「対人ゲーム」Shadowverseでどう勝つか / Shadowverseは理屈じゃない

こんにちは、Spiciesです。au デトネーションというチームに所属しており、普段はRSPL(シャドウバースのプロリーグ)で戦っています。

シャドウバースAdvent Calendar 2021の記事(面白いのがたくさんあります、オススメ)見てたら記事書きたくなったので書きました。急に思い立って書いてるので比較的ラフです。

単体で記事にするには微妙に短い内容だったので2つまとめて投稿してます。内容は独立してるので興味ある方だけ読んでもらっても問題ないです。


「対人ゲーム」Shadowverseでどう勝つか

Shadowverseのリリースから5年半が過ぎ、Ratings for シャドウバースももうすぐ20期に到達しようとしている今、Shadowverseにおける競技環境のレベルは本当に高くなっていると感じています。

DOCアディショナル後セッカエルフのように完成度の高いデッキリストが一瞬で広まり、レートに潜ってみれば対戦相手はワンダーツリーにフェアリーを2枚混ぜ始める、そんな世界になってきています。

もちろん、Shadowverseで強くなるためには、情報を正しく取捨選択してデッキを検討し、なるべく多くの要素に気を配った最適なプレイングを追い求める事が大事であり、これはあるべき姿ではあるのですが......

相手も真面目に同じだけ努力されたら5割しか勝てないんだけど!!

こうなります。流石にレート勝率6割くらいは出さないといけないと思うし、実際に出してはいるのですが、じゃあレート勝率6割以上の集団の中で自分が一番だと言えるのか、という話になるわけです。

プレイのパターン化や大局観など、反復や学習によって身につけられるものは最上位プレイヤーなら皆ある程度身につけており、大差がつかないという前提を置くと、確認しないといけない情報を確実に見落とさないための注意力や、盤面処理や打点計算を複数の択に対して時間内に済ませて検討するための情報処理能力が高いもの勝ちになってしまいます。

正直自分がAIのような人類最強の処理能力を持ってるとは思ってない(持ってたらこんな記事書いてない)ので、なんとかしてそれ以外の要素でゲームできないか......

できます。相手が知らないことをすればいいんです。

これまでの環境であまり使われていないデッキへの勝ち方を練習しているプレイヤーは当然ほとんどいないので、自分だけが知識を持っている状態を簡単に作ることができます。自分だけ上手いプレイをして勝ちましょう。

言ってしまえば「Tier1ではないデッキを使う」ことで勝とうとしているわけですが、この場合のデッキ選択は必ずしもメタゲーム上の勝者になることを目的にはしていないので、環境上位デッキに対して明らかにやれない、というわけでなければ微不利くらいでもなんとかなります。どちらかというとデッキが弱すぎないことのほうが大事です。弱いデッキは弱い。

むしろ理想は一週間後のTier1を先取りすることです。一週間自分だけが最強デッキを使った後、次の一週間は自分だけ一週間分の練度差で殴れます。これが上手く行ったのはRSC撤退ロイヤル。その一期前のDOVアディショナル後ラスワネクロもグレモリーに寄せた構築を早目に使えてた気がします。デッキの強さの判定、おもちゃを拾ってくる能力にはそこそこ自信もあるので、自分に向いてる取り組み方なのかな、という気はしてます。

この方法は「相手が知らない」状態が必須なので、サブスクでしかレート配信をしなかったり、(特にデッキを複数人で共有してる時とか)一時的にサブスクですら配信しなくなったりします。ごめんなさい。でも正直情報の出し方は今くらいのバランスがちょうどいい気がしてます。やっぱり競技プレイヤーとしての自分を犠牲にはしたくない

という感じで、今年くらいから、特にレートにおいて「相手が知らないことをする」をテーマに取り組んでるよ、という話でした。あくまで「強すぎる奴らに勝つ方法」であり、Shadowverse上達法ではないので注意してください。RAGEDay1とかなら普通にTier1を2つ持ちます。


Shadowverseは理屈じゃない

上の話が自分語り的な内容だったので、今度はSpiciesの思考の一部、比較的参考にしてもらいやすそうな部分について紹介したいと思います。何言ってるんだコイツみたいなタイトルだけど中身読めばある程度は納得してもらえるはず。

突然ですが、皆さんは以下のうちどれが優秀なデッキだと思いますか?

