ask【85】猛る気持ち
叶わなかった恋があるのですが、未だにその方を思うと猛る気持ちがあり、この先別の誰かに恋焦がれることがあるのかしらとぼんやり思う日々を過ごしているのですが、そういった思いから脱却する方法をご教授いただけますか。
私の敬愛してやまない三島由紀夫が、若い頃に肉体関係のあった恋人とかなりおじさんになってから再会し(三島からそう仕向けただけですが)、再び関係を結ぶという顛末が詳しく書かれた小説があります。福島次郎著『三島由紀夫-剣と寒紅』という本です。もしよければ一読下さい(発禁本ですが、古本屋などで定価で買えます)。恋をする者の無様さ、美しくなさ(猛る気持ち!)、それがよく理解できる小説です。また、これまた私の敬愛してやまないヒース・レジャー主演の出世作『ブロークバック・マウンテン』という映画はご覧になりましたでしょうか。こちらも同性愛を扱った作品になりますが、三島福島カップルとは違って、恋をする者の物凄さ、儚さにピントが合わされており、恋が見事なまでに消化(昇華?)されております。福島次郎と二度と会えないということを悟り、オカマの友人の家のベランダで滲む星空を見上げながら、滂沱の涙を流す三島由紀夫の映像を思い浮かべると、本当に笑いが止まらなくなります。お相手のことが詳しく書かれてないので、断言するのも何ですが、叶わなかった恋(過去という名の亡霊)は不燃ゴミの日にでも出して、綺麗さっぱりお忘れになることです。明るく楽しく暮らしていけば、恋などまた売るほどできます。
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