じがたい……

  このような屈辱的な敗戦はサポーターの怒りを爆発させ、球団史上2度目となる中超リーグタイトルをかろうじて手中に収めたものの、クラブはハビエル監督との契約更新を見送った。最終的に、ミルウォールFCなどのヨーロッパのクラブを抑えて、前横浜監督(2021-2023)のケビン・マスカットと監督契約を結んだ。

両チームに合計5枚のレッドが出されたドローの末、
2023年スーパーリーグのタイトルを獲得

2.ホーム

ホームタウン:上海市

  中国東南沿海部の江蘇省・浙江省に隣接し、長江河口と杭州湾に南北を挟まれ、東シナ海に突き出す長江デルタに位置する。改革開放政策以降、中国の経済発展の象徴として高い経済成長を続け、商業・工業・金融・貿易・交通などの中心地である。古名は「申」であり、「上海」は宋代の『宋会要輯稿』に初めて記録されている。1842年の南京条約で条約港となってから飛躍的な発展を遂げ、戦間期には第一次黄金期を迎えた。第二次世界大戦の勃発前後は著しく停滞し、改革開放後に再び中国経済の中心となった。そのため、上海の建物は、伝統的な中国様式、アール・デコ、現代的な超高層ビルという3つの異なるスタイルの交錯が特徴となっている。

おそらく上海で最も有名な景色
上海ディズニー
「松鼠鱖魚」/「松鼠桂魚」
蘇州料理なんだけど、上海も有名
チュウゴクモクズガニ(「上海蟹」)

ホームスタジアム:浦東足球場(最大収容37,000)

浦東足球場

  HPP Architektenの建設計画に基づき、2018年4月着工。SIPG(上海国際港務集団)、SAIC(上海汽車集団)、上海久事集団がプロジェクトに参加。中国が2023年アジアカップの開催招致に成功した暁には、決勝戦を開催するプログラムに入っている。2020年、建築構造部分が完成。2020年10月には2020 League of Legends World Championshipの決勝戦が開催された。その後、ピッチの土部分と芝部分の工事が始まり、最終的な全面竣工は2021年11月。スタジアムの白い金属製の外観デザインは、中国の磁器の器を連想させるものを基調としている。2023年、ゼロコロナ政策の終了と中国リーグにホーム&アウェイ方式の復活に伴い、上海海港の新たなホームスタジアムとなる。

2020 LoL Worlds 決勝戦
2024シーズンCSL 開幕式

  小さな敷地面積で計画されていることと、新鋭チームとして上海のサポーター基盤がそれほど大きくないことから、収容人数はわずか約3万人。一方、専スタなので、座席の1列目はピッチから10メートルも離れていない。つまり安い席でも素晴らしい観戦体験ができる。特筆すべきは、ホームロッカーがエティハド・スタジアムと同様の円形構造になっていることで、中国のスタジアムでは初めて採用された。

ホームロッカールーム

  ただし、上海中心部からもディズニーランドからもかなり離れた辺鄙な場所に位置しているため、周りにはショッピングエリアやレストランがあまりない。スタジアムの商業エリアには卓球やスカッシュなど他のスポーツもいくつかあるが、全体的に商業的な趣に欠けている。

周囲にあまりビジネスがないな……

3.過去戦績

(はっきり見えない場合は、画像を拡大表示してください)

4.コーチングスタッフ

コーチ陣

監督:ケヴィン・マスカット(オーストラリア / マルタ)

2023年12月、就任発表

  1973年イングランドのクローリー生まれ。オーストラリアのクラブのユース出身で、現役時代はイングランドとスコットランドで10年近くを過ごした。選手時代は、暴力的な行為やラフプレーで悪名高く、現役通算でイエロー123枚、レッド12枚。1994年から2006年までオーストラリア代表として46試合に出場し、10ゴールを挙げた。

プレイヤー時代(ウルヴス時期)

  今季就任以来、圧倒的な攻撃力でチームを率いてきた。チームは1試合平均約3ゴールという驚異的な得点力を見せ、ライバルである上海申花とはまったく異なるアプローチを反映している。もちろん、ハイプレスのプレースタイルはアジアの舞台ではまだ広く浸透していない。恐らく彼が中国で成功している理由の一つは、中国リーグがまだコロナ禍と財政バブルの崩壊から完全には立ち直っておらず、チーム全体のレベルが依然として回復していないことにある。しかし、彼のこのプレースタイルは海港のファンから絶賛されている。

何回も月間最優秀コーチを受賞しているようです

  海港のサポーターは常にビラス=ボアス時代の攻撃的なサッカーを懐かしんでいる。そして今、マスカットの就任によって、そのアグレッシブなスタイルが復活したように感じられる。しかし、昨シーズンに比べ、今シーズンは強力な優勝候補相手が現れ、激しい優勝争いが続いている。2017年当時、ビラス=ボアス監督率いるチームは3つのトロフィーを全て獲得できなかった。マスカット監督は満足のいく結果を残せるか?

