sumika「SOUND VILLAGE」感想

「SOUND VILLAGE」sumikaの久々の円盤。これがあまりにも良すぎて好きすぎて全曲聴いた私の超絶重々しく長ったるい考察にも満たない感想を書きました。

注意点としては私は今回の新譜のインタビューはろくに読んでないです。
前情報を入れすぎると先入観が働きすぎるのと暇がなかったで半々です(スライディング土下座)

なのでご本人達が言ってることの重複とか全くの見当違いがあると思いますがその辺は温かい目で読んで頂けると嬉しいです。




*Babel

忘れることはないだろう、生配信されたさいたまスーパーアリーナでの初披露、そして間髪いれずに公開されたMVの衝撃を(小説の始まりみたいに書いてしまった)
それくらい衝撃だったし新曲歌うだろうなぁと思っていた期待を嬉しい誤算で裏切ってくれたから。ほんと…画面閉じて思考放棄した記憶があります(笑)

この曲を新境地とご本人達は言っていたりするんですけど、私はあまりそんな感じはしなかったんですよね。闇曲(本人達は毒曲と言ってた)はここ最近多かったから違和感なかったし、あとは私がピコピコ電子音が鳴ってる曲を他バンドで聴いてるから抵抗がなかったのかなぁ。
sumikaは多才のイメージがあるからなるほど~今回こんな感じか~!とすぐ順応出来るのもある。


「サイコ記念死す」「岐路Km帰路」


私、片岡さんの聴くと同じなのに歌詞を読まないと分からない意味合いが絶妙に違う言葉遊び歌詞が好きなので(ネーミングセンスはない)この部分は刺さりました。

「サイコ記念死す」恐らく彼が「サイコ」パスだということを発見した「記念」日だけどそれは同時に自分の心が「死」んだってことなのかな…(私の理解力と読解力が乏しい)
サイコキネシスは『科学的に証明されていない超能力の一種。念力』なのできっと前後の歌詞にかかってるんだろうな。自分のじゃないファンデーションに気付いたけど気付きたくなくて逸らしたのに勝手に目が追ってしまった、みたいな。それが次の「岐路Km帰路」にもかかってくるんですね!!

岐路は『分かれ道。将来が決まるような重大な場面』、帰路は『帰る時に通る道』、「Km」は最初分からなかったんですけどこれ距離の単位の「km(キロメートル)」か!!!と数日して気が付きました(笑)
だから前述した自分のと違ったファンデを被ってた意味を考えながら(いつもより長く感じる距離=「Km」の)「帰路」でこれからの「岐路」を考えるみたいなことかしら…伝わってるのかなこれ(笑)


せからしか せからしか 貴様の命乞いもどうせ フェイント

ここがめちゃめちゃ好きなんですよね。呆れたように「せからしかせからしか(=うるさい、煩わしい、面倒くさいなどの意味があるそう)」と吐き捨て、それまで「あなた」と呼んでいた人が「貴様」に変わっていることにぞくりとして、「命乞い」「どうせ」「フェイント」ってそれまで愛おしかったものが全て嫌悪に変わった故の強い言葉達がたまらなく怖くて、でもそれがこの曲の佳境への繋ぎになっててすごい好き。
間近でどう歌うかしっかり見たいポイントです。


さようなら さようなら 幸せなど願わない 一生涯

さらっと付け加えられた「一生涯」という一言。ここに狂気と憤怒と執着と絶望が詰め込まれてる。曲中で別れを告げてるし忘れようと自分から離れようとしてるのに一生涯幸せになるなと歌ってる…結局はその人のことをどこか頭の片隅でずっと呪ってる訳でしょ?忘れる気さらさらないじゃん…こわやこわや…
冒頭に「一生涯一緒って思っていた」と歌っている位惚れ込んでいたのにそれが憎悪に変わるのは本当に一瞬、これこそ片岡さんが呟いていた「愛と憎しみは紙一重」の通りですね…

けれど嫌なところも含めて愛そうとする片岡さんのスタンスとしてここまで振り切ってるのは珍しいなと思ったり。
「怒りを肯定したい」なんてインタビューでは仰ってるけど、その奥に秘めた鬱々とした感情がたまらなく見えていい、好き。


MVもそうだけど虚無を見つめながら感情がないように歌ってる片岡さんが所々感情を取り戻して力を込めるのが狂気じみてて好きだし、それが尚更この曲の奇妙さ気持ち悪さを盛り上げてて良。なんの解決にもなってないし聴き終わっても胸に詰まってる感覚があるのにまた聴きたくなる曲なんてないわよ(すっごい褒めてる)
もっとこういう曲歌って欲しい~~負の感情エネルギー出して欲しい~~似合う。

