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福家警部補の挨拶。

本格倒叙形式ミステリー。綿密な計画で完全犯罪を目論む犯人を追い詰めるのは、およそ捜査担当者には見えない小柄でおっとりとした縁なし眼鏡の女刑事だった、という話。シリーズ一作目、全四編を収録。

倒叙ミステリーの生命線は探偵役のキャラクターに掛かってると思うけど、本作の福家警部補のクスりとさせる設定は、コロンボ好きの著者ならではの絶妙な匙加減で描かれている。コミカルだけどどこか掴み所がないので、むしろ犯人に感情移入することになり、謎の刑事が淡々と追い詰めてくる恐怖感や言い逃れ出来なくなった時の絶望感が楽しめた。

心理戦による駆け引きとか犯人による咄嗟の機転とか物語の起伏が乏しくて各話の印象がちょっと薄かった気がする。まぁ倒叙ミステリーって華がないよね。





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