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ひらめき☆マンガ教室課題4(香野コメント)

ひらめき☆マンガ教室、課題4への感想です。もうTwitterが早いんじゃないかと思い直しました。「こんな風に思う読者もいる」という参考にどうぞ。ジャンルによっては先頭に【オトナむけ】を振りました。※Twitterからの転載(のはず。編集したのが2020年というお粗末さであります……汗)


◆蝶々ひらり「ピアス」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/88hirari/12947/

【オトナ向け】特にネームは強烈に共感した。「結婚なんてどうでもいい」と言ってたのに「結婚する」と言って去っていくクズ男たちを思い出した。でも誰にでもあるわけではないので、「ピアス跡に触れるたびに思い出せ、馬鹿」という呪いが整理できたら、体験したことのない人にも理解してもらえるのかも。ピアスで穴を開けるシーンは寄ってもいった方が、課題の「触覚・肉体的接触」に応えることができたと思う。

◆五月十三日「よそみ」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/admwtjgmgm/12701/


好みかもしれないけど、口唇を目線で攻めるところに、もっと割いてもいいと思った。けっこう、気づかれないように見るのってミッションインポッシブルだから。唇に関する妄想とか。しかし、彼の視線の外が気になってくる。「よそみ」された女子は教室から出て行ったのかな。「キモっ」と言われて空を見たのだろうか、とか。

◆相野ココ「教師失格」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/ainococo2525/12609/

【BLです】受けと攻めが重なり合う。これキタ!最初からBLって読めば気にならないのかもしれないが「あの生徒が苦手」と思う裏の理由は、最初から仄めかされてたほうが葛藤が見れて面白い。ネーム時は冒頭で先生が倒れてるときに股間がシャツで強調されているのに、何も起こらなかったので、焦らされたが、本原稿は本意が達せられている。

◆ねりけし「加圧ジムに行ってきた」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/amanndonehu/12921/

読後すぐに、通わなくなったEMSジムのことを思い出しています。。(偏頭痛のトリガーになってしまって、耐えられなかったんだYO)タッチされる感じとか、あの加圧ベルトがムンムンされる感じとか、見せ場はたくさんあるので、トレーニングをもうちょっと端折らない方が課題への応答に加えて、Twitter用の「行ってみた」の強度が上がると思います。

◆ささやか「いたいのしようよ」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/amnsmt/13050

【オトナ向け】回想シーンが挟まれるところで、「あー前のご主人様?」のところが元の「夫」のことなのか、「ご主人様」を指しているのかわかりづらかった。「どうしてこんなことしないといけないの」以降のヘンタイを超えたパートは、もっと苦しさがわかりたい。読み進めるとこの人たちの「ヘンタイ」は嗜好としての変態ではないように思えるのだが、タイトルのポップさと最後の感じで「どっちを描きたいんだろう?」がわからなくなる。

◆由田果「まなかのせなか」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/aruhimu/12807/

ギャルなのに、出てくる食べものが渋い。いや、むしろ可愛い。このギャップがいい。主人公もヒロインも魅力的で、感情移入しやすいです。ヒロインのカラダをよろめかせることで肉体的反応が、主人公にも読み手にも伝わるのでドキドキする。ヒロインと主人公、どっちにも共感できるの強い。

◆暮介「ボクと姉ちゃんのだらしない日」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/guresuke/12903/
【オトナ向け】男性向けのエロマンガに疎いので、わからないことが多すぎるのだけど、このジャンルって流行ってるのかな…。だとしたら、なんかすごい世界だ。エロマンガとして「目的」が達成できる作品なのかわからないけど、ある程度ゾーニングって必要だなと思うんですよね。わたしのような人間は、ファンタジーとして切り離すことができないから。

◆グヤグヤナンジ「杉野君、オーエス!」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/guyaguyananji/12626/

オーエス!なので綱引きの話?と思ったらカラーコーンしか出てなくて。「だから、だから、だから!!」の後、次週に続くように感じる。主人公の闇がまだまだ炸裂してない感じがする。むしろ、主人公の闇がまた増殖している感が大きい。課題への応答という意味では、触れたことよりも会話をしたことが軸になっているので、ちょっと違う気がする。

◆拝島ハイジ「LULL Yourself」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/heidimasa82/13013/