これは考察文が各所で出回ってるので多分私は書きませんが(笑)MV込みで想像が掻き立てられる曲だなぁと思いました。色んな捉え方出来るからねぇこれ。




*アンコール

別れの言葉に頷いた後で 振り絞って声に変えていくよ

冒頭のここだけで『エンドロール』と同じまさかの展開曲だと身構えてしまった自分がいたんですけど、「珈琲も似合っている彼に会うのかな」と聴こえた瞬間明確な「僕」とは違う「彼」登場であ~~これは失恋ソングだ!!!と頭を抱えてしまった。

一番最初に聴いて思ったのがずっとサビなんですよね、AメロとかBメロとかそういう概念がない(あるけど)。ずっと切なくて苦しくて救いがない…好きだこういう曲…(笑)


あまりにも君が あまりに素直に泣くから

「泣く」というどちらかと言ったら後ろ向きな動詞に「素直」という形容詞をつけるのが凡人には思い付かない。こんなに無垢で清廉で残酷な言葉があるだろうか。
綺麗とかなら私にも思い付くけどそうじゃないんですよね。この「素直」という言葉にアンコールの「僕」がどれだけ「君」が好きだったか、そして今も好きなんだろうなぁという優しい愛が詰め込まれてる。切ない。


記念日イブなんて ああ実に僕らしいや いつもちょっと足りないんだよな

ここの歌詞が本当に好きで。イブと聞けば季節的にクリスマスと重ねてしまうんだけど、恋人のイベントといえばクリスマスイブ。そこで結ばれる人達なんて多分この世の中にごまんといるし想いが通じ合った素敵な日を「いつもちょっと足りないんだよな」と呼称する…
「君」と過ごしていた日々でも言動がちょっと足りなかったと卑下してる風にも聞こえるし、悲しくて控えめで自分の情けなさを悔いるすごい切ない言葉。
まぁひねくれてる私には若干そういう風習への皮肉にも聞こえたんですけどね(笑)

あとここに入る前のギターソロもさいこ~~なんですよね!!!柔い記憶を回顧させる寄り添うようで戻らない日々を憂い帯びるギターの音色が伏線になってる。


変わらない君を 頭の中で描いて イメージしたのに 準備したのに

歌詞の僕の言葉は全部本心なんだろうけどこのマイクを通さず歌う所と次に続く「いつになっても~」の所からはそれよりももっと深い、僕自身でも気付かない激情的で優しい感情なんだろうなぁと思ったり。
荒々しさというか生々しさというか、それが一層曲のやるせなさを伝えてくれる。天才か?


いつになっても消えない まだ消えない消えない恋の中
いつになっても知らない 知りたくない知れない愛の中
いつになっても消えない まだ消えない消えない君のまま
まだ消えない まだ消せない もう消えない


一番目と三番目の歌詞が「恋の中」が「君のまま」に変わってるだけだから「恋=君」本当なら「恋」が「愛」になるはずだったのだけど、「君」が居なくなったから「愛」になりきれなくて「知らない」し「知りたくない」し「知れない」のかなぁと…
まだ消えなくて消せなかったものが最後「もう消えない」で終わってるのが切ない。一生ものになったそれがこの先人を愛せないほどの傷になるのか、はたまた愛おしい思い出になって「僕」がまた違う人を愛せるようになるのか…幸せになってくれ…(誰目線)

「いつになっても消えない」に入る前の「言わせて」の歌い方もすっごい良いですよね…それまで「言わせてよ」という柔らかい言い方だったのが「言わせて」と強く断言になり、それがその後の畳み掛けるような歌い方を予兆させるのよね。
最初聴いたときドキッとしたもの…あ、この後多分しんどくなるなって(笑)


全体的にこの主人公くんはいつにも増して皮肉と卑屈が過ぎてて笑うけど、それくらいしないと好きな子に告げられなかったし自分の中で整理がつかないのかな、なんて勝手に解釈したり。本当に好きだったんだね…(しみじみ)
「僕」が自分の言動の足りなさのせいもあって別れたように聞こえるけど、のっぴきならない事情故にお互いの未来のために別れたって方に私は捉えたから「僕」はそんなに責めないで欲しいしアンコールの二人はどっちも幸せになっておくれという気持ちに溢れてる(?)

