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歯学部に再度の文春砲

次のターゲットは朝日大学

鶴見大学に文春砲が火を噴いたのはつい先月の事だったのですが、4月1日に今度は朝日大学に文春砲が炸裂してしまいました。

無料で読めるのはこちらですが、内容が制限されています。

有料版はこちらになります。

有料版は読めていないのですが、どうも歯学部の内部からのリークのようですね。

国家試験を受験させずに裏から卒業させるシステム

朝日大学を紹介する際には当noteでは必ず説明していますが、この大学はかなり前から継続的に国試を受験させずに裏から卒業させるシステムを採用しています。なので、別に今年から急にやりはじめたとかそういうことではないですし、他の大学でもやっているところが数校あります。

なぜ、こういうシステムを採用するかというと、6年生の教室がパンクするのを防ぐためです。国家試験の合格率をある程度維持するために、6年生を厳格に留年させると、次の学年の学生数が膨大になります。
そうなると教室を2つにして1つをサテライトにするか、実力別に講義を分けるか、とかそういう話になりますが、小さい歯学部では講義室のキャパシティも1つの学年で講義を2つ並列にできるほど豊富な人材もありません。

何年か厳密な留年を採用すると、いつかはガス抜きの意味でほぼ全員を卒業させて国家試験の合格率が壊滅する時がやってくる可能性があります。そのため、今年の国試には受からないだろうけど、まあ最下層ではない学生をある程度裏からリリースし、国試未受験で浪人にするわけです。

学生にとっては、卒業年には国試を受けられないものの、次からは受験できますし、留年なら国家試験受験資格もなく大学への学費が発生するわけですが、それも回避出来ます。勿論予備校に行くなら新たに別の学費は発生しますが、多くの大学の学費より予備校の方が安くなります。

このシステムには勿論弊害があります。それは浪人が溜まっていくということです。浪人の合格率は1浪でも50%程度しかないので、多浪になっていきます。朝日大学の浪人は最大が第112回歯科医師国家試験の129名で、今年の第116回歯科医師国家試験では100名で、合格者は25名しかいませんでした。
浪人が溜まると、現役と浪人を合算したトータルの国家試験合格率がかなり悪くなります。

このように、このシステムには利点と欠点があります。勿論ですが、これは合格者数÷受験者数という国家試験の合格率を偽装しており、厚労省が出願者を発表するようになった原因の1つと考えられ、私はこのnoteで常に指摘している所です。

朝日大学の現在の立ち位置

かなり前に歯科大学を卒業した先生方には信じられないかもしれませんが、今の朝日大学は、私立17校で大体3、4番目のポジションになります。文科省が発表しているデータの中に6年で歯科医師になれる確率というのがあり、東京歯科と昭和が70%程度でトップを争っているのですが、その次が朝日を含む集団なんですよ。トップ2からはだいぶ離された50%をちょっと越える感じですが。
朝日は確かに裏でやってますが、6年で歯科医師にする、という歯科大学としての役割はある程度果たしています。

数年前に、歯学部ではないものの野球部の学生がホームレスの方を傷害で致死させた事件があり、かなりのダメージを負ってやっと回復してきたかな、と思った所でこれですから、だいぶ災難ですね。

卒業させろ!

鶴見大学の文春砲を読むと、留年が多すぎて卒業できない、卒業さえできれば別の道もあった、的な文章があります。
朝日大学はある程度を裏から出して国家試験受験資格も与えていますし、卒業させていますので、大卒として別の道にもいけますが、今度は高い学費を払っているので、国家試験を何回も受験して落ち続ける悪循環だ!という文章になっています。

では、大学側はどうしろというのでしょうか?ちょっと考えてみました。
1)入試を厳しくして落ちそうな人は入学させない
2)低学年からの留年を厳しくして、成績が悪い人を早く退学に追い込む
3)緩く進級、緩く卒業させる

この3つぐらいが可能性としてありそうです。

今の私立歯学部の偏差値は40以下が多いです。35や偏差値なしもあります。これは受験生の下位10〜20%ぐらいを主に相手にしているということになります。入試は定員を確保するのも厳しいです。幸いにして朝日大学は私立歯学部で最安の学費ですので、受験者もある程度確保できていますが、入試を厳格にする余裕はないでしょう。

