【詩】炎
ライターを落としたら燃え尽きますぜ
プンと悪臭のする部屋でぼうと炎が浮いている
ゆらゆらと揺らめいて部屋の上限の狭さを教える
落としましたらどうなりますか
燃え尽きましたらどうなりますか
汗の滴る口から言葉を放卵した
俺もあなたも死にますぜ
死にましたらどうなりますか
やってみればわかる
内臓から絞り出された涙がガソリンに化ける
垂れ流された汚物が養分となり床を肥やす
ぼうと炎が騒がしい沈黙を
やめてくださいが不釣り合いだから
あなただけで死んでくださいと
こぼれた言葉は心肺停止している
俺もあなたも死にますぜ
ライターが落ちて炎が上がった
一瞬ですべての闇が消えた
壁という限界が色づけられて狭さを際立たせた
この部屋には水がなかった