【女性成人向け】女性が自分で感じるエロ描写の可能性を掬い上げていきたい。この人が特殊な人っぽく見えてしまうのが損してる気がします。「失恋した?」→「とりあえず風呂に入ろう」の方が自然かも。まぁ単にお風呂に入ってからの方が、体がほぐれるから触感も増すかなとか思った。「さっぱりしたと思ったけど、ダメだ全然落ち着かない」→「むしろ寂しさが増えてワー」き、気持ちいい……とか。

◆とき ところ「ディスライクポイント」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/honey821/12986/
【おそらくBL】関係性とキャラクターを把握するのが難しくて、共感の領域に入る前に物語が終わってしまった。学部でフィールドワークしてる? とか、私有地まで入ってやらなくてはならないことって? 細かいけど、気になっちゃうんですよ……でも、本当に描きたかったの、複雑な感情のモツレなのかなぁ、という感じはする。「嫌なんだよ」といいながら肩を寄せ合うツンデレな感じは好きです。

◆飯島健太郎「髪の毛の話」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/iijimakentarou/13067/
大喜利を描きたいわけではないだろうけど、そんな風に見えてしまう。トリートメントつけたまま寝て、ベタベタになったとき回想とか、美容師がチャラ〜い感じで接触してくるのが苦手だとか、やべえ犬みたいでフサフサしてるとか、モノローグでも、とにかく肉体的への触感が出せると思うので、次回は課題に応える作品をぜひ。

◆静脈「休み時間は退屈」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/joumyakun/12746/
主人公がクラスから孤立していて、だから休み時間が退屈なのだ、ということがコメントを読まないとわからなかった。(このマンガの中では、休み時間、めっちゃ謳歌してるし)この男子に必死感がないのからかも。「俺でいいの?」っていうのが、ただ「そんなにモテるわけでもない」ぐらいの感じに思える。あとは、揉まれてる時の声にそこまでの意外性がなかったので、もっと変な感じにしてもいいのでは。

◆かいじる「人は草だけ食べて生きてはいけない」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/kanizem/13088/

草食男子になりたくてなりたいわけじゃない、と言いたいかのようなタイトル。個人的には「勘違いされてヒーローになるのも悪くない」みたいな方が好みだが、それは「女子の勝手」なのだろうか。でも、この主人公の声は、隣の女子には聞かれない方がいい。決して!

◆ハミ山クリニカ「水没オフィスの22時」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/kllinika/12712/

ハイタッチした瞬間よりも、離れた手の寂寥感にドキドキした。というのは、現在の幻想シーンが素敵すぎて、「またこの子は、現実に回収されないのでは」と思ってハラハラしたけど、着地してよかった。受け入れてくれる人の存在がいることのありがたさよ。

◆矢作さくら「男山」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/mojalife/13031/

【オトナ向け】(ネーム時の感想です)「お前俺のこと全然見てないじゃん」に改心することもなく、山を求め続ける愚者っぷりがすごい。心から山も好きで、同時にフェチズムとして山を処理している感じも「わかりみ」を持ってもらえるはず。ただ、剱岳との別れの理由は、向こうが主人公の外見(胸)しか見ていなかったことでぐらいの方が、主人公のことを好きになれそう。(あぁわたしも外見しか見ていなかったのか、丘は優しくていいなぁ、今までごめんなさい〜気持ちいい、みたいな)。
(ペン入れ後)講義のことが反映されていてすごいと思った。最初のところだけ「わたしの元彼は」とか、別れたことは言ったほうがわかりやすいと思った。

◆向田哲郎「忘れられた鬼」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/numerauumera122/12886/

山に棲む鬼との触れ合い…肉体的な接触で描くところがあったら課題に応えられたのでは。体温が低くて「死んでる?」って思ったという事実確認ではなく、それによって生じた心の動きで物語が動くような、そういうことなのかなぁと。鬼が鏡を持って「ミタマオクリ」的な呪文を操るという二重性が気になった。でも和装束を着た人外ってかわいい、それはほんとう。

◆Obj.A「泣かせて、明日」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/objctzero/12920/
【R18作品】*コメントに児相で働く児童心理司と児童養護施設出身の方との「インタビュー」があります。なんらかのフラッシュバックを覚える人がいるかもしれません。作品だけ読むので大丈夫だと思います。