アシスタントコーチ陣

コーチ:ロス・アロイージ(オーストラリア / イタリア)
コーチ:ヴィンチェンツォ・イエラルド(オーストラリア / イタリア)
GKコーチ:イアン・ウォーカー(イングランド)
ビデオアナリスト:何俊超(中国)

横浜FMサポーターにはよく知られたアロイージ

5.シーズン状況(不定期更新)

(はっきり見えない場合は、画像を拡大表示してください)

  全体的に見れば、9月までは国内の両トロフィー戦線で優勝争いに加わっていた。しかし、今年はリーグ内のどのクラブも敵わない絶対的な上海2強体制となり、両チームは9月のCFAカップで今季4度目の上海ダービーを戦おうとしている。しかし、マスカット監督率いる海港は、直接対決で1分2敗という戦績を残している……

6.ACLE選手紹介(9/15;不定期更新)

ゴールキーパー

#1 顔駿凌 Yan Junling 1991.1.28 上海市出身 GK
中国代表57試合69失点 今季28試合25失点

  2001年に「根宝サッカー基地」に加入し、2007年にトップチームに昇格。2011年初頭に顧超が杭州緑城に移籍すると、この13年間不動の正GKとなった。昨シーズンにはクラブ通算400試合出場を達成し、来シーズンには500試合出場を目指している。
  2018 FIFAワールドカップの出場権を逃した後、マルチェロ・リッピ代表監督は彼を曾誠の後任として代表正GKに据えることを決めた。2024年3月までは代表スタメンだったが、2026 FIFAワールドカップ予選でシンガポールとアウェイで引き分けた後、王大雷が彼に取って代わった。
  アジア人GKとしては優れた身体能力を持ち、反射神経も速い。スタイルはロングパスなどの攻撃にはあまり関与せず、ゴールラインでの技術を重視する伝統的なGKである。


#12 陳威 Chen Wei 1998.2.14 江西省景徳鎮市出身 GK
今季1試合0失点

  両親はともに江西省上饒市の出身だが、彼は「陶磁器の都」として知られる景徳鎮市で生まれ育った。2005年に景徳鎮でサッカーを始め、最初はストライカーだった。それから4年後、上海に渡り、「根宝サッカー基地」でトライアルを受けた。ストライカーとしてのトライアルには落ちたが、基地のユースコーチにGKへの転向を勧められ、プロクラブのユーストレーニングを受けるためにそこに残った。
  2017年にはトップチームに昇格し、同年9月のAFCチャンピオンズリーグ準決勝1stレグで顔駿凌の出場停止によりプロデビューを果たした。その試合で、ホームで浦和レッドダイヤモンズと1-1で引き分けた。その後は顔駿凌の代役としてチームに残り、カップ戦では先発出場することもあった。


#25 杜佳 Du Jia 1993.5.1 天津市出身 GK

  2014年に地元クラブ天津泰達のユースチームからトップチームに昇格し、翌年には元中国代表(2007-2009)の宗磊に代わって先発GKを務めた。2020シーズン終了まで天津でプレー。その後、天津の財政難と解散危機の噂を受け、2021シーズン開幕寸前に緊急的に第3GKとして上海海港に移籍した。
  GKという特殊なポジションで全体3番手として、活躍の余地がほとんどないのは明らかで、ここまでの3年半で出場したのはわずか1試合だけである。


ディフェンダー

#2 李昂 Li Ang 1993.9.15 江蘇省徐州市出身 CB/DM
中国代表8試合0得点 今季14試合1得点

  漢朝を創始した太祖劉邦の出身地であり、明朝を創始した太祖朱元璋の祖籍のある江蘇省徐州市沛県で生まれた。ユース時代は江蘇省FAユース育成チームに所属し、2011年と2012年の中乙リーグでプレーした。当時江蘇舜天の監督だったドラガン・オクカに認められ、U19チームにスカウトされ、2014年にトップチームに昇格。その後、江蘇の解散までプレーし、2021年に上海海港に移籍。
  上海海港での最初の3シーズンは準スタメンだったが、今シーズンからは徐々に代役としてローテーションの一角を占めるようになった。最近の試合ではほとんど出場機会を与えられていない。ACLEが開幕すれば多少なりともリーグ先発出場があるかも。
  ロングフィードが得意で、フリーキックからのシュートも上手い。しかし、スピードが極端に遅いため、プレースタイル通り攻撃に参加し始めると、カウンターを受ける可能性が高くなる。


