「天才てれびくん the STAGE ～バック・トゥ・ザ・ジャングル～」ステージレポート

1993年に放送をスタートしたNHK人気番組『天才てれびくん』の舞台化作品第2弾が、6月21日より東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで開幕！
大人になった「てれび戦士」たちが、世界から失われつつある〝娯楽〟を取り戻すべく、未来を変えるために大昔へタイプスリップ！　ジャングルで繰り広げられる娯楽奪還大作戦の模様をレポートします。

ある朝目覚めた矢部昌暉（矢部昌暉）は、部屋から忽然と〝テレビ〟が消えていることに気付く。
それどころか宅配業者からも〝てれび戦士〟である自分の存在を認識されず、CDもスマホも〝娯楽〟に関わる全てのものが失われつつある世界に怯え始める。

この世からてれび戦士の存在が消えようとしている……なんとか連絡の取れた他のてれび戦士たち、長江崚行（長江崚行）、伊倉愛美（伊倉愛美）とテレビ局「メディアタワー」で落ち合うも、なんとそこは廃墟と化していた。千葉一磨（千葉一磨）とも合流し、てれび戦士4人が集結したところで茶の間戦士トレーニングロボ・マーヴェラス西川（西川貴教）から告げられたのは「世界から失われつつある〝娯楽〟を取り戻せば、仲間たちは戻ってくる」という衝撃の事実。

てれび戦士を、そして〝娯楽〟を取り戻すべく、マーヴェラスの力で飛ばされた先は、なんとマンモスが跋扈する大昔のジャングル！　そこへ現れたのは助けを求め逃げ惑う娘・ミーサ（伊藤理々杏）と、彼女を追うモリノ（健人）、ウギラ（加藤 将）、ムラナガ（チャンカワイ）ら村人たち。
言葉の通じない彼らと意思疎通を図るため、4人は〝歌〟と〝ダンス〟で敵意の無いことをアピールしようとするが……。

火に油を注ぐかのごとく、逆上する村人たち。なんとこの村では、全ての〝娯楽〟が禁止されていたのだ。現れた村長のハムラ（伊藤裕一）に捕らえられてしまう4人。「あの村長に何か秘密がある」と睨むてれび戦士たち。

ミーサはなぜ逃げていたのか、ハムラはなぜ頑なに〝娯楽〟を否定するのか。そして、てれび戦士たちは〝娯楽〟を取り戻し無事元の時代に帰れるのか――。

テンポよく進むストーリー展開と、随所に挟まれた歌とダンス。子供から大人まで安心して楽しめる作風は前作「天才てれびくん the STAGE ～​てれび戦士 REBORN～」から受け継がれている。
そこかしこに散りばめられた笑える要素は、今作の演出を手掛ける小林顕作〝節〟を感じさせ、思わずニヤリとさせられた。最後のカーテンコールまで気を抜けない小ネタが満載だ。

本来なら客席も一緒になって声を上げて歌いたい場面も、本作ではその代わりに手拍子やペンライト、観客が答えを選べるクイズコーナーなどでカバー。生の舞台ならではの客席との一体感を上手く作り出していた。

笑いありアクションあり感動あり。何も考えずに楽しめる作りながら、作り手や役者たちからは昨今の演劇を取り巻く状況への思いも感じ取ることができ、思わず胸が熱くなる一幕も。

楽しむことさえ憚られるような重い空気を吹き飛ばす快作。老若男女が楽しめる、良質な〝娯楽〟がここにはある。劇場で、配信で思いっきり笑っていただきたい。

「天才てれびくん the STAGE ～バック・トゥ・ザ・ジャングル～」
【日程】2021年6月21日（月）～6月26日（土）
※6月19日（土）、20日（日）の公演は中止
【会場】東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
【日程】7月10日（土）、11日（日）
【会場】大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【演出】小林顕作
【脚本】川尻恵太（SUGARBOY）
【出演】
矢部昌暉（DISH//）、長江崚行、伊藤理々杏（乃木坂46）、健人、加藤 将
伊藤裕一、伊倉愛美、千葉一磨
チャンカワイ（Wエンジン）
西川貴教（映像出演）
オフィシャルサイト
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©「天才てれびくん the STAGE」製作委員会
撮影：曳野若菜