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ベンハムの独楽。

ジャンルも作風も世界観もまるで違う短編集。
・一つの魂が二つの肉体を行き来する不思議な双子。
・少し先の未来が見える能力に悩む友人との会話。
・本を読むことで食事をする男とその恋人の話。
・不思議なきっかけで知り合った三人の若者の青春。
など、仄暗い甘ったるさとビターな切なさが感じられる全9篇。

多様な物語の各々に著者の色を感じるので見本市としても見事なものだと思う。ごった煮感が醍醐味だと思うけど、ストーリーの核がしっかりしてるから人によっては物足りなかったりジャンルを絞って欲しい意見があるかもしれない。底知れない技量が垣間見える贅沢な佳作。

不条理なSFとたまに爽やかな不思議な読了感で、乙一とか好きな人におすすめしたい。なんとなく「日曜の夜は出たくない」みたいな、何かを探したくなってしまう。もう一度回したら違う模様が見えてくる、かもしれない。


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