#3 蔣光太 / ティアス・ブラウニング Jiang Guangtai / Tyias Browning
1994.5.27 イングランド・リヴァプール出身 CB/RB/SW
中国代表30試合1得点 今季25試合1得点

  2004年、10歳で地元のエヴァートンのユースチームに入団。エヴァートンでプレーしていた頃は、あまり出場機会に恵まれず、下部リーグのチームにレンタルされたこともありました。この間、イングランドの年代別代表にも選ばれました。2019年、広州恒大は血縁帰化の可能性があるターゲットとしてエヴァートンから彼を獲得。同年に中国国籍を取得し、2021年に中国代表デビューを果たしました。2022年、広州恒大が親会社の不動産バブル崩壊による財政危機に直面したため、上海海港に移籍しました。
  間違いなく最高の帰化選手。ブラジルからの帰化選手に比べてかなり若く、2030年のW杯予選でバックラインのリーダーとしての役割が期待されている。最近はやや調子を落としているが、チームと代表のスタメンとなる絶対的な実力は依然として備えている。
  フィジカル、クリア能力、カバーリング意識が高いディフェンダーとして知られているが、果敢なタックルが必要な場面では少し伸び悩む傾向がある。
  もともと予定されていた中国語名は「蔣光泰」だったが、「泰」が書きにくいという理由で、同音の「太」に変更された。


#4 王燊超 Wang Shenchao 1989.2.8 上海市出身 LB/RB/CB
中国代表21試合0得点 今季28試合3得点

  2000年に「根宝サッカー基地」に入り、2006年にトップチームに昇格したクラブ創設期の選手の一人。長年にわたり副キャプテンを務めている長年の副キャプテン。2011年シーズン終了後、上海申鑫への移籍が噂されたが、クラブに残ることを決めた。2018年5月26日、ミャンマーとの国際親善試合で靴下からネックレスを取り出し身につけているところをカメラに撮られた。そのため、代表チームから1年間の追放処分を受けた。
  クラブ創設時からチームに在籍するベテランで、バックラインのどのポジションでもプレーできる。シーズン序盤は代役を務めていたが、6月に王振澳が負傷したことで、再び先発右サイドバックの座を取り戻した。堅実な守備に加え、ヘディングも得意で、チームのコーナーキック戦術における得点手段の一つとなっている。


#5 張琳芃 Zhang Linpeng 1989.5.9 山東省済南市出身 RB/CB/RM
中国代表105試合6得点 今季15試合1得点

  2001年に広東省の育成型クラブから「根宝サッカー基地」に入り、2006年に上海東亜の創設メンバーとなった。2010年末、広州恒大に昇格したばかりのクラブが恒大集団から資本注入を受け、彼は広州恒大に移籍。広州恒大の黄金期を支えた中心選手の一人となった。広州恒大で2度のAFCチャンピオンズリーグ制覇と8度の中国スーパーリーグ優勝を果たした後、2022年初頭、広州恒大が崩壊の危機の中で、上海海港に復帰した。
  アグレッシブなディフェンダーとして知られ、タックル能力と空中戦の強さで評価されている。その風貌やプレースタイルがセルヒオ・ラモスに似ていることから、「ジャンモス」の愛称で親しまれている。
  年齢とともに身体能力が多少衰えてきたが、クラブでは長年にわたりローテーションで先発出場し、交代要員としても貢献している。今年3月のシンガポールとのアウェー戦でミスを犯し、同点ゴールを許したことをきっかけに、代表引退を表明。しかし、中国選手が代表引退を表明することは珍しく、すぐにその発表を謝罪したが、代表監督のイヴァンコヴィッチは彼を再び代表に起用しない意向を示し、引退を容認した。
  タトゥーがとても好き。徐根宝コーチにこっそりタトゥーを入れていることがばれるのを恐れたため、ユース時代にはほぼ1年間トレーニングのときは長袖を着ていた。
  回族なのでムスリムである。


#13 魏震 Wei Zhen 1997.2.12 安徽省六安市出身 CB/SW/DM
中国代表2試合0得点 今季17試合0得点

  2014年11月、上海上港が育成クラブ上海幸運星のユースチームを丸ごと買収した際、上港のリザーブチームに加入。2016年シーズン途中にトップチームに昇格し、2017年にシニアデビューを果たした。2019年頃からスタメンに定着し、リーグ戦での活躍が評価され、2023年に代表デビューを飾った。今シーズン開幕当初はベテランの張琳芃にスタメンの座を奪われたが、5月から先発に復帰した。
  身長も身体能力もセンターバックとしては平均的とは言えず、特にヘディングの競り合いが最大の弱点である。一方で、タックルとパスの精度は高い。彼の守備を突破するにはクロスやヘディング攻撃を活用するのが有効かもしれない。
  昨年は守備的ミッドフィルダーとして起用された時期もあったが、今年初めに2人の外国人守備的ミッドフィルダーが加入したため、センターバックに復帰した。
  ちなみに、キャリア通算で4枚のレッドカードのうち、半分はダービー戦で受けている。


