見出し画像

第117回歯科医師国家試験の概要発表

今年は例年通りの発表

第117回歯科医師国家試験の概要が7月3日に発表されました。115回まで毎年7月最初に発表されていましたが、116回である去年は9月1日まで発表されず、大学や予備校から多数の問い合わせがあったと聞いています。やはり去年はなんらかの理由(コロナ関連?)で7月に発表できなかったんでしょうね。

第117回歯科医師国家試験の施行について

来年の試験日は

令和6年1月27日(土)、1月28日(日)

となりました。

合格発表日は

令和5年3月15日(金)14:00

毎年3月16日に発表しているのですが、今年は16日が土曜日なので15日になった模様です。

期限について

出願締め切りが11月30日(消印有効)
卒業見込みに関する証明が令和6年3月11日午後2時

これは大体毎年同じであり、このデッドラインの境目で色々な行事がある大学が存在します。

出願前に学生数を絞りたい大学は11月30日までに一度全ての卒業試験を終了し、留年者を決定します。そのためこういった大学での最下層の6年生の寿命はあと4か月弱しかありません。
大体こういった学生は自分の立ち位置を客観的に評価できないので、今これを読んだとしても自分の事を指摘されていることには気付きません。落ちて初めて気づきます。最近は1学年2回まで縛りの大学も多いので、11月に落とされるような学生は次の1年で挽回できず次の年は除籍になる確率は高いです。最近6年で除籍になる学生はかなり増えており、温情で卒業させてくれるなどという期待は捨てましょう。

また。3月11日は卒業保留のデッドラインとして使用されます。
3月11日14時以降に卒業判定を出せば、それまでに卒業証明ができないので、その学生は卒業できますが国試は受験できず浪人する事となります。
1月の最終卒業試験で落として、追加の卒業試験を国家試験とほぼ同じぐらいの日程で開催、3月末に卒業を許可すればよいだけです。文春砲で朝日大学が叩かれた手法なんですが、おそらく複数の大学で今年度もそういった学生が出るでしょう。

出題委員

出題委員も発表されています。それぞれ得意な分野というものがありますので、予備校などはこの顔ぶれをみてある程度問題を予想するでしょう。

117 出題委員

委員長は1年のみで、副委員長が次の委員長になることが慣例です。そのため、来年は日本歯科の松野先生が委員長になります。

新しく入った先生は12名で黄色のマーカーをしている方々となります。これは大体例年通りの人数です。113、114回のように20名ぐらいの先生が交代した年もありましたから、比較的穏やかな変更と言えるでしょう。

委員6年目の先生が結構いらっしゃるのですが、そろそろ交代の可能性が高いと思います。

一応、新しく入った先生方は以下の様な方々です。

有地 淑子先生
大阪歯科大学 歯科放射線学講座
専門:歯科放射線

飯田 征⼆先生
岡山大学 顎口腔再建外科学
専門:口腔外科

飯沼 利光先生
日本大学 歯科補綴学Ⅰ講座
専門:全部床義歯

上田 貴之先生
東京歯科大学 老年歯科補綴学講座
専門:有床義歯、高齢者歯科

河合 泰輔先生
日本歯科大学 歯科放射線学
専門:歯科放射線

⿊木 淳子先生
日本歯科大学新潟 小児歯科学講座
専門:小児歯科(分子生物学的な研究が多い)

⾥村 一⼈先生
鶴見大学 口腔内科学講座
専門:口腔外科

仲野 和彦先生
大阪大学 口腔分子感染制御学講座
専門:小児歯科

林 孝文先生
新潟大学 顎顔面放射線学分野
専門:歯科放射線

藤井 航先生
九州歯科大学 多職種連携推進ユニット
専門:高齢者歯科、摂食嚥下

古澤 成博先生
東京歯科大学 歯内療法学
専門:歯内治療

⼭口 徹太郎先生
神奈川歯科大学 歯科矯正学分野
専門:矯正

交代した委員の分野がかなり偏っている気がしますね。小児、矯正、高齢者、放射線、口腔外科は入れ替わりましたが、ほかは変わってない感じです。
放射線の出題委員が3人も新規で入っており、これは出題の傾向がだいぶ変わるかもしれませんね。また、高齢者歯科(有床義歯含む)に関しても複数委員が新しく入っており、これも出題傾向が変わるかもしれませんね。

また、東京歯科の先生がずっと入っていなかったのですが、今年から2名入りました。東京歯科の合格率に、やれ漏洩してるとか陰口を叩いていた人達も、何年も出題委員が一人もいないのにトップを独走したわけで、いい加減そういうわけのわからない話はやめましょうね。
東京歯科のお2人には良い問題を期待したいです。

116回歯科医師国家試験以降の出題基準

昔国試を受けた人や、国試についてあまり詳しく無い方に、現在の国試の出題基準に関して、今年行われた116回からの変更点を簡単に説明します。

領域の変更

今までは、必修+領域A、B、C全てで基準をクリアする必要がありました。領域B(保存、小児、矯正)のボーダー点数がいつも結構高く、そこで点数が足りずに落ちる学生がいましたし、領域Cが苦手すぎてそこでという学生もいました。
116からは領域B、Cが統合されて領域B(各論)という形になります。
領域自体の数が減ること自体は学生にとって悪い話ではないとは思います。一教科ミスって死亡というリスクが減るからです。

必修問題へのX2導入

必修問題に「2つ選べ」が導入され、実際に出題されました。そこまで難易度が高いわけでもなく、削除問題連発とかにはなりませんでした。116の必修問題はA~D問題の先頭20問でした。

その他

漢方が出題される可能性も出てきました。高齢者の全身疾患などと組み合わせると考えると、口腔乾燥への白虎加人参湯とかそんな感じの出題も考えられそうです。

問題数などには変更はありません。禁忌肢は111回に廃止されており、以後も禁忌が復活することはなさそうです。


サポート頂いた場合、自分の活動資金とさせて頂きます。