片岡さんが書く冬×失恋ソングは最強だと思ってるんですけどまた恐ろしい曲が生み出されてしまった…名曲『まいった』も冬発売…我らが片岡健太…お見それしました。




*一閃

皆さんご存じ(?)私はおがりんボーカル曲が来る度毎回大喜びする人間なのですが今回は最初聴いた瞬間に泣きそうになっちゃった。おがりんの歌声始まりは度肝を抜かれたしそこに片岡さんの信頼度が全振りしてるもの。

おがりんはsumikaに誘われてから自分がボーカリストとして歌うことを控えていたのだけれど片岡さんはおがりんの歌声にずっと信頼を置いてたと思う。『enn』はおがりんを後ろから支えるように一緒に歌い、『ライラ』で「ヒーローになれる?」とお互いぶつかり合うように歌い、そして『わすれもの』では「うちのおがりんすごいでしょ?」と言わんばかりの笑みで一切関与せず演奏し何の心配もしてない。

それだけでもう素敵だったのにこの一閃で更に片岡さんがおがりんに対しての底知れない信頼を垣間見た気がして私は精神ぐらぐらですよ(?)


このまま死ねないよな スタンドで苦虫潰した
“一瞬で心掻っヒーロー” あのステージに嫉妬した

私は昔から対抗心とか競争心がない(昔、部活の顧問の先生に「お前は争い事に向いてない」と言われた経験あり)のでこういう風に思えるのがすごいし、彼らはこういう不屈の精神があるからここまで来れたんだなと思う。圧倒される、すごい。

あと「このまま死ねないよな」で始まるのも良い。見た瞬間に沸き上がってきた悔しさをそのままぶつけてるしその感情が痛いくらい伝わってくるすごい一文、この時点でもう私は天を仰いだ、完敗です。


なんであんな凄いんだよ
なんであんな凄いんだよ

おがりんと片岡さんが交互に歌ったこの部分。歌詞の内容的には違うと思うけど、私にはお互いがお互いに向けて放った言葉に聞こえた。そしてその歌い方も私には真逆に聞こえて。

おがりんの方は羨望・尊敬・嫉妬・劣等感…そういう思ってる感情を包み隠さず声に乗せて歌ってるようで、片岡さんは嫉妬で顔をしかめながらも押し殺し、羨望や敬意を言葉の端に乗せて叫ぶように歌ってるように聞こえた。

お二人は対極的な歌声だと思ってるけど根本的な声質というかボーカルとしての信念や主軸が真っ直ぐだから同じようにも聞こえるのよね。不思議。


ここに入る前の鍵盤もすごい好き。がむしゃらに走って経験した愛おしい記憶や綺麗な景色の断片がきらきらと光りながら流れていくような鍵盤の音(伝わらなくても良いけど伝わったら嬉しい)泣き笑いのような表情で弾くおがりんと鍵盤にのめり込むように弾くおがりんがこの時点で想像できたんだけど実際どうなるのかな(わくわく)

あとここから「地味でもいいよ」までのお二人の歌い方が本当に好きだ。その時思った感情をそのまま歌ってる真っ直ぐさと生々しさがぎゅっと胸を締め付けて痛くて、嘘偽りなくてすごく好き。



一閃、『ぴかりと光ること。また、そのひらめき。ものの動きのきわめてすばやいさまにもいう』その名と意味合いにふさわしい三分にも満たない曲。そこに詰められた彼らの思いに感情のジェットコースターですよ…胸が苦しい…

あの時の悔しさや憧れを胸に目指していたステージに立つけど、まだまだ終わることはないから「聴いていてよ」「あなたの名前を呼ぶからキャッチしてよ」といった現在進行形の私達に向けた言葉なのかな…なんて思って更にしんどくなりました。

これは少年漫画のアニメのOPですし作ろうよ(ずっと言ってる)




*Marry Dance

ここまで覚悟を決めて聴かないと感情やら涙腺やらを持ってかれる曲が多かったのでイントロの安心感がすごかった、肩肘張らずに聴ける。

ティザーの時点でこれ私すごい好きな曲になるんだろうな…と思ってたら案の定ずっとリピートしてます、そしてインストをください(笑)


作曲は安心安全小川印!(どこかの雑誌で見かけたキャッチフレーズ)シンセとピアノの煌めき柔い音とベースの重厚感とギターの心地よい滑らかな音、それに厚みを加える管楽器隊がたまらんです。

コーラスも最高よね、いつもの方じゃなさそうだなぁとクレジットを覗けばDADARAYのボーカルの方。す、すきが溢れるのだが~~!?!?(DADARAYも大好きな人間)