#19 王振澳 Wang Zhen’ao 1999.8.10 湖北省武漢市出身 RB/LB/RW
中国代表1試合0得点 今季15試合0得点

  2012年に北京万達に入団し、万達集団関連のクラブであるアトレティコ・マドリードにユース育成のためレンタル移籍した。2017年夏、万達集団傘下の大連一方とのプロ契約を拒否。これに対して万達集団は彼が契約違反をしたと主張し、賠償を求めて訴訟を起こした。彼の代理人に対する世間の悪評もあり、当時の世論は万達集団に有利な傾向があった。
  代わりに2018年、デンマークのヴェイレBKに加入し、その後シニアチームに昇格。2018年11月23日のオールボーBK戦でプロデビューを果たした。2020年、万達集団との法的紛争を解決するための手段として、大連一方への移籍を選択した。2023シーズン終了後にクラブが解散すると、上海海港に移籍した。
  シーズン前半は右サイドバックとして安定して先発出場し、優れたパフォーマンスで代表デビューも果たした。しかし、重傷ではないはずの太ももの負傷により6月以降離脱しており、サポーターの間でさまざまな噂が飛び交っている。最近の中国サッカー界では八百長騒動が次々と発覚しているため、ファンが心配するのも無理はないでしょう。
  非常に真面目で、不屈の精神を持って試合に臨む選手である。守備よりも攻撃の組み立てに優れており、スプリント回数が非常に多いため、フィットネスが課題になることも多い。彼の早期復帰とチームへの貢献が期待されている。


#23 傅歓 Fu Huan 1993.7.12 上海市出身 RB/LB/CB
中国代表5試合0得点 今季9試合0得点

  上海で生まれ、2005年7月に「根宝サッカー基地」に加入。2011年、上海東亜のトップチームに昇格。中国リーグの黄金期には素晴らしいパフォーマンスを維持し、一時は代表にも選ばれたが、コロナ禍を境に調子が急激に低下した。レコ監督がチームを率いるようになってからはさらに王燊超にポジションを奪われ、2022年と2023年には2部リーグへのレンタル移籍を経験した。
  もともとはクラブから完全に見放されていた選手だったが、マスカット監督の指導の下、半シーズンで再び通用するレベルまで状態を回復させた。現在はバックラインの控え選手としてチームに貢献している。
  過去のプレースタイルは判断力とタックルに優れていたが、集中力の欠如が批判されることも多かった。マスカット監督の下でその点が改善されるかどうかは、今後のさらなる観察が必要だ。


#31 鮑世蒙 Bao Shimeng 2003.7.2 (U21枠) 河南省洛陽市出身 LB/RB/RM
今季10試合0得点

  昨年まで全く無名の育成チームの若手選手でしたが、冬季トレーニングでの優れたパフォーマンスが評価され、マスカット監督によってU21チームからトップチームに昇格しました。シーズン序盤には先発として出場し、プロデビューを果たしました。デビュー戦ではあまり良いパフォーマンスを見せられなかったものの、その後、チームがローテーションや休息を必要とする際に、マスカット監督によって数回ピッチに送り出されました。
  現時点では、リーグの相手に対してもやや力不足のように見えるため、ACLEの試合で多く出場することはあまり考えにくいです。しかし、試合の結果が既に決まっている場合、残りの十数分で経験を積むために出場する可能性もあるかもしれません。


#32 李帥 Li Shuai 1995.6.18 遼寧省瀋陽市出身 LB/LW/LM
中国代表2試合0得点 今季25試合0得点

  2014年に長春亜泰の育成チームからCDマフラにスカウトされ、彼らのユースチームに加入しました。2016年には、まだ中国甲級リーグ(中甲)に属していた大連一方によって中国に買い戻され、翌年チームの昇格に貢献しました。2021年夏、給与未払いの問題でチームと訴訟・仲裁手続きを進め、戦力外となりました。2022年夏に仲裁に勝ち自由契約を獲得し、その後上海海港に加入しました。当初はチームの選手層を厚くするための控え選手として迎えられましたが、昨年からは徐々に左サイドバックのレギュラー争いに加わるようになりました。
  かつては体力とスピードに優れているだけと評価されており、自陣でボールを奪ってからサイドライン沿いに相手ゴールラインまで走り込むものの、正確なクロスを送ることができないことが多かったです。しかし、上海海港に加入してからは大きく改善され、マスカット監督が就任後の高圧的な攻撃システムの中で、左サイドバックの主力としての地位を確立しました。
  最近同姓同名の別の選手がマッチフィックス贈収賄の疑いで逮捕された際、ネットメディアに写真を誤用されたこともあり、一部で物議を醸している。


