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君はえすらじくんを知っているか。

もっちりとした体つき。
肩に下げたラジカセ。
ぴこぴこ光る赤いアンテナ。
サムネイルでいつもマイクを持っている、ブルーグリーンのあいつ。
 
S/PARKラジオのマスコットキャラ、えすらじくんです。

これがえすらじくんだ!


なんとなくゆるい雰囲気に、つぶらな瞳がたまらなくかわいい!
ということで、勝手に「えすらじくん愛好者」を名乗っている私、中井と申します。
えすらじくんはかわいい!でも、とてもミステリアス。
宇宙人?妖精?はたまた別の何かなのか……?
えすらじくんの謎に迫りたい!
あわよくばリスナーのみなさまにも、えすらじくんの魅力をお伝えしたい!
というわけで、
生みの親である駒野研究員、同じく愛好者の高橋研究員とともに、えすらじくん座談会のはじまりはじまり。


えすらじくんの生みの親、駒野研究員

えすらじくんについて聞く前に、まずは駒野研究員ご自身について伺いました。

中井:まずは自己紹介をお願いします。
駒野:香料開発をしています。主な仕事は3つで、
①ブランドの香り開発
②製品の匂い保証(注1)
③応用研究(注2) です。

中井:駒野さんが香料開発に入ったきっかけはなんだったのでしょうか?
駒野:ちょっと思い出しますね……。大学後(修士以降)の進路を考えたときに、この世界(大学研究)に残るのも、絵や音楽など感性的で心動かされることで生きていくのも難しいなと。そう思っていた時、香りって化学の知識も必要だし、つくるとなるとアートな部分があって、「両方が必要な分野を見つけたぞ!」とひらめきました。香りを嗅ぐと過去の記憶を呼び起こされる経験(注3)がとても不思議で、そのえも知れない力に惹かれました。でも香料の仕事って門戸が狭いっていうか……
髙橋:少数精鋭ってイメージですよね。
駒野:最初は別の分野の製品開発に配属されました。希望通りにいかなくてショックだったんですが、学びや発見もあったので、その仕事も面白いなと思いながらやってたんです。でも2,3年すると(香料の仕事をやりたい思いが)もやもや~っと湧き上がってきて、香りの学校に3年通いながら、もやもやが晴れるようにちょいちょいアピールしてました。6年目にポジションの空きが出て香料開発の部署に配属されました。前社の話ですが。
中井・髙橋:すごい!
中井:やりたいと思っても、そこまでする人はなかなかいないですよ。
髙橋:空きが出たら「あいつやってたもんな~」って思いますからね。
駒野:少しずつほふく前進でにじり寄っていった感じですね(笑)

髙橋:(香料開発では)どういうトレーニングをするんですか?
駒野:化粧品だけでもかなりの数(3桁くらい)の香料が使われているので、まずその香料を単品で覚えて、次に混ざったものを嗅ぎ分けて、香りの種類や配合率を当てる。そのあと有名香水を再現してみる、というのがベーシックなトレーニングですね。
髙橋:混ぜたものは嗅げば「これとこれとこれだ!」とか分かるものなんですか?
駒野:100%は難しいですね。香りは時間経過で変わるので、それも感じながら嗅ぎ分けます。
髙橋:解析のクロマトグラフ(注4)と一緒ですね!
駒野:料理を食べたときに、過程を知らないままなら「おいしい!」というだけだけど、料理をする人なら使ってる調味料が分かって、なんとなくで再現できたりしますよね。ちょうどそんな感じです。
髙橋:部品が分かると全体が分かるって感じですね。


知られざる、えすらじくん秘話

そんな駒野研究員から生まれたえすらじくん。
その誕生に迫ります。
 
中井:えすらじくんはいつ頃生まれたのでしょうか?
駒野:2022年春くらいだったはず……(注5)。確か、妹との雑談中に描いた落書きが最初です。わたしと妹は、なにかとキャラと物語をつくりたくなってしまう習性があって、子供の頃の遊びが今も続いている感じです。「えすらじっていうポッドキャストが始まったんだよ~」という雑談から、落書きと設定がどんどんひらめいて、気がついたら「えすらじくん」が生まれていました(笑)。そんなふうに生まれたえすらじくんをメンバーに共有したところ、みんなから「かわいい!」という反応をもらえて、正式にキャラクター化された感じです。ちょうど番組のステッカーを出したいという話も出ていたので、そのまま色々なグッズが作られるようになりました。