低学年から追い込む手法は、今の私立歯学部ではもうすでに行われています。朝日大学の留年休学者率は私立歯学部の平均ぐらいで、もっと厳しい大学は腐るほどあります。
1年で10名以上が退学なんていうケースもありますが、これだけで億を超える損失で設備投資や人件費への投資が難しくなりますので、自分で自分の首を絞めすぎるのもよくないです。

緩く進級、緩く卒業させるというのが文春が書いた2つの記事内容に最も合致していると私は考えますが、おそらくこれをやると、私立現役の合格率は一部の大学を除いて40%ぐらいになるでしょうね。
まず、厚労省は歯科医師過剰により合格者を2000人あたりで固定しているため、受験者数が増えても合格者数は増えません。
見た目の合格率が大幅に低下することにより、入学者はさらに減って一気に私立大学が淘汰されるかもしれませんね。
また、おそらく浪人の数が膨大になるため、浪人できる年数の限界が設定されるでしょう。文科省と厚労省は6年制大学の資格としてのあり方の責任を問われる可能性がでてくるかもしれません。

次の文春砲

次があるかないかは私は知りませんが、味を占めた内部者がリークする可能性はありそうですね。残念ですが、埃を叩けばいくらでも出てきてしまうのです。

というか薬学部も相当なんですが、それには文春砲はないんですかね・・・。

また、こういったリークは歯学部のために本当に良いことなんでしょうか?私にはよくわかりません。特に内部者、学生なら自分で自分の首を絞める可能性も充分ありそうですけどね・・・。正義感でこういったリークで世間を騒がせて、自分に不利になっても私は知りませんよ。

しかし、裏から卒業させるシステムをずっとやってたのに、丁度今年はやらなかった歯学部があるらしいんですよね・・・。運が良かったですね。巻き込まれなくて。

朝日大学の公式な回答

朝日大学の公式な回答が4月5日に出ました。

この度、2023年4月1日付けで文春オンライン(文藝春秋社「週刊文春」)に本大学に関連する記事が掲載されましたことを受け、関係者の皆様には多大なご心配をおかけし、まずもってお詫び申し上げますとともに、以下のとおり、今回の報道が事実誤認であることをご説明申し上げます。
 当該記事では、「〈歯学部大量留年問題〉朝日大学で横行する“裏卒業”による「新卒国家試験合格率」かさ上げ 3カ月で2名の学生が自殺も…」とありますが、“裏卒業”などという事実はなく、国の定める法令等に遵守したカリキュラムに基づく学年暦にて実施しており、その学年暦の許す範囲で補完講義や試験を実施し、進級や卒業のチャンスを与えています。昨年度末に実施した再試験につきましても、教授会等の議を経て適切に実施しております。さらに当該記事の中で、本大学学生の死に触れられたことは、本大学としては遺憾極まりないとしか表現しようがありません。亡くなられたご家族のご心情をお察ししますと聞くに堪えない表現がなされております。学生間の噂話などを元に十分な事実確認がなされぬままに報道された文藝春秋社に対しては、学校法人とも協議のうえで、必要な措置を講じて参ります。
 本大学では、引き続き、法令等を遵守したカリキュラムに基づき、適切な対応を行うとともに、歯科医学教育を取り巻く状況が年々厳しさを増す中、これまでの教育方針や手法をより一層充実させるよう、そして問題点を即座に改善し、全ての学生の夢の実現に向けたサポートを行っていく所存でございますので、これまで同様、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2023年4月5日   
朝 日 大 学 

裏卒業など事実無根!という公式発表ですが、国家試験を受験させないが卒業はさせる、というのが厚労省や文科省が想定している正規の卒業にあたるのか、是非文科省に聞いてみたいところです。

警告(追記2023/04/03)

歯科大学の情報を文春にリークされるのは別に自由ですが、情報の根拠を私に求めないでください。ご自身がリークしたわけですから、ご自身が責任を持って情報の確度を担保してください。

私が学生から得た情報は、私がこのnoteに書く事は許諾されていると解釈されますが、雑誌社に提供する事までは想定されていません。文春がかき立てることにより、大学の進級や卒業が異常に厳しくなったりして学生が大きな不利益を被ることはこちらの想定を越えています。


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