ミッドフィールダー

#6 蔡慧康 Cai Huikang 1989.10.10 上海市出身 DM/CM
中国代表22試合0得点 今季4試合0得点

  2000年から徐根宝が設立したアカデミー「根宝サッカー基地」に所属し、2006年に上海東亜でプロデビューを果たした。それ以来、重要なメンバーとして活躍してきた。2011年には一度ベンチ入りしたが、広東日之泉への移籍が噂されたものの、最終的には残留を決断した。結果として、守備的MFとしてチームの不動のスタメンとなった。
  ラフなプレースタイルと豊富な運動量から、一時期「中国のガットゥーゾ」とも称された。しかし、年齢を重ねるにつれてプレーレベルは著しく低下し、出場機会もほとんどなくなった。現在は精神的支柱として、また緊急時の控え選手として起用されている。
  昨年、BGパトゥム・ユナイテッドFCに屈辱的な敗戦を喫した後、彼はWeChatに選手に背を向けて失望を示すファンたちを非難する文章を投稿し、「息子がその行動に当惑している」と述べた。また、彼は息子に「ファンたちはどの電球が切れているか確認しているのだろう」と説明したと書いている。当時、監督も選手もファンも不安定な状況にあり、この言葉は瞬く間にインターネット上で大きな反響を呼んだ。しかし、現在では彼がピッチでほとんど姿を見せなくなったことで、この「電球」は昨年の騒動の象徴から自嘲的なネットミームへと変わった。


#8 オスカル Oscar 1991.9.9 ブラジル・アメリカーナ出身 AM/CM/LW
ブラジル代表48試合12得点 今季27試合11得点

  スカウトに見いだされ、2004年に13歳でサンパウロに移籍。FIFA U-20ワールドカップ決勝でハットトリックを達成した史上初の選手となり、その1年後、2012年夏の移籍市場でチェルシーに移籍した。2014 FIFAワールドカップでは全試合にスタメン出場し、7月8日に行われた準決勝でドイツに7-1で敗れた試合で、ブラジルの唯一のゴールを90分に決めた。チェルシーでは209試合に出場し、その後、2017年に上海上港に当時のアジアクラブ史上最高額の移籍金で加入した。
  ロンドンから上海に来て8年目。欧州やブラジルのクラブへへの復帰が度々噂されたが、2度目の契約の最終年2024年まで上海海港に在籍。今シーズンはオフェンス戦術の司令塔として、ゴールとアシストの両方で二桁を記録。怪我がなければ、チームの中心としてオフェンスにおける絶対的なコアだと言える。もし本当に欠点を挙げるとすれば、ミッドフィルダーとして守備面がやや弱いことが指摘される。
  ここ数年、リーグにおける外国人選手の質が著しく低下している中で、彼は間違いなく中国リーグの主役となった。しかし、中国リーグに現在サラリーキャップが設けられていることだ。家族を養うために中国に来た彼が、上海に残るために減俸や契約延長に応じるのだろうか?


#16 徐新 Xu Xin 1994.4.19 遼寧省瀋陽市出身 CM/DM/AM
中国代表16試合1得点 今季26試合1得点

  2006年に天津泰達のユースアカデミーに入団。2010年、上海申花の仲介でアトレティコ・マドリードのユースチームに加入。その後、アトレティコ・マドリードのBチームとCチームでプレーし、2015年末に広州恒大と契約。2021年に山東泰山へ移籍するまで広州恒大で主に代役を務めた。山東泰山では準レギュラーとして1シーズンプレーした後、上海海港に移籍。
  2022年と2023年のシーズンは主に先発を務めていたが、今シーズンはベンチメンバーに戻っている。そして2011年の鄭智以来初めて、3つのクラブで中国スーパーリーグタイトルを獲得した選手となった(2016 2017 2019広州恒大、2021山東泰山、2023上海海港)。
  昨シーズンから守備面で大きく調子を落とし、現在は2人の外国人守備的ミッドフィルダーのバックアップとして起用されることが多い。


