小説「ヘブンズトリップ」_20話
俺はすっかり気を失ってしまったみたいだった。心地よく眠っていたようでスッキリと目を覚ました。よかった。とりあえず、生きてる。
隣に史彦がいると思って目を向けるが、そこはどこだかわからない、覚えのない場所だった。
俺が眠っていたのは車の中ではあったが、助手席ではなく、後部座席。
史彦の姿が見えない。そしてこの車はマークⅡではない。
窓の外を見て確認しようと状態を起こしたら、バックミラーを通して、運転席の人物が声をかけてきた。
「気がついたかい? 傷は平気かい?」
低