(「インピオ」というネットスラングがすでにジャンルとして確立していることを知らなかった人間です)コメントによると近代が舞台との設定だが、どこか架空の宗教であろうと思って読んだ。告発が目的ではないんだろうな、と。作者曰く「打ち捨てられた少年少女がエッチをすることでシステムから脱しようとする」試みだが、物語の構造として機能しづらいと思った。ただ、エロマンガとしての「主な目的」のための助走にすぎないのであれば、気にする必要はないのかもしれない。

◆なは菜っぱの菜「美菜ちゃんは自分の子供が触れない」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/pillow/12679/
「なぜこのマンガの習作を?」と思ったら題材とは違った、構造の勉強のための習作だったのですね。 ただ、それを差し引いても、そもそも吃音になる理由ってわかっていないので(恥ずかしいとか、喋りたくないとか、嘘をついてるとか、よく見せたいとかではない)、ここで「触れない」のと同じレベルで持ってくることに違和感がある。虫まで登場させてしまったので、もはや何がしかの意志を持っているはず(少なくとも、作者の視点では)。


◆ririo100「妖精の家」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/ririo100/12852/
萩岩睦美のマンガを思い出した。コメントにあるように、確かにページを増やしたのも読んでみたいけど、もしかしたら最初の遭遇シーンで「たたかう」けれど、そこをシンプルにしたら、もうちょっと余白が出たのかも。肉体的接触のソッと触れるところのコマは、今回の課題ならもうちょっと大事にしてもいいのでは、などとおもった。

◆多花森「海澄(かすみ)」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/takamori/12781/
タイトルの「海澄(かすみ)」は、ヒロインの名前??だとしたら、どこかでもうちょっと出した方がいいのではと思った。猫のモフモフと幼馴染の髪がリンクしててキュンとする。でも、あんまり接触してないのでは。女子かわいい。もっと触ってしまえ。触る妄想を(課題が課題なので)。せっかくなので、もう少し濃い線で描いてくれると読みやすい…!


◆タケチイチコ「体温」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/takechi1ko/12573/
この主人公、地味だけど好きです。微細な心の動きがコマの細部に見られて「いい作品を読んだなぁ」と思う。最初は夜中に読んでたのですが、ベッドの中でちょっと涙ぐんでしまった。一つだけ、最後に余韻にひたることができたらもっといいなと思う。たとえばそれは、「ポンポン痛いの?」の前に、何かしらの「間」を作るとか、かもしれない。

◆市庭美和「私のラッキーフレンド」


https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/tilapia/12595/

ちょい百合。地方の女子中学生が過ごす夏のひとこま。「JUNE」っぽい雰囲気になるのかなと思いきや、そこでなぜ喝を入れるんだろう…と読みながら迷ってしまった。でもそこからの展開がティーンズ向けの「ポプラ社文庫」っぽい。折原みとの「ときめき時代シリーズ」的な(ということは、やっぱり「JUNE」っぽいのかも)。そういえば宝毛って同じ場所に私にもあったんですが、いつの間にかなくなってしまったな。なんでだ。…そんなことを思い出してしまう甘酸っぱさを感じます。

◆とねうら「どぅ・だ・だ・だみーん」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/toneura/12763/


お仕事日常系、二人のことばの掛け合いが不思議なんだけどゆるくていいと思う。30歳手前の感じだと結構ある設定なのかなあとは思う。「あるあるだなぁ」「いやそれはダメすぎ」など、読み手にしては割と共感ベースで話が進んでいくのに、しかし、最後にもっとも「共感を生む」べきところではしごを外されてドン引く展開で、寂しい。置いてかれた感じがする。二人でタイマッサージして現実逃避するっていう手もあると思うんだけど…。

◆吉田屋敷「エクストリームおちんちんエクスプロージョン」

https://school.genron.co.jp/works/manga/2019/students/yoshida444/12959/

【オトナ向け】特に何の理由もなく、「セクサロイドは女性を楽しませる」設定にしたことは思想的なこともあるのかもしれないけど、冒頭には、女性型も男性型も混在していたので、断りがあっても親切なのでは。コメントには「これは抜くためのものではない」とあったので「エロマンガ」ではないのかもしれないが、むしろ「BL」の萌芽を感じた。そして、このレビューを書くのにタイトルをタイピングするのを一瞬ためらったことは事実です。


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