#18 レオ・シッタジーニ Léo Cittadini ブラジル・リオクラロ出身 CM/AM/DM
今季25試合3得点

  グアラニFCでプロデビューし、サントスFCやアトレチコ・パラナエンセで長年キャリアを積んだ。2023年夏の移籍市場ではECバイーアに加入したが、ハムストリングの負傷からの回復が遅れ、出場機会は限られていた。今シーズン開幕直前には買い取りオプション付きのレンタル契約で上海海港と契約している。
  攻撃的なプレースタイルの選手でありながら、守備的ミッドフィルダーとして本来の役割を果たす上でしばしば課題を抱えていた。しかし、チーム全体の守備システムが現在ではより精度を増し、安定した守備に加えて、時折ゴールやアシストを決めることができるようになっている。今シーズンはほぼフル出場しており、大きな怪我をした選手には見えないほどのパフォーマンスを発揮している。
  ブラジルで生まれ育ったが、AFCへの登録国籍はイタリアを選択した。まぁ、その外見には明らかにその血統が反映されており、独特のイタリア的な端正さが際立っている。


#20 楊世元 Yang Shiyuan 吉林省長春市出身 DM/CM/RB
今季8試合0得点

  「根宝サッカー基地」のメンバーで、2011年に上海中邦に入団し、中乙リーグでプロデビューを果たした。2012年末に上海中邦が買収されたことで、上海上港に復帰し、2014年にはトップチームに昇格した。守備的MFとして長くチームに在籍し、蔡慧康の後継者と見られていたが、2017年と2018年には下部リーグへレンタル移籍を経験している。
  朝鮮族で、スタミナが豊富で試合に対する献身的なプレーが特徴。しかし、優勝争いのレベルではフットワークが重く、相手の動きを予測する力が十分ではないため、タックル時にラフプレーが目立つことが多い。
  今シーズンは主にベンチメンバーとして待機することが多く、出場機会は限られている。


#22 マテウス・ジュッサ Matheus Jussa ブラジル・オザスコ出身 DM/CB/LB
今季26試合1得点

  2014年にポルトゥゲーザでプロデビュー。その後の10年間は主にブラジルリーグでプレーし、2022年夏の移籍市場でカタールに半年間レンタル移籍した経験があるのみ。
  新天地であるこのクラブにシーズン序盤から素早く順応したことで、マスカット監督の戦術展開も序盤からスムーズに進んだ。昨シーズンの守備的MFである蔡慧康と徐新をベンチに追いやり、スタメンの座を確保している。
  最大の強みはスタミナと怪我をしにくい体質。本人は攻守のバランスが取れたプレースタイルを好むと語っているが、ユース時代から守備的MFとしてプレーしてきたにもかかわらず、やはり攻撃のほうが得意なようだ。これはブラジルサッカーのスタイルや文化の影響ともいえるだろう。ただし、両方の守備的MFが攻撃に長けているため、マスカット監督のチームは守備がやや脆弱に見える傾向がある。


フォワード

#7 武磊 Wu Lei 1991.11.19 江蘇省南京市出身 RW/CF/LW
中国代表99試合36得点 今季28試合31得点

  南京で生まれ育ち、江蘇舜天のユースチームに参加したが、地元では選抜されなかった。2003年に小学校を卒業後、徐根宝が率いる「根宝サッカー基地」に入団。2006年には上海東亜に加入し、デビューを果たした。この時、14歳287日という記録で、中国リーグ史上最年少でのデビューを果たした。2018年8月11日の上海申花戦では先制点を決め、韓鵬の記録を抜いて、中国スーパーリーグ通算89得点で歴代最多得点者となった。
  2019年1月28日、RCDエスパニョールへの移籍が発表された。3年半の間に、ラ・リーガ初の得点、さらにヨーロッパリーグ本戦で中国人初の得点者となった。通算103試合に出場し、10ゴールを挙げた後、2022年夏に上海海港へ復帰。同じくRCDエスパニョールでチームメイトだったバルガスも上海海港に加入した。今年9月13日の深圳新鵬城との試合で、2019シーズンにエラン・ザハヴィが打ち立てたCSLシーズン29ゴールの記録に並びました。
  中国リーグ復帰後も高い得点力を維持しており、今シーズンもゴールデンブーツ獲得の有力候補である。年齢とともに身体能力は徐々に衰えているが、現在のリーグ戦ではフィジカルよりも経験を生かしてゴールを決めている。オフサイド回避やチップショットを得意としている。
  張琳芃と同じく回族。2006 FIFAワールドカップではプレイヤーズエスコートキッズを務めた。


