鶴見大学歯学部に文春砲が炸裂
歯科とは無縁?と思っていたあの文春砲
2023年3月8日、世間を賑わすあの文春砲がついに歯科業界にも届いてしまいました。今まで他人事だったわけですが、さすがにそうも言っていられません。
正式な記事はこちらになりますが、有料なので課金しないと読めません。
上記記事のほんの一部ですが、文章が読めるのはこちらになります。同じ内容でYahooにも転載されています。
読んだ感想(有料部分を含みます)
有料部分の内容を一部含みますので、有料部分を読んでいないと話がわからない可能性があります。
卒業判定が今年はやけに厳しいという指摘
どうも今年の卒業判定後に落ちた学生、親と大学側でトラブルに発展したようです。署名活動と文春内に載っている嘆願書の提出が行われたようですが、結局大学側は救済を行いませんでした。
6年生88人中44人しか卒業が認められなかった。これは厳しすぎる、という内容がありましたが、ここ2年程度も35~40%程度が卒業できず落とされていますので、決して今年だけ異常に厳しいわけではありません。
また、6年程前には141名いた6年生のうち国家試験を受験できたのが42名ということもありました。この時は国試を受験しない条件で裏から大量に卒業させましたので、署名活動をした学生や親はこの救済を狙ったのかもしれません。
また、6年生の半数以上が留年する事態は、複数の歯学部で認められます。今年も某大学では5割を超える学生が留年しました。そのため、鶴見大学だけが異常に厳しいわけではありません。
国家試験に合格する事を想定した卒業者数ではないか?という指摘
国家試験の合格率を見据えて卒業生を絞っているので、こんなに卒業が厳しい、卒業判定と国家試験合格率は別、というようなニュアンスの文章があります。
歯学部の学生の最終目標は当然ですが、歯科医師になることです。そして各大学は毎年歯科医師国家試験の合格率で評価されます。逆に言うと、一般の人や大学人ではない歯科業界の人からするとそれぐらいしか評価項目がありません。
合格率は以後の入学者数に大きな影響を与えると考えられます。なぜなら鶴見大学自身が立地条件には比較的恵まれているにも関わらず、深刻な定員割れが続いているからです。
入学者数の減少は減収に直結しますので、合格率をできるだけ良く見せる、そのために卒業者数を絞るというのは、残念ですが仕方ない事かと思います。
他の大学でもどれぐらい合格しそうかの計算はしていますし、それに見合った卒業者数を設定している所だって多いでしょう。
除籍になっても復学できるシステム
6年生で卒業できず除籍になっても、復学試験に合格すれば6年生に復学できるシステムを文春で非難されていますが、これは他の大学でもあります。歯科医師国家試験予備校にはそのための復学コースが設定されているところが多いです。
復学試験の難しさは大学によって様々ですが、かなり難しい大学の場合は復学できれば多くはそのまま卒業できて国試にも合格するようです。鶴見大学の復学試験の難易度は情報不足でよくわかりません。
また鶴見大学は他大学歯学部を除籍になった学生を編入して受け入れています。これはおそらく3校ぐらいしかやってないので、こちらの方が珍しいかもしれません。
留年率が異常という指摘
鶴見大学は全歯学部の中で確かにここ数年トップの留年休学者率となっています。文春内でも提示されている資料をここでも提示いたします。
これをみると鶴見大学の留年休学者率(在学中に一度でも留年・休学を経験した学生の割合)は、41.4%となっています。これは退学が含まれていませんので、退学もいれればドロップアウトする割合はもっと増えることになります。
留年休学者率が40%を越えている大学は他にはありませんので、留年率が異常という指摘はあながち間違ってはいないでしょう。ただし、40%に迫る大学は他にもありますので、鶴見大学が例外的に留年が厳しいというわけではないです。
では、なぜこういった署名運動になってしまったのでしょうか?
繋がらない文脈
文春の無料で読める範囲内にこういった文章があります。
これが事実だとしてお話を進めますが、「おーい、ちゃんとしてくれよ、殺すぞっ」って前半と後半で文脈が繋がらないです。小川先生の情報を色々な所から集めましたが、「殺すぞ」などの過激な発言は不思議ではない、という感想率100%でした。学生との接触禁止を言い渡されていた期間があったようです。さすがに今の時代に「殺すぞ」はまずいです。そしてそれを擁護するとしても大久保先生、この釈明は厳しすぎます。
追記(2023/03/10)
小川先生の殺す発言は数年前のもののようです。また、複数の元学生から、違った場面で同様の発言があったという情報を頂いており、色々な所で同じ発言を行っていたようです。口癖なのかもしれませんが、カジュアルに使いすぎではないでしょうか?
