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Vivie CALLIONという名機

2020年の夏に入手。

当時SNS上で有名アーティストがこぞって紹介していた機種で、現在でも比較的若い層のボードで稀に見かける歪みです。

なぜCALLIONは一定の評判を得るに至ったのか。
現在は無くなってしまったVivieですが、この機種を4年間メイン歪みとして使い続けている筆者が分析していきたいと思います。

結論から言うと、
優秀だが使う人をかなり選ぶペダルです。


基本情報

コントロール:LEVEL,GAIN,TONE,Tightスイッチ
電源入力:DC9V~18V or 006P型9V電池
消費電力:最大20mA
寸法:W75mm × D115mm × H48mm
本体重量:210g

レビュー

1.トランスペアレント系ではない

とはいえ、あくまで主流のモダン系歪みたちと比べたらの話。
昨今SNSを中心に評判が広まるタイプのペダルは
「ハイファイでキラキラしていて分離感や抜けがいい」
というトランスペアレントな類のものが多いと思いますが、CALLIONにもその傾向は少しあるものの、どちらかといえばピークが中音域にある昔ながらのTS系の要素を多く含んでいます。

CALLION特有の挙動として低音弦の独特なバイト感が挙げられます。
低音弦ほど倍音が多めに足されているといいますか、
低音弦を強く弾いた時の金属っぽい音やビビりをやや誇張するような挙動があります。これにより低音弦の抜けは良いですが、若干のいなたさを感じる要素でもあるため純粋なモダンさを求める人には邪魔になってしまうでしょう。

この挙動ですが、私が所持しているKlon KTRにも似た部分があります。
つまりCALLIONは若干のケンタ系を含んでいます。
違う部分としては、KTRは高音側に小さいアンプで鳴らしているような歪みのピークがありますが、CALLIONは高音側には大きなクセは感じません。

JanRayっぽいと言われることもありますが結構違っていて、比べるとCALLIONの音には一歩引いた膜のようなものが存在しています。

バイト感が強かったり、現代的な歪みよりキラキラしていなかったり
昨今のトランスペアレント系を求めている方は肩透かしを食らうでしょう。
はっきり言ってTS系です。
モダンとTS系のいいとこ取りをしたい人には向いています。

2.何とでも組み合わせの相性が良い

TS系なんで大体当たり前なんですが、
前段歪み・後段歪み・アンプ、ギターまでも
どれを取ってもモノを選びません。

前段でブーストしてもよし、後段で歪みを足してもよし。
組み合わせるペダルやアンプの特性を最大限生かして殺しません。

個人的に最強なのはファズとの相性。
後段でベンダー系ファズをかけたときにCALLION特有の倍音が作用してか、
ファズ特有のONにした途端に奥に引っ込む現象が無くなります。

これは他の歪みだと全く再現できないかToneをやたら上げないと再現不可能なので、CALLION唯一無二といっていいアドバンテージだと思います。とはいえブッチブチでこもるファズが好きな人もいるので好みではありますが。

3.帯域のバランスが整理されている 

組み合わせの相性がいい理由のひとつです。
CALLIONは超低音やプレゼンスが程よくカットされており、
どの帯域が出過ぎているということもありません。
おかげでボードに配置することでちょっとしたEQにもなります。

ただし注意して欲しいのは、この帯域傾向は
ギタリストが一人で弾いて気持ちいい音より、アンサンブルや音源との馴染みのよさが重視されているということです。

インスト曲のリードギターや、ギターを目立たせないといけない弾いてみた系ギタリストには物足りない可能性があります。
どちらかといえばバッキングや、音馴染みが重要な編曲向きでしょう。

また元々低音がすっきりめですが、
TightスイッチでさらにMixした後のような音にできます。
ギターが2本いるバンドで簡単に音の住み分けをするのにも有用です。

簡単にボーカルや他の楽器とぶつからない音作りがしたい人や、
宅録でのMixを簡単にしたい人におすすめです。

4.コントロールがしやすい

LEVEL・TONE・GAIN それぞれのコントロールは
実用的な範囲に留まっており、
使えないポイントがほとんどありません。
全て12時でバランスが最適になるよう作られているので、
コントロールが非常に直感的にしやすいです。

GAINは幅広く、MAXでディストーションの手前くらいでしょうか。
12時までは原音が残り、それ以降は徐々に全体が歪んでいきます。
トランスペアレント系と一番違うのはここです。
CALLIONはGAINと共にキラキラ感が減っていくので、常にハイファイな音が欲しい人には向きません。
しかしながら、全体が歪んで粘っこさが増すことによってむしろ単音のフレーズ等ではよりスムースな弾き心地になっていきます。
乱暴に言えばモダンとヴィンテージを行き来する感じ。
CALLIONが幅広いジャンルに対応できるのはこの挙動による恩恵でしょう。

個人的には若干の粘っこさが欲しいので13時~15時を多用しています。

5.超ノイズレス

意味わからんくらいノイズが少ないです。

6.昇圧を活用すべし

CALLIONは9V~18Vの電圧に対応しています。
昇圧によりヘッドルームを広げることができ、
入力音に対する歪みのポイントを少しだけ上げることができます。

劇的な変化はしませんが、12V、18Vと上げていくと
GAINツマミをひと目盛りずつ下げていったような歪み量に変化します。
これによりCALLIONのいなたさを少しだけ解消することができます

特にCALLIONの前段にブースターを置く場合におすすめです。

個人的には18Vだとクリーンになり過ぎるので、
間を取って12Vに設定しています。

結論:使う人をめちゃくちゃ選ぶ


ギター単体で目立ちたい人は他のもっと抜ける歪みでいいし、
適当でも大体気持ちよくなるリアルアンプがメインの人や、
EQの後処理が得意な人はもっとレンジの広い歪みでも大丈夫。
普通のギタリストが優先的に選ぶ必要のある歪みではありません。

汎用性は高いので人を選ぶというと語弊があるかもしれませんが、
“このペダルでなければならない人”はかなり限定的だと思います。


結論としてどのような人におすすめかというと、

A.ギターボーカル
B.宅録で使いやすいのが欲しい
C.一台で幅広くこなしたい
D.ファズを前に出したい

これらが3つ以上当てはまる人におすすめです。
さらにこれらが当てはまっていても
E.一番気持ちよく弾ける歪みがいい!
が優先度1位の人にはおすすめしません。

私の場合ABCD全て当てはまっているので、替えがなかなかきかず
色々な歪みを試すもCALLIONをリストラするには至っていません。
最近Sakaki S-Distortionというペダルと入れ替えることもありますが、それもA,BとDを少しクリアしてる程度で完全な代わりにはなっていません。
ABCDE全てをクリアする歪みがあれば最高なんですが…。

ただ、Cの長所は結構大きいのでボードを小さくしたい方や予算的にペダルの数を増やしたくない方には選択肢に入りやすいでしょう。
ブティックペダルとしてはお手頃なので高騰する前に手に入れましょう。

人を選ぶペダルながら一部流行った理由はCの長所と価格、でも一番は当時のVivieのマーケティングの上手さだと思います。

というわけで個人的名機「CALLION」でした。


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