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場面と画面のなめらかな移動

X(旧Twitter)のリンク先見出しが表示されなくなった。夏あたりから薄々気づいてはいたものの、秋を迎えてキチンと実装された。もう戻ることはないだろう。

この仕様変更について、その目的はX(旧Twitter)での滞留時間を増やすためである、という分析が多い。そりゃもちろん、ハブではなくて自分のメディアの中で物事を完結させたいのは当然だろう。それと同時に“will greatly improve the esthetics.”というイーロン・マスクの言葉は捨て置けない。単に見やすいというより、本人の美学として発しているようだ。

日本における初期Twitter(東日本大震災後の「インフラ化」より前)を思い出してみよう。知らない人は想像してほしい。それ以前、メールでも掲示板でも、なんならmixi(ミクシィ)でも、wwwの中では日常と同じように、場面が重んじられていた。来歴や文脈といったものだ。ところが、当時のTwitterのタイムラインには、たった140文字の断片・ひとり言の画面が、ぺたぺたと並んでいく。それはまるで、画面が次々と宙に浮かぶようだった。とつぜん脈略のない言葉でやりとりが成立する(しなければ、そこで終わればいいだけ)という関係、新しいつながりが可視化されていた。

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