中井:私はえすらじくんのたれ目なところが好きなんですけど……
駒野:よくお気づきで!
髙橋:ほんとだ、よく見るとたれてる。
中井:駒野さんから見る、えすらじくんのこだわりポイントはありますか?
駒野:この頭身です!
髙橋:2~2.5頭身くらいの。
駒野:今、姪っ子が同じくらいの頭身で、ちょうどこのくらいのもっちり感で……かわいいの権化ってこの頭身なんだなって……
髙橋:いい。うん、いい……"てとてと"走るんですよね。
駒野:あとは目と口の微妙なバランスで変わってしまうので……。漫画原作のアニメやキャラクターだと、原画とキレイになったアニメ版ではデザインが違うじゃないですか。そういう違いもあるので、えすらじくんも私が描いた"荒々しい"姿も見ていただければと。

デザイナーさんがキレイにしたえすらじくんの初稿。まだ目がたれてない!

↑えすらじくん誕生秘話はこちらでも


えすらじくんの秘蔵資料大公開!

妹さんと作り上げた最初のえすらじくん。すでにかわいいが渋滞している。

【えすらじくん、知られざる設定】

  • GIC(注6)の屋上でテント暮らししている(アンテナをもって受信している)

  • 赤のディスクでワープする

  • 青のディスクをセグウェイのように乗りこなして現れる

  • ヘッドホンは外して寝る

などなど、知らない設定盛り沢山に大興奮!

※愛好会コメント(超抜粋)
・知られざる設定がいっぱいあって "萌え" が高まりますね!(by 研究員N)
・尊いな!(by 研究員T)
その他、書ききれないほど色んな驚きと発見と萌えがありましたが、ほぼ奇声になってしまったので割愛。

駒野:バックストーリーあってのこの表情・ポーズなんですよねぇ(にやり)

余談ですが、最近ポーズが増えたときには愛好会として高橋研究員と私もこだわりを詰めてデザイナーさんと調整しました。
えすらじくんへの愛は海より深し。それがえすらじくん愛好会。このときばかりは同じ社員ではなく、創造主とファンが愛を語る、貴重なファンミーティングに。
駒野画伯、ありがたやありがたや……(拝むポーズ)


えすらじくんグッズ化計画。

大盛り上がりのえすらじくん座談会。

ちょうど愛好者たちの語彙力が失われてきたところで、創造主・駒野研究員と「欲しいえすらじくんグッズ」の話題に。

駒野:ちょっと立体物作ってみたいです!
中井:ぬいぐるみとか?
駒野:フィギュアとか。そういえば会社に3Dプリンターがありますね!
髙橋:作れますね!
駒野:こう、手乗りサイズくらいの……
髙橋:わかるぅ~!!
 
髙橋:僕はアクスタ(注7)が欲しいですね。
中井:今どきは同人レベルで発注できますから、作れますね!
 
駒野:前々から思ってたのですが、手ぬぐいを作りたいんですよ。
中井:こないだ(Podcast weekend(注8)で)作ったタオルもかわいいですけどね。日常で使ってます。
髙橋:僕も!
駒野:でもやっぱり手ぬぐいがほしいです。
中井:原画のラフな線がを生かしたテイストで?
髙橋:わかる!欲しい~!
 
髙橋:えすらじくんステッカー(Podcast weekend等で配布)は誰に見せても「かわいい」「ちょうだい」ってなるんですよね。
駒野:私も"もしゃっ"と持っていって「聴いてね~」って配ってます。
中井:お子さんにも大好評ですよね。
駒野:ちょうどスマホの裏に入るサイズなので、家族も入れてくれてます。
髙橋:僕も。
中井:私も。
 
こうしてえすらじくん企画会議の夜はふける……
※インタビューは就業中ですよ!


最後に、一番聞きたかったこと。

中井:そもそも、えすらじくんって何者なんですか?
髙橋:僕はほかの星から来たのかと思ってました。
中井:ラジオの妖精かと。
駒野:どっちかっていうと妖精?突然GICに「ピンポーン!」って現れて「屋上に住まわせてください!」って来たみたいな。
中井:真相は謎のままですね。


赤のディスクか、青のディスクか。

マスコットキャラクターとして頑張ってきた彼ですが、番組リニューアルにともない、旅に出ることに。
 
小説『ロング・グッドバイ』にて、探偵フィリップ・マーロウは
"To say Good bye is to die a little." (さよならをいうのは、少し死ぬことだ)
との言を残していますが、私は声を大にして言いたい。
 
えすらじくんは永久に不滅です!!
 
