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カード・ウォッチャー。

サービス残業が常態化した株式会社塚原ゴムの研究所で深夜に起こった社員の転倒事故。サービス残業中の事故に労災は適用されるのか。労働基準監督局の臨検が通告され対応に大慌ての最中、倉庫から見つかったのは社員の死体?という話。

そうは言ってもサービス残業がなくならない世の中を知る者としては斬新なクローズドサークル設定にシビれずにはいられない。牽制し合い、擦り付け合い、かばい合い、社会人としての慣習がミステリーの一つの要素を担う不思議さ。

三谷幸喜的なドタバタ喜劇でも成立しそうなストーリーだけどきちんとしたミステリー。八月の魔法使いのようなハイレベルな論理的思考とかタイトルにちなんだタイムカードから真実を読み解いたりするようなアクロバティックさは無く、当然の様に防戦一方という構図は好みが分かれそうな所だけど、そこら辺も石持浅見っぽいと思う。読了感は悪くはないが満足感は若干薄め。


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