#9 グスタヴォ Gustavo 1994.3.29 ブラジル・レジストロ出身 CF
今季25試合19得点

  キャリアの前半は母国ブラジルのリーグで過ごし、2020シーズン前に韓国の強豪チーム、全北現代モータースに移籍。韓国で4年間プレーした後、退団。当初は全北との契約満了に伴い、エジプトリーグへの移籍が噂されていたが、最終的には上海海港への加入が決まった。全北での最後の年に不振に陥ったため、多くのサポーターは彼の獲得に当初失望していた。また、ケガもチームに馴染むのをやや妨げた。
  調子の波はまだあるものの、5月以降、チームに良いパフォーマンスをもたらすようになった。現在、中国スーパーリーグではチームメイトの武磊に次いで2番目に得点数が多い選手となっている。
  中国リーグ最強のセンターフォワードではないかもしれないが、試合に対する真面目な姿勢と、チームの豪華な攻撃陣に支えられ、戦術的に非常に価値のあるプレーを展開している。また、得点機を見つけるのが得意な武磊のためにスペースを作る役割も果たしている。彼はマスカット監督のオフェンス戦術に完璧にフィットしていると言えるだろう。確かに、韓国リーグ出身の外国人選手は中国リーグでも常に通用しているようだね……


#10 マティアス・バルガス Matías Vargas 1997.5.8
アルゼンチン・サルタ出身 LW/AM/RW
アルゼンチン代表2試合0得点 今季27試合12得点

  2015年に母国アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるCAベレス・サルスフィエルドでプロデビューを果たし、翌年からはスタメンに定着し、アルゼンチン代表にも選出されたことがある。2019年にはRCDエスパニョールに加入したが、先発の地位を完全に確保することはできず、2021-22シーズンにはトルコのアダナ・デミルスポルにレンタルされた。
  RCDエスパニョールでは武磊と相性が良く、そのため2022年夏には武磊の復帰から2週間後に彼も上海海港に加入した。最近のインタビューで、RCDエスパニョールでの1年目に武磊に「中国に戻ったら、私を中国リーグに連れてくるのを忘れないで」と冗談を言ったと語った。その結果、RCDエスパニョールから放出され、トルコのクラブにレンタル移籍することになった2022年に、実際に中国への帰国を準備していた武磊が彼を本当に誘った。
  昨年はハビエル監督の信頼を得られず、多くの出場機会を失った。これが海港ファンが昨年のハビエル政権を批判する主な理由のひとつである。今季はマスカット監督の下で調子を取り戻し、前線の中心的な存在となった。
得点よりもチャンスを作る方が得意で、そのためにオスカルと戦術的な役割が多少重なることがある。マスカット監督の現在の解決策は、オスカルを純粋な中盤でのパスワーク役に戻し、彼が前線で自由にパスやシュートを打てるようにすることである。
  言葉や文化の壁もあってか、週末にブラジル人のチームメイトと一緒に行動することはほとんどなく、代わりに上海をひとりで散策することを好んでいる。


#11 呂文君 Lü Wenjun 1989.3.11 上海市出身 LW/LB/LM
今季22試合0得点

  2000年に「根宝サッカー基地」に入団し、2006年にはクラブの初期の選手のひとりとなり、キャリアのすべてを上海海港で過ごしてきた。クラブに残る他の初期選手と比べると、それほど強くはないが、チームの重要な一員として常に貢献している。
  今季は、主にフォワード陣が消耗する後半戦で代役として起用され、数分から二十数分のプレータイムを得ることが多かった。理論的には左サイドのどこでもプレーできるが、通常は左ウィンガーに固定される。ただし、全体的に見ると、彼は攻撃よりも中盤や前線での守備が比較的得意で、チームがリードしているときに得点ラインをキープするために投入されるのに適している。
  2023年6月にはクラブで100得点の記録を達成。上海海港で3桁得点を記録した選手は武磊に次いで2人目である。


#14 李聖龍 Li Shenglong 1992.7.30 上海市出身 CF/RW/LW
今季8試合1得点

  「根宝サッカー基地」のメンバーで、2011年には中国2部リーグの上海中邦にレンタル移籍し、キャリアをスタートさせた。2013年には上海中邦が買収されるとともに上海上港に加入し、同年に上海上港でデビューを果たした。コロナの時期に2シーズンほど先発として出場した以外は、ベンチ入り常連選手であり、出場機会に恵まれることは少なかった。
  高さや速さがあるわけではなく、献身的な守備が魅力だが、ストライカーとしての得点力は非常に乏しい。そのため、武磊や多くの外国人選手で構成されるフォワード陣の中で出場機会を得られないのは当然のことだ。
  サッカー以外ではヒップホップをこよなく愛し、シングルも数枚リリースしている。そのため、サポーターからは「(球団の)歌王」というニックネームで呼ばれている。