愛好会として、えすらじくんのことがもっと大好きになった今回の取材。
そして、掘れば掘るほど面白い、えすらじくんと駒野研究員のバックストーリー。
 
みなさんが少しでもえすらじくんを身近に感じ、またひょっこり戻ってきたら、あたたかく迎えてくださると幸いです。
その時は赤のディスク、青のディスク、どちらで出てくるのでしょうね。
楽しみです。

えすらじくんと駒野研究員。どんなインタビューをしているんでしょうか?

研究員による徒然なる脚注。

研究所のnoteなので、たとえおまけでも研究所っぽい話をしないと面目が立たないということに、みんな今頃気がついたのでした。

注1)匂い保証:試作品や生産品などなどの匂いを香料開発担当者にチェックしてもらうこと。プロの鼻により嗅ぎ分けられたよろしくない香りは、「カレー臭」「ナッツ臭」などソムリエみたいに表現されることも。と聞くとエレガントなように思えるが、NGを食らうと、ごくまれに処方の根幹を揺るがす事態に発展したりするので、製品開発担当は悠長に構えていられない。保証は余裕をもって依頼しましょう。
注2)応用研究:研究所の将来を見据えて行う色々な研究。製品開発の人たちが「これは新しい!」と思うものをせっせと研究して、今後の技術や知見などのタネにする。
注3)香りをかぐと過去の記憶を呼び起こされる:これを「プルースト効果」というらしい。プルーストの著書『失われた時を求めて』において、香りをきっかけとして記憶が呼び起こされるという展開が多いことからきているとか。脳科学的に説明すると、嗅覚を感じ取る部位と記憶をつかさどる部位が脳内で隣接しているからだそう。
注4) クロマトグラフ:クロマトグラフィーとは、物質を分離する技術のこと。水を含ませたコーヒーフィルターに黒いインクを垂らすと、黒い色が様々な色に分かれます。説明としてよくこの例が使われます。これも「ペーパークロマトグラフィー」と呼ばれる技術です。
黒いインクには様々な成分が含まれていて、それぞれの成分が紙や水との仲の良さが違います。水の中を進む速さと距離が異なるので、模様が現れるわけです。
ちなみに「ガスクロマトグラフィー」は、これを気体を使って行う装置のことです。略してガスクロ
気体になった成分には何が含まれているかを調べるために使います。
フィルターのかわりにカラムと呼ばれる小さい管の中を、水の代わりに特別なガス(キャリア―ガス)を使って、気体を押し出します。
時間差で香水の匂いが変わる様子、いわゆるトップノート、ミドルノート、ラストノート、とちょっと似ていると思いました。(髙橋研究員 談)
というか、そもそもガスクロを使って匂いの分析をしています。分析機器が人体の模倣をしているのか、あるいは生体機械論的な解釈によって人体の知覚挙動を高解像度化しているのか、入れ子構造になっているみたいですね。
注5)2022年春:正確には2022年2月20日とのこと。
注6)GIC:グローバルイノベーションセンター。みなとみらい線 新高島駅から出てすぐにある、資生堂の研究所のこと。低層階はS/PARKとして一般の方も来場できましたが、現在改装中のため、残念ながらご覧いただけません。リニューアルしたらぜひ、GICで研究員と握手!
注7)アクスタ:アクリルスタンドの略。アクリル板にキャラの絵をプリントして台座に立てた、最近流行りのキャラグッズ。外装開発の人なら科学的に語れるかもしれない。
注8)Podcast Weekend:日本中のPodcast配信者が下北沢に結集するイベント。農業系の配信者による直売所があったり、Podcastの公開収録があったりと、Podcastを知らない人でも楽しめる。えすらじはここ2年ほど参加しており、無料の肌測定などが好評。2023年の模様は高橋研究員のレポートにて。

座談会参加者:
駒野研究員(香料開発)
髙橋研究員(機器分析)
中井(リップ・マスカラ開発)

文責:中井