【『拷問投票』制作日記18】法律の前文を公開します。
みなさん!
実はずっと書き続けてまして、『拷問投票』は現在、284ページまで進みました。おそらく、310ページくらいで完結すると思います。
文庫本にしたら、700ページくらいでしょうか。上下に分かれるヤツです。『拷問投票 上』、『拷問投票 下』みたいな。
最近は、このnote、愚痴みたいなのが多くて、よくないですね。
反省します。ごめんなさい🙏
精神状態が悪くなっているわけではありません。気が緩んでるだけです。
僕は、人生を通して、だいたいずっと精神状態が悪いので、いつものことです。
お詫びに、昨年末に完成させておいた拷問投票法の前文を公開してみることにします。
元ネタは犯罪被害者等基本法です。
前文のある法律って少ないんですが、前文があったほうが様になるので、あえて付け加えました。
ついでに、第3条まで、特別に公開します😁
鑑賞して、楽しんでいただけたら、なによりです。↓
●積極的刑罰措置の実施にあたっての国民による投票等に関する法律
(令和一八・五・一三 法四二)
目次
第一章 総則(一条―五条)
第二章 投票権と義務
第一節 国民(六条―一五条)
第二節 裁判員等(一六条―二二条)
第三節 裁判官及び裁判所等(二三条―三五条)
第三章 投票に向けての活動(三六条―四九条)
第四章 投票と積極的刑罰措置
第一節 投票の手続(五〇条―七〇条)
第二節 理性的な投票(七一条―七四条)
第三節 積極的刑罰措置の実施(七五条―七九条)
第五章 罰則(八〇条―八八条)
身体の自由及び生命への不可侵は全ての国民に平等に適用される基本原理であり、法の支配のもとに秩序を維持している現代社会の根幹を成すものである。それを不当に奪う行為及び肉体や精神に著しい後遺症を残すような悪質な犯罪行為は現代社会の必要不可欠な地盤を揺るがす蛮行であり、我が国としても司法制度を通して適切な処罰をし、特別予防及び一般予防の観点から厳しい対応にあたってきた。
しかしながら、我が国における伝統的な司法制度を完成したものとして捉えることはあまりに早計であり、制度として確立していたとしても時代に合わせて変化させていくべきであることを十分に考慮しなければならない。裁判員裁判の導入及びネット社会の進展によって我が国の司法制度をより身近に感じるようになった国民の多くは、凶悪犯への刑罰の軽さが感情的に納得のできないものであるとして不満を募らせている。その最たる証拠が史上初となる最高裁判事の国民審査による罷免である。司法に対する不満は国民に私刑を正当化する理由を与える結果となり、国内の秩序が脅かされている。
当然のごとく、国民の不満を膨らませた原因が刑罰の軽さにあると捉えるならば、刑法の全般的な厳罰化をするのが方法としては合理的である。実際、執行猶予及び心神喪失の全面的廃止や殺人罪の拘禁刑期間の下限の大幅な引き上げが行われた。しかしながら、これらの施策は、刑罰の補充性や刑法の基本原則の犠牲という大きな代償を払ったにもかかわらず、本来の目的である凶悪犯への厳罰化については十分に機能していなかったと言わざるを得ない。試みの開始から二年を待たずしてこの施策が廃止された現実は、新たな制度の必要性を訴えている。
言うまでもなく、真に国民が求めているのは、情状酌量の余地を狭くし、違法性及び有責性等の法律概念の利用を限定することで、刑罰の適用の柔軟性を失わせることではない。言語道断の一部の悪質な犯罪者に対して相応と言うべき厳罰を科すことであった。その実現のためには、局所的に発動される強い刑罰が必要である。
また、より広い視野で捉えるならば、国民はむしろ絶対的な悪としての犯罪を自らの手で裁けないことにこそ激しい怒りを募らせてきたことは言うまでもない。その要求に応じるためには、司法への国民の参加が必要である。
局所的な厳罰化と司法への国民の参加というこの二本の柱は、国民の不満を解消し、我が国の法的秩序を再構築するうえで十分に検討しなければならない現実的な案である。ここに、その二本の柱を太く固い支柱として確立し、我が国の司法を再び信頼に値する形へと蘇生させることを目指して、従来よりも強く納得することのできる大胆かつ相当な刑罰を国民の意思を適切に反映したうえで実行するため、この法律を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国民が投票という形式を用いて悪質な犯罪者への積極的刑罰措置の実施の決定に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資すること、またそれらを介して司法制度の盤石な基礎を築いて国内の無秩序を防止ないし緩和することが喫緊の必要事項であることにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判の一部に関し、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下、「裁判員法」という。)及び刑事訴訟法(昭和ニ十三年法律第百三十一号)の特則、国民による投票等の制度と手続その他必要な事項を定めるものとする。
(積極的刑罰措置)
第二条① 積極的刑罰措置は死刑の付加刑であり、その実施にあたってはこの法律に定める制度と手続による。
② この法律において「積極的刑罰措置」とは、法務大臣が指定した特定の製薬企業が製造した医薬品のうち、次のいずれかに該当するものを用いて一か月間に渡って精神の自由を制限する措置(身体に苦痛を与えることで間接的に精神の自由を制限するための医薬品を用いた措置を除く。)をいう。
一 服用することで屈辱感や羞恥心、恐怖、不安やその他の著しい感情の隆起が生じることで自律的な精神の活動を抑制するもの
二 服用することで精神の統合機能が喪失し、幻覚や妄想などの病的不調が生じることで精神的な不自由が生じるもの
三 その他服用することで精神に対する制御機能が喪失し、当人の意思による制御に著しく困難を生じさせるもの
③ この法律に定める制度と手続により積極的刑罰措置の実施が決定したとき、刑事施設内において直ちに実施される。
(対象)
第三条① 裁判員法の定めるところにより裁判員の参加する原則的合議体で取り扱われた事件のうち、死刑判決を言い渡された被告人についてのみ、その積極的刑罰措置の実施の是非を問う投票が実施される。
② 裁判員法第二条第三項の規定により例外的合議体で取り扱われた事件においても、同様とする。
こんな感じで、真面目に、88条まで、つくってみました。
ちなみに、項は一字下げ、号はさらに一字下げなんですが、コピーするときに反映されませんでした。ご了承ください。また、この法律は本来は縦書きのものとして、つくっています。
これだけだと拷問投票法の全体像はわからないでしょうが、まあ、なんとなく作品の雰囲気は感じていただけたのではないでしょうか。
現在、こういう感じの小説を書いてます。
あと30ページくらいで完結。七月中に書き終え、八月は推敲します。時間があったら法律ももっと磨こうと思ってます。頑張ります。