#27 馮勁 Feng Jin 1993.8.14 重慶市出身 RW/LW/SS
中国代表3試合0得点 今季26試合3得点

  2013年に地元の重慶力帆のトップチームに昇格し、その優れたスピードとフットワークを買われてグラナダCFとの契約が噂されたこともあった。ジョルディ・クライフ監督時代には多くの出場機会を与えられ、重慶で最高のパフォーマンスを披露した。一時期は重慶の2人のブラジル人選手、「ビッグ・モト」ルイス・フェルナンドと「リトル・モト」フェルナンジーニョ(2019年帰化し、費南多)と同じシリーズのニックネーム「国産モト」を持っていた。
  重慶が賃金未払いで解散した後、2022年に上海海港に入団。昨年は青島海牛にレンタル移籍したものの、今年も残留して重要な交代要員となった。
  31歳となり、若い頃のスピードは多少なりとも失われてしまったが、そのフットワークと突破力は疲弊した相手ディフェンスラインに衝撃を与えるために試合後半から投入される役割を十分に果たしている。ヘディングが非常に苦手で、グラウンドアタックに頼るしかない。


#30 ウィリアン・ポッピ Willian Popp 1994.4.13
ブラジル・ジョインヴィレ出身 LW/RW/CF
今季0試合0得点

  (「ポップ」の方が彼の母語での発音に近いですが、福岡時代に登録名として「ポッピ」を使用していたので、ここではそのまま「ポッピ」を使い続けましょう。)
  ジョインビレECの下部組織出身で、22歳でブラジルを離れ、韓国の釜山アイパークに移籍した。2017年にはアビスパ福岡と契約し、1年後に韓国に戻り富川FC 1995に加入。2020年にはムアントン・ユナイテッドに入団し、今夏の移籍まで所属していた。途中、半年間ブラジルに戻り、シャペコエンセに加入。ムアントン時代では左サイドの絶対的な中心選手となり、通算97試合に出場して60ゴール18アシストを記録した。
  今夏の移籍市場で唯一の補強選手であり、誰も予想していなかったハイジャック移籍となり、正式に発表されたのは移籍市場の閉まる前夜だった。国内リーグとカップ戦の外国人枠は5人だけなので、ACLエリート戦線にのみ出場できる。
  しかし、クラブ前線の戦力はすでにかなり強力で、この買い取り条項付きのレンタル移籍が、オスカルが退団した場合の穴を埋めるための選択肢となり得るのだろうか?


#33 劉祝潤 Liu Zhurun 2001.10.6 安徽省阜陽市出身 CF/LW/RW
今季8試合0得点

  幼い頃、勉学のために安徽省から上海に移り住みましたが、小学校時代にサッカーの才能が見出され、上海海港のユースチームに加入。優れたパフォーマンスを見せたことで、何度も上のユース年代に昇格されました。2020年にはU19中国代表に選ばれましたが、U19代表チームで個人的にコロナ防疫規定に違反したため、半年間(年代別)代表チームへの選出を禁止されました。同年、上海海港のトップチームに昇格し、翌年の中国FAカップの上海ダービーで、20歳28日で上海ダービーの最年少ゴール記録を達成しました。
  かつては大きな期待を寄せられていた若手選手でしたが、近年の成長はやや期待外れな印象です。今シーズンもU23アジアカップからチームに戻ってきた後、試合に出場する機会はほとんどありませんでした。ウィリアム・ポープもいるため、ACLEでの出場はほぼ不可能でしょう。もっと潜在能力を発揮できることを期待しています。


(ほかの)U21枠

#37 陳序煌 Chen Xuhuang 2003.4.3 出身地未公表 DM/CM/AM
  今季1試合0得点
#38 黎德明 Li Deming 2003.9.21 江西省上饒市出身 AM/CF/CM
  今季1試合0得点
#41 梁錕 Liang Kun 2003.11.2 出身地未公表 GK
#42 陳陽 Chen Yang 2003.9.6 出身地未公表 (DF)
#45 劉小龍 Liu Xiaolong 2003.9.9 出身地未公表 LW/RW/LM
  今季3試合0得点
#46 劉柏楊 Liu Baiyang 2003.4.6 出身地未公表 LW/CF/RW
#49 李新翔 Li Xinxiang 2005.11.30 出身地未公表 LW/CF/RW
#52 孟敬朝 Meng Jingchao 2004.1.9 出身地未公表 DM/CM/AM
#64 王逸偉 Wang Yiwei 2004.3.20出身地未公表 RB/RM/LB


7.展望

  他の2つのアジアチャンピオンズリーグ・エリート参加クラブは、最近の八百長問題に巻き込まれており、来シーズンに減点や降格の処分を受ける可能性があるため、彼らが100%の実力を発揮できるかは不透明です。
  上海海港は、アジアチャンピオンズリーグ・エリート初大会において最も有力なクラブとなる可能性が高いでしょう。しかし、現時点ではオスカルが年末に退団する可能性が高く、それが現実となれば、マスカット監督のチームにとって戦力面で大きな打撃となることは間違いありません。
  少なくとも今年の山東泰山の成績に並び、東地区のベスト4に進出してほしいですね。

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