A. 先攻を取れれば異様に強いデッキ

B. ドロー手段が多く、毎回同じ展開を作れるデッキ

C. 20点OTKやそれに近い打点を比較的簡単に出せるデッキ

D. 明確な不利対面が存在しないデッキ

E. 特定のカードへの依存が強いが、引ければだいたい勝てるデッキ



↓↓↓



↓↓↓



↓↓↓



答えは「分かるわけない」です。イジワル問題でごめんなさい。

上に挙げたような言葉はデッキの特徴を述べたものですが、実際のデッキには、カード単体の強さ、コンボの成立条件、盤面押し付け能力、盤面除去能力、打点総量など、とても挙げきれないような大量の要素が存在しており、そのごく一面のみを切り取った言葉でデッキの強さは判断できません。(でもBは強くない?と思った方にはマグナゼロがおすすめかも)(誤解なきよう補足しておくと好みや得意を否定する意図はないです)

実際に上の言葉のような分析をデッキの判断に活かすには、例えばAのデッキなら先攻と後攻それぞれの勝率を見積もって平均を取るなど、数値としての勝率に結びつけるのが一番なのですが、数値としての勝率を計算するのは現実的に不可能だし、結果で測ろうにも数十戦程度の試行は平気で偏ります。

その解決法としては、大まかな確率感覚を持っておき、数回の試行を補正することが最適だと思っています。例えば、2種6枚のカードが重要なマッチで、ほとんどのゲームでは山上10枚中1枚しか引けなかったとしたら、期待値を下回ってるので実際はもう少し勝率高そうだな、みたいな感じです。

もう一つ、理屈を拒否したい例として、Bo3やBo5における投げ順の話を挙げておきます。

まず、Bo3では「相手の投げ順が完全ランダムな時、デッキ相性に関わらず投げ順は勝率に影響しない」です。(証明は省略)

もちろん、完全に投げ順に意味がないわけではなく、相手の投げ順に傾向がある、相手デッキのアーキタイプ把握の価値が大きいなど、投げ順によって勝率を上げることは可能ですが、ここでは、どちらかというと「〇〇を△△に当てたいから~~」みたいな話は(相手の投げ順の傾向を把握しない限り)意味がない、という部分が主張点です。

Bo5でも「相手の投げ順が完全ランダムな時、デッキ相性に関わらず投げ順は勝率に影響しない」......と言いたいところですが、Bo5だと相手の投げ順がランダムなときには投げ得なデッキが(一応)存在します。

   D  E   F     A  B  C
A 100%  0%   0%   D 0%  100% 100%
B  0%  100% 100%   E 100%  0%   0%
C  0%  100% 100%   F 100%  0%   0%
縦列が自分のデッキ想定、左と右は視点を変えただけ
ABC視点だと相手がランダムならA先投げで勝率67%、BorC先投げは勝率44%
DEF視点でも相手がランダムならD先投げで勝率67%、EorF先投げは勝率39~56% (2戦目の投げ順次第)

要するに、「相性が似た2つが残るように投げると勝率が高くなる」ことが分かります。Bo3で相性が似たデッキを並べると微妙に勝率が上がるのと同じ話な気がする。

実際はここまで相性が極端ではないので数値的には誤差だし、相手の投げ順に傾向があるならそっちのほうが大事ではあります。(上の方針でABCとDEFが戦ったらABCが100%勝ちになっちゃう)

ここで言いたいのは、ABC視点ではAが抜けにくいデッキ、DEF視点ではDが抜けやすいデッキ、にもかかわらずそれらが(期待値では)最初に投げたいデッキになる、つまり「抜けやすいor抜けにくいデッキを先に投げるべき」は必ずしも正しくないことが分かります。

以上、普段ちょいちょい見るけど数値的には意味ないんだよなってなってる言説について文句言うだけの内容でした。納得できた人が納得できた分だけ参考にしてもらえればいいかな、と思ってます。


おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?