留年商法ではないか?という疑惑に対する答え
鶴見大学は深刻な定員割れによる減収で、かなり経営状況が厳しいです。それを留年者を多く出すことで補っているのではないかという指摘がされています。前述しましたが、鶴見大学は確かに留年休学者率は全国ワーストですが、それに迫る大学も複数あります。なので、鶴見大学が特別に留年商法を行っているわけではないと考えられます。
ただし、問題なのは、この大久保先生の釈明でしょう。
これも、本当に言ったとしてお話を進めますが、そんな事は一切考えていないと言い切ればいいのに、経営者は思っているかもしれません、とか何故言っちゃったんでしょうか。対応が悪手すぎます。
まあ、他大学除籍を編入で受け入れている方がよほど商法というに相応しいと思います。
リークした方もリークした方、対応した方も対応した方
私はリークした側の肩をもつような考えはありません。おそらくリークしたのは今回卒業できなかった、特に除籍になった学生と私は考えています。今回署名に応じた人達がもし卒業出来ていたと仮定しましょう。鶴見大学の国家試験合格率を考えれば、彼らが今年国家試験に合格できる可能性は著しく低いでしょう。そして、鶴見大学の浪人の合格率は40%以下であり、今回卒業できて国試を受験できていたとしても彼らの多くは多浪生となったのでは、と考えられます。
せめて卒業できれば歯科以外の次の道が、という意見が文春にも記載されていました。たしかにそういった考えもあるかもしれませんが、学生の多くが歯科関係者の子供だったりする以上、歯科医師免許が欲しいでしょう。卒業できれば後は年に1度の試験さえクリア出来れば歯科医師になれるのですから、5回や6回は不合格にならないと諦めが付かない人が多いのではないでしょうか?この日本には9浪以上でいまだ歯科医師国家試験を受験し続ける浪人が全国に100人以上います。
というか、鶴見大学の合格率低下、留年率上昇は彼らの殆どが入学する前から始まっていたのですから、それを知った上で入学したのではないのでしょうか?今の現状を招いたのは大学の責任よりも自分の責任です。
対応する側も対応する側です。もし、この文春砲が事実だとすると言葉の選択が悪すぎます。20年ぐらい前ならまだ許されたのかもしれませんが、殺すとか今の時代ではSNSで呟いただけで訴訟されるリスクがあります。
文春にも記載がありますが、鶴見大学では教員の早期退職を募集しており、毎年数十人単位で教員が減っています。あまりにも少なくなってしまい、講座や附属病院の診療科の統合などが検討されているようです。つまり、臨床教育研究が満足に出来るレベルではもうない可能性が高いです。この時期の文春砲は入学辞退を招くかもしれませんね。残念ですが、この文春砲が鶴見大学への最後の一押しにならない事を祈るばかりです。
追記(2023/03/09)
鶴見大学が文春砲に対して反論を公開しました。
留年商法について明確に否定しています。
また、アカハラは事実ではないと否定しています。
反論したとしても、文春砲が与えたイメージの悪化を否定できるほどの材料は今の鶴見大学にはないのが現状です。せめて来週の歯科医師国家試験の結果発表で合格率が90%とかそれぐらいになれば、今回の卒業判定の正当性に理由を持たせることができるのかもしれませんが・・・・。
鶴見大歯学部 卒業試験の合格者が半数 文科省に是正申し入れ
追記:2023/04/15
鶴見大学歯学部の6年生、元6年生が文科省に是正申し入れを行ったようです。
大学への署名活動時には結構な人数がいたはずですが、文科省申し入れは5名とかなり人数が減っており、同じ留年除籍組でも温度差がありそうです。
この5名のうちまだ在学している人は、腫れ物のように扱われるでしょうね。自分が指導者なら、こういった人よりも国試に受かりそうな成績の学生に指導のプライオリティを置き、腫れ物には落ち度がない程度の対応になると思います。人間ですからね。いつまでも歯を磨かなくて言い訳ばかりする人の治療が萎えるのと一緒です。残念ですが、今回の5名以外に最初の署名に加わった人は全員そういう態度で臨まれる可能性があります。
彼らが今年卒業出来ていたとして、国家試験に合格できた可能性は著しく低かったのではないでしょうか?
模擬試験の結果を受験したもの全て全員開示して、3000人中1000番で受験できれば合格濃厚だった!ぐらいのパフォーマンスをすれば、鶴見大学の卒業判定がおかしい、ということになるかもしれませんけどね。そんな人はいないのではないでしょうか?
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