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たまには音楽の話を~〇人抒情歌ウイロー・ガーデン

 桜ういろう騒動はこれからが本番だろう。僕も彼には結構悪口書かれていたし、ざまあみろとは言わんが、これに懲りて大いに反省してもらいたいものだ。あくまで噂だが、僕のツイートの言葉尻をとらえツイッター社にアンダーティーク(チクリ)をしたのが彼(だけではなかろうが)だという話も聞いている。
 櫻井くんよ、心配するな、共同通信をクビになっても植村のように週刊金曜日が拾ってくれるさ。あそこはまさにサヨクの再処理工場、リサイクルショップだ。
 この騒動のおかげで、ういろうは漢字で外郎と書くのを知った。外郎(げろう)と読めなくもない。下郎である。

「ういろう」繋がりで(?)、アート・ガーファンクルの『ウイロー・ガーデン』(原題Down in the willow garden)という曲についてちょっと語ってみたいと思う。
 この曲、ブルー・グラスの創始者ビル・モンローの兄チャーリー・モンローが1945年に作曲したといわれているが、実はいわゆる詠み人知らずの民謡で、チャーリーはその発掘者というのが正解らしい。チャーリーの他、アートの少年時代のアイドルだったエヴァリー・ブラザース(S&Gは彼らに多くのスタイルを借りている)の楽曲としても知られている。アーティはこちらからインスピレーションを得ているのかもしれない。
『ウィロー・ガーデン』自体は、アメリカ北部の民謡がベースになっているが、内容は英国のマーダー・バラッド(Murder Ballad)の系譜に入るもの。Murder Ballad(殺人者のバラッド)とは、その名のとおり、殺人者が自分の犯罪を一人称で語るという体裁をとったもので、語られる殺人は不条理なものが多い。クイーンの『ボヘミアンラプソディー』もこの流れを汲んでますね。曲の結末もおおむねパターン化されており、歌の主人公(つまり殺人者)が投獄されるか処刑されるか、はたまた逃亡するか、である。
『ウィロー・ガーデン』では、柳の庭園で出会い愛を誓った恋人を刺し殺し川に捨てるお話である。殺人の動機はくわしく書かれていない。

 同曲は、アーティの初ソロアルバム『エンジェル・クレア』(Angel Clare)に収録。彼の澄んだ高音が、このヤバイ歌詞をどう料理するのか気になるところだが、美声にかぶさるようなジェリー・ガルシア(あのデッドのガルシアですぞ)のウネウネ・ギターがみごと内面の狂気を表現しているように思えるのだけど、どうだろう。

Down in the willow garden      柳の庭で
Where me and my love did meet   僕は彼女に会った
As we sat ther a courtin'        愛の語らいをするうちに
My love fell off to sleep        僕の恋人は眠ってしまった
I had a bottle of burgundy wine   僕はバーガンディワインを一本もっていたのに
My love she did not know       彼女は気付かない
And so I poisoned that dear      だから僕は彼女を殺してしまった
little girl 

On the banks below     下の土手で

I drew a saber through her      僕はナイフを突き刺した
It was a bloody knife          血だらけのナイフを
I threw her into the river        川に彼女の死体を投げ込んだ
Which was a dreadful sight      それは酷い光景だった

このあと、主人公の親父が出てきて、カネで事件を解決しようとするが、結局、親父は一人息子が絞首台に引かれていくのを見守ることになる。

  アルバムAngel Clareを聴いたかつての相棒のポール・サイモンは「アーティは甘ったるい曲ばかり歌いたがる」と言ったそうだが(僕もそう思うけどw)、同アルバムには、亡き恋人の後追い自殺する少女を歌ったスコットランド民謡『バーバラ・アレン』、孤独なまま天に召されていく少女が主人公の『ひとりぼっちのメリー』、「老人よ、静かに死になさい。人は誰でもいつかは死ぬのだから」とつけ離す、ランディ・ニューマン作の『オールド・マン』、あるいは「さあ天国行きましょう、歌いましょう」とひたすら陽気に歌う、アフロ・ロックグループ、オシビサのナンバー『天国への道』など、死をテーマにした曲が多く収録さえていて、この選曲眼からしても、決して一筋縄でいかないものを感じる。そして、アルバムタイトル。邦題が『天使の歌声』で、これまた甘ったるいが、実はエンジェル・クレアはトーマス・ハーディの主人公『テス』(ポランスキー&ナタキンの映画でもおなじみ)の登場人物の名前からで、というとなかなかブンガクの香りがしちゃったりする。小説のほうも、主人公テスが男を殺し、絞首台に上るという結末でした。
 アルバムのほうは、ガルシアの他に、J.Jケイル、ラリー・カルトン、ロス・インカス、ラリー・ネクテル、ハル・ブレイン、それにポール・サイモンが参加してます。贅沢!

▼こんなの見つけました。ジェリー・ガルシアの『ウィロー・ガーデン』。

 日本の大衆歌謡にマーダー・ソングを探すのはむずかしい。やはり、ラジオ・テレビという放送媒体に頼る性質上、倫理上の問題にぶつかるのだろう。寺山修司作詞のこの曲は数少ない例外であり、傑作といえる。


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