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タッチフットボール "FINAL TOUCH 2019" 芸工大VIVACERS-SilverBullet クロスレビュー

今回は、「FINAL TOUCHオープン」Quarter Final
芸工大VIVACERS(東北代表)対 SilverBullet(関東2位)
のクロスレビューです。

1. 解析レビュー by イシダトモヒロ (SPEX FOOTBALL)
2. 偏愛レビュー by katsuyuki (SPEX FOOTBALL)

試合結果

芸工大VIVACERS  20  0  0  6 = 26
SilverBullet    14  6 16  0 = 36

1. 解析レビュー by イシダトモヒロ (SPEX FOOTBALL)

芸工大VIVACERS(以下芸工大)は、チーム史上、いやおそらく東北オープン史上もっともスピードのあるチームで、東北初のセミファイナル進出が期待されていました。今年はQBの球質が十分で、DEのスピードもFTレベルに達していると思われました。また中心選手が他地域トップの練習に参加するなど、これまでのいわばドメスティックな東北オープンよりも、全国を意識した準備がされてきたと感じています。

ゲームは第1Q、芸工大の先制からゲームは幕を開けました。お互いにロングパスがヒットする展開で交互にスコアを重ねます。芸工大はQBロールからのロングパス、SilverBullet(以下シルバレ)はパスプロに特徴的な形があらわれる中、お互い譲らない、いわゆる「放り込み合い」のかたちに収束しました。これがこのゲームの大きな伏線です。芸工大は前半ラスト1分でゴール前まで進みましたが、タイムアウトの使い方の問題もあり攻めきれず、20-20で終了しました。

さて、前半の伏線は言い換えれば、両者ともにリズムをつかんでいないゲーム状況です。この状況下で、次にゲームを動かすと推測されたのは、①ディフェンスのビッグプレー と ②「ミスマッチ」です。現実には②でした。

後半、シルバレの個々のスピードが、まずリターンでビッグゲインを生み出したところから、このゲームのモメンタムは動き出しました。

有利なポジションからのシルバレOFは、タイトエンドをつけた4枚パスプロからの「ミスマッチ」を挑んできます。郡山界隈では『クワトロ』と呼んでいる、局面打開型のコンセプチュアルな戦術です。クワトロ戦術についてここでは詳述しませんが、興味深かった点は、シルバレがベストWRを芸工大のベストCBに噛み合わせてきたところです。

芸工大DFが前陣強調を続ける限り、ディープの結果は1on1の勝敗に依存していきます。芸工大のCBは「東北最強のCB」でインターセプトを量産するアスリートですが、自分よりも巧みなレシーバーとの1on1を続けることはキツいです。

シルバレはDFでは、強いラッシュから展開をソフトに変えつつ、QBロールマーク気味のマン併用3-1-2(4列表記2-1-1-2)をベースに安定させ、リズムをとりにいくよりもビッグプレーを軸に殴り勝つかたちになりました。


さらに、芸工大は、高いレベルのスピード争いによって、OF主力に筋肉系トラブルが続きます。オフェンスのポイントになるCとWRが同時に痛んでしまい、OFはいつも通りのリズムが作れません。こうして結局TD一本差でシルバレが勝利しました。
芸工大は、学生の目標である自分たちらしさを出し尽くしたと思われます。見応えのあるゲームでした。

Author イシダトモヒロ (SPEX FOOTBALL)
宗教家、大学院講師(幸福学・社会政策)。SPEX FOOTBALLディレクター。
第1回シュガーボウル、第1回ファイナルタッチのファイナリスト。監督として東日本学生優勝(郡山女子大)。現在は、NPOでフットボール普及活動と、6人制タッチフットの評論をおこなう。

イシダトモヒロ (SPEXFOOTBALL)

2. 偏愛レビュー by katsuyuki (SPEX FOOTBALL)

振り返りは2019年の11月10日に行われたファイナルタッチ東北予選から。
現在は敵対するチームに所属する立場からこんなことを言ってはいけないのかも知れないが「大方の予想通り」芸工大VIVACERSの7連覇で幕を閉じた。
例年通り、学生チームならではのフレッシュさや高い身体能力で優勝を納めたが、今年のVIVACERSが歴代の東北代表の中で間違いなく一番強い

