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バードヘッドエフェクト

手塚治虫の遺言を守って政治的な発言はしないようにしている。それがいいことか悪いことかは判断は他の人に委ねるとして、政治に関わらないことで寿命は延びるということだけは断言できる。選挙の時期になるたびに貼り出される政治屋の顔を見ていると物凄い気持ちになる。どの顔も学生時代には誰からも相手にされなかったことがくっきりと表情に浮かんだとびきり冴えない顔ぶれである。一体全体これはどういうからくりなのか。例えばクラスで抜きん出た存在のあの子やあの子はどこに行ってしまったのだろう。利発で、リーダーの素質があり、運動神経に秀で、示唆に富み、正義を愛し、悪を憎み、ユーモアのセンスも抜群だったあの子たちはこの掲示板のどこを探してもいないのである。もしかするとポル・ポト派の粛清にあって全員抹殺されてしまったのかもしれない。そうでなければ、この揃いも揃って3軍にも入れないような人種が政治屋になって官僚や経団連や医師会や気色の悪いカルト教団の言うがままの機械人形になって国の舵取りを許されるわけがない。掲示板に貼られた顔は半ば笑い、半ば泣いているような情けのない顔に僕には眺められる。

話を少し脱線しよう。女性の語る性愛の話が私は好きである。大抵の女性はこきおろす。彼女たちに関わった男性たちの情けない痴態やセックスの稚拙さ、曖昧模糊とした思想や煮えきらない態度、これらを女性たち、小股のきれあがった闊達な女性たちは嘲笑する。なるほど女の園バンザイ。女の国永遠なれ、と私も万雷の拍手を送ることはやぶさかではない。私自身男性だが大抵の男性は苦手である。恥を知らないとしか思えないような男性の生態は滑稽である。滑稽であるが、同時に恐ろしくもある。こんな洟垂れ小僧のうんこまみれの愛の乞食たちが、それでも男性優位社会を是として君臨しているのだ。私は驚きを禁じえない。なぜ女性は手と手をとってこの圧政を覆そうとしないのだろうか。そう、あなたも薄々は気づいている通りなのだ。一部の女性はその他大勢の女性を虐げている。巧みに、阿呆面をした専制君主たちを操作している。あらゆる陰謀にひと噛みして、女性たち全体の価値を貶めている裏切りのサーカスで最もうまいブランコ乗りがこの世には存在しているのだ。

選挙にいこう!と左派と呼ばれるような人々、芸術や芸能に関わる人達はしきりに発言する。これには本当に嫌気がしてならない。あなたの一票がかならず政治を変えるだろう。バカも休み休み言えば自己治癒能力の作用で治るものだろうか。あなたの一票を投じるにも、掲示板を見ろ。なんだこれは。フランケンシュタインよりも表情の硬い政治屋がニマニマしているポスターが並んでいる。こいつらの誰かに、おれの大切な一票を与えることで、いわばフニャチンを尻の穴に挿入する権利をくれてやるなんて、ハハハ、絶対にごめんだ。政治屋たちの不誠実さは、我々市民は骨の髄まで味わった。歴史は繰り返される。まともな人間は残らず消える。生き残った鈍感力だけが取り柄の機械人形(デク)がこちらを指さして嘲笑うのだ。

民主政治に最も重要なのは頭数である。頭数を揃えるのに手っ取り早いのは秘密結社を地下で育むことである。もちろん、秘密警察の監視も物ともしないような組織力を持てば政権は打倒できるだろう。クラスで地味で冴えず、他人を羨むことくらいしか特技のない野比のび太的な人物を選挙で選んではいけない。野比のび太はかならず逆恨みをして復讐をする。適切な対抗馬を選挙に送る必要がある。そしてこの対抗馬を暗殺されないように守る必要がある。選挙に出れば殺されるような状態にならないように、こちらも武装をせねばならない。理論も武器も潤沢に必要だ。

手塚治虫の遺言を守って政治的な発言は控えている。それがいいことではないを僕は知っている。賢い人間ってのはそういうものじゃない。不正や不義に鉄槌を下ろすことも時には必要だ。庭の雑草を刈り取らないとおぞましい獣がやってきて、あなたやあなたの大切なひとたちを頭の天辺から足先までバリバリと不快な音を立てて食べ尽くしてしまうだろう。怒りを「適切に」込めて振り返れ。政治(観念)の話は好きじゃない。ドンパチ(行為)の話だけしようじゃないか。

身を切るということが美徳とされてきた節がある。革命のために流された血を尊い犠牲と呼び神社仏閣のようにカテゴライズされ陳列する。すぐに埃まみれになって誰も観なくなるだろう尊い犠牲のために命を張る人間はまずまずマゾヒストであることを疑っていい。選挙にいこう!(立候補しているのが何処の馬の骨かわからないまま盲滅法で投票して社会的な自己責任を満足させて自慰行為に及ぼう!)ではあまりにも弱すぎる。他者と寝よう!が正しい。あらゆる人間は癖がすごい。100人居ればオルガスムスも100通りある。身を切ろう!では弱すぎる。身をくねらせてダンスに興じよう!さあ、夢にまで見た争乱の日々の始まりだ!

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