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目からビーム!169命どぅ宝、されど

 安倍晋三元首相の三回忌がやってくる。久しぶりに顔のある日本の首相だった。彼以前の首相は、国際的にはまったく顔のない、ただのATMだったのである。おそらく、アメリカ合衆国の大統領に頼りにされる日本の首相など彼以外にはいなかった。
日本の保守からはトランプ再選待望論もあがっているようだが、たとえ第二次トランプ政権が誕生しても日本は前途多難としかいえない。彼はアメリカン・ファーストの人。「日本は安保タダ乗りだ。日本にはみかじめ料を今の2倍払わせる」と息巻いていた彼に、「日米安保はアメリカにとっても大切だし、むしろ安上がりなんですよ」と説明して納得させてしまったのが、安倍首相だ。今の日本に、そんな芸当のできる総理候補はいるだろうか。安倍首相の死とともに自民党も死んだと思っている。その損失はあまりにも大きい。
ダラスの暑い日ならぬ、奈良の暑い日。今更ながら、警護にあたっていた奈良県警とSPの不覚に関しては、きびしく責められるべきである。山上某が銃器らしきものを取り出した瞬間、射殺するべきだったし、日本以外の国だったらそうしていたはずだ。「日本の要人警護はどうなっているんだ」と英国人の友人に言われたときは、返す言葉もなかった。
一部識者の間では、山上某ダミー説も出回っているようである。山上はあくまでダミーであり、本当の狙撃手は他にいるという。その場合も、山上の射殺は有功だろう。目の前でダミーが撃たれれば、狙撃手が引き金を引けなくなるからだ。
そもそも、統一教会が憎いというなら、彼が標的にすべき者は別にいる。動機としてもどこか不自然な印象は否めない。僕がダミー説を一笑に付すことができない理由はそこにある。
どんな者であろうと人である限り命は等しく大切―。理屈ではわかる。だが、宗教家でも法の専門家でもない僕からみれば、山上某と安倍首相の命を等価値だとはといてい思えないのである。というようなことをいうと、世の人権屋さんには叱られるかもしれないが、少なくとも、あの暗殺を「でかした」と言った漫画家、「世直し」と言った教授、「成功してよかった」と言った作家に、僕を責める資格はなかろう。そして、この三バカの命を足してもなおも重い命が、あの日、凶弾に奪われてしまったのである。

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