攻めては高身長からのロングパスを武器とし、スクランブルランの好判断が光ったQBのタイセイ君。関東や関西への遠征を繰り返してノウハウを学んだ東北最速のCのミズキ君。
守っては全国上位レベルの身体能力で1年からスタメンを張り続け、2019年シュガーボウル東北予選MVPのCBユウダイ君がインターセプトを連発。LBとして広いエリアカバーと猛進するラッシュを見せるタスク君が相手の一切の猶予を与えない。

今挙げた4人以外にも、キャプテンシーに溢れ、安定感のあるプレーでフレッシュの請負人WRマサオ君。何をやらせても優等生でハイスペックゼネラリストGのケイジュ君。スピードでランゲインを一切許さなかったDEのナギ君、タキヤ君。
スタメン全員が全国でも充分に戦える身体能力を備え、全く相手を寄せつけずに東北大会を優勝した。

そして全国大会、初戦の相手は関東2位代表、全国大会常連のシルバーバレット。
序盤からVIVACERSはQBタイセイ君が得意のロングパスを狙う。ターゲットはスタメンに大抜擢された1年生のスピードスター、WRモトキ君だ。
左右Gのマッスルコンビ、ユウダイ君とケイジュ君の安定したパスプロのお膳立てもあり、全国の舞台でDFを置き去りにしてタッチダウンする大仕事をやってのける。
技巧派のシルバーバレットも長短織り交ぜた意表を突いたパスで陣地を奪取。お互いの長所を発揮し、タッチダウンの応酬。シーソーゲームの展開となる。

第1Qは20-14。リードで折り返した時に、今年こそは初戦突破…と胸が高鳴った。しかし相手も百戦錬磨
シルバーバレットは第2Qからロングパスを警戒して3ゾーン体制。数的有利を作られてしまう中、ラインへのパス展開を強いられ1Qの勢いは抑えられる。
試合巧者のシルバーバレットは常に安定した立ち回り。VIVACERSは時間管理やTFP時のヤード感覚の曖昧さなども重なり、あと一歩のところで勝ち越しまで届かず、前半20-20試合を折り返す。

後半、そのスピードでレギュラーを勝ち取った俊足DEコンビのナギ君、タキヤ君。経験豊富な4年生、大黒柱LBのミズキ君とタスク君がプレッシャーを与え続けていたことで保っていた均衡がアクシデントによって崩れる。
タスク君の肉離れ、次いでミズキ君も足が攣ってしまう。こうなればシルバーバレットはエースレシーバーへのロングパスなどで着々と追加点を挙げる。
VIVACERSも随所にマサオ君のカットやユウダイ君のインターセプトなど会場を沸かすようなビックプレーもあったのだが、エースの穴は大きくVIVACERSは第4Qで1TD返すのみに留まり、26-36で惜敗した。

今年の四年生は有志で全国規模の遠征などに積極的に参加したり、関東大会で強豪と切磋琢磨するなど研鑽に恵まれた学年だったように思う。
ここまで強くなれたのは全国各地のフットボーラー同士の交流の賜物だ。今までの東北地区になかった戦術を果敢に取り入れて今のVIVACERSがある。
(余談だが同日に開催された東西オールスター戦に出場したCミズキ君、Gユウダイ君は、QBタイセイ君のパスでそれぞれタッチダウンする活躍を挙げている。)

結果だけを見れば、初戦敗退という例年通りの結果に終わってしまったが、確実に東北代表は強くなっている
来年以降もVIVACERSには身体能力に優れたスペシャリストたちが紹介し切れないほどたくさんいる。
先輩たちの勇姿を見て、これから更に成長していく彼らの将来に大きな期待を寄せたい。

Author katsuyuki (SPEX FOOTBALL)
画家、SPEX FOOTBALLアートディレクター、ドローンパイロット。
大学時代に全国大会出場。2019シーズン東北MVP。ポジションはWR/LB。クラシックバレエとサッカー経験からの独特のステップと加速が武器の野性的なプレースタイル。

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