MUSICAで鹿野さんがこの曲を『送り出したのに結婚した後も週1であっちの家に飲みに行って、配偶者の方が「ちょっと!」って腐り出す関係』って仰ってて、私の中でもやもやして上手いこと言葉に出来なかったものを表してくれてそれだ!!!!って読んでた時叫びそうになった(笑)ありがとうございます…(合掌)

男性目線の歌は沢山あるけど今回はそれが一番色濃い感じがした。おがりんと片岡さんがとある人物を思い浮かべながら作られた曲だから尚更なのかなぁと思ったりしました。


いいとこよりずっと 嫌なとこも知っている

片岡健太節だ~~と個人的には思った部分。『Lover』然りそういうのをひっくるめて俺は好きだ~~!!って言えるのが片岡さんだしそれを堂々と言えるのが愛だよね、尊敬。なのでこう思える人間になりたいと常々精進してる。


バージンロード 祝う俺は もう泣いてる

この一文が大好きで、ここにこの二人の関係性がぎゅっと濃縮されてる。すごい男泣きしてる「俺」とそれを見つけて呆れながら笑うけど幸せそうな「親友」の絵が思い浮かぶんですよね(笑)きっとこの二人の友情は永遠に続くのでしょうね。


私はまだ友達を送り出すという経験はしてないけど、その時になったらこの主人公のように送り出せるかな…と思ってたりする。でもその時はこの曲みたいに緩やかな気持ちで送り出せたらいいなぁ。

これが一番最後の曲で良かった…感情の起伏が激しかったのが丸く優しい気持ちにさせてくれる…最早完結してる曲なので言うことがあまりないんですよね(笑)

とにかくおがりんが作るこういう曲は最高最強なんですよ、というのが伝わって欲しい。もっと作ってくれ小川印。




*まとめ

全曲通して思ったのがそれぞれ全部台詞というか、話しかけてるような「」(かぎ括弧)がつきそうな言葉が多いなぁと。歌詞自体についているのはあるけれどそれとは別の「」がある気がした。


Babelは「せからしかせからしか 貴様の命乞いもどうせフェイント」

アンコールは「皮肉なんだから 笑い過ごして」

一閃は「なんであんなすごいんだよ」

Marry Danceは「懐かしいよな クラスの隅っこで 好きなタイプや絵空を描いた」


この部分が私にはそう聞こえた。いつも私達に語りかけてくるような曲を作ってくれる人達だけど今回はそれが更に濃くてsumikaというか、曲と対話してる気分になるんですよね。

初めての合宿をして制作された曲達。メンバーは勿論スタッフさんとも衣食住を共にしてた濃密な期間があったわけで、流行り病の影響で人との交流が薄れていたからこそこの合宿でその大切さとか愛おしさを再認識したと思うのですよ。

だからこそ曲達の距離感が私達に近いというか、影響が色濃く伝わってくるのかなと思いました。

あとは全部すごい感情が見える曲達だなぁと。憎悪とか未練とか嫉妬とか慈愛とか…プラスの感情は前からあったけどこれだけマイナスの感情を露にする曲はあまりなかった気がする…個人的な感覚だけど。

いいぞもっとください!!!!(笑)




とりあえず全曲早くライブで聴きたいな。

Babelは映像であれだけ混乱したので生で見ても唖然としそうだけど歌い方が一番気になる…どこで力を込めるのか、感情を乗せるのか。

アンコールはカポつけてると噂で聞きましてめちゃめちゃ気になる、カポをつけないで有名な(私の中で)片岡さんのカポあり珍しくて楽しみ。

一閃はおがりんが歌い出した瞬間に泣くかもしれない(笑)ライブで一番迫力があって鳥肌が立ちそう、あと二人で歌う曲は大体照明が痺れるのでそこも楽しみ。

Marry Danceはハンドマイクでゆらゆら揺れながら歌いそう。これ上ハモおがりんがやるのかな、それともまた太郎さんが参加するのかな。その辺も気になる(特殊)



とりあえずここまで!発売してから一ヶ月経つし本来なら去年公開したかったんですけどね…なんなら来週は第二幕が始まってる…私遅すぎ…(笑)

今回のライブレポも書けたら書きたいけど多分覚えてなくて無理だと思います(仙台二日目に参加するから)


とりあえず、「SOUND VILLAGE」好きだー!!発売してくれてありがとうsumikaー!!!これからもご自愛して好きな楽曲作ってくださいー!!!

そしてここまでこんなまとまりのなく超絶長ったるく重々しい文章読んでくださりありがとうございました!!!また気が向いたら書きます!!!(笑)

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