『昨夜のカレー、明日のパン』《感想》
「嫉妬とか、怒りとか、欲とか――悲しいかな、人はいつも何かにとらわれながら生きてますからねぇ」
私はいったい何にとらわれているのだろう――
『昨夜のカレー、明日のパン』は、夫の一樹を亡くした主人公テツコと夫の父ギフが周囲の人々と関わりながら一樹の死をゆっくりと受け入れ、穏やかに日常を紡いでいく物語だ。
この本に惹かれたきっかけは、タイトルの「カレー」と「パン」。 体調が悪くお粥しか食べられなかった私には2つの単語が輝いて見えた。 読んでみると、作中に食べ物の描写は