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川越しゅき⑤


「同じ火には、二度と会えない」 


ふらっと立ち寄った川越の和ろうそくのお店、HAZEさんのガラス戸にはそう書かれていた。

店内は薄暗く、落ち着いた照明が、並べられたろうそくと燭台を照らしていた。

様々な種類の和ろうそくが置いてあり、中でも黄色と水色の綺麗なグラデーションでできた「光年」と名付けられたろうそくに目を惹かれた。

素敵だなと思ったけれど、火事が恐いからろうそくを使う機会なんてまったく無いし、そもそもろうそくが日常にあるような丁寧な暮らしは、自分にとってはそれこそ何光年もかけ離れているので手は出せなかった。

でも、いつか丁寧な暮らしができるようになったら、QOL爆上がり間違いなしだろうから使ってみたい。


どうしてろうそくの小さな炎はあんなに神秘的に感じるのだろうか。やはり、同じ火には二度と会えないからからだろうか。

灯されたその微かな炎の揺らぎには心癒されるものがある。

5回目となる今回の川越散策もまさに1/fの揺らぎのような癒しの旅であった。





遡ること数日前。
「『無職転生』スペシャルイベント〜立川行っても本気出す〜」夜の部の開演時間的に終電に間に合わなさそうだと気づいたのはチケットをダウンロードしたときだった。(遅っ!)

隙あらば川越へ行こうとする習性のある私は、そのことに気づいた瞬間、脊髄反射レベルで翌日の川越行きを決定した。
もはや本気を出すまでもなかった。




日程が近いこともあり、川越のリーズナブルなホテルはあらかた埋まっていたので、新狭山のホテルを取ったのだが、これが川越まで二駅と便利だった。


そして、今回はなんと有難いことに、川越に行く日が同じだったかなへいさんとご一緒させていただいた。
ここちゃんずの方と川越を巡るのは初めてだったので嬉しかった。




当日。
まず熊野神社に向かい、お参りをした。
八咫烏さんにもご挨拶をして、頭をなでなでした。後ろから見るとリボンが可愛かった。

八咫烏さん「あの人アディダス履いてる〜!」


境内の、今までちゃんと見ていなかったところもひとつひとつ丁寧に見て回った。


白蛇様を祀る社では、白蛇様を撫でて健康を祈願した。(ちなみに撫でる場所によって運気が上がる内容が変わる)

川越には、八咫烏さんだったり、白蛇様だったり、なでなでしたくなるものがたくさんある。

銭洗弁財天では、金運アップを願いつつ500円玉をザルに入れてじゃぶじゃぶと洗った。

銭洗弁財天


昨今ではスマホのQRコード決済も増え、キャシュレス化が進み、熊野神社でもデジタルでお賽銭できるシステムがある。
もしかすると近い将来、銭洗弁財天では小銭ではなくスマホを洗うようになっているかもしれないとふとそんなことを思った。


そういえば、7年ほど前、台湾に行ったときにお手洗いでスマホごと手を洗っている方がいて驚いた覚えがある。
台湾にそういった文化があるのか、はたまた偶然奇特な方を目撃しただけなのかはわからないけれど、今思えば彼は時代の最先端を行っていたのかもしれない。




運試しに、輪投げにも挑戦してみた。

3つ投げて運試し


わりと自信があったのだけれど、輪っかは棒に当たることもなく3つとも虚しく地面に落下した。
輪っかが軽くて意外とよく飛ぶので力加減が難しかった。


チョベリバ…


悔しくてうっかり死語を使ってしまった。(私は時代の最末端を行っているのでどうか目をつぶっていただきたい)


3つとも外してしまったが、ありがたいことに、1つも入らなかったとしてもいつもと変わらないというフォローの文言が書かれてあった。
これぞ「ポジティブに解釈しました!」だ。

なんて優しい神社だ。
しかも、10円以上のお賽銭でお手軽に運試しができるので、お越しの際はぜひ挑戦してみてほしい。
お財布にまで優しいのだ。

次はリベンジしたい。


八咫烏さんからのありがたい一言が頂けるというむすひの庭にもお参りした。
開運の水晶玉に手をかざすとモニターにメッセージが表示された。
意訳すると「時を待て」という感じのことを言われた。この記事が川越に行ってから随分と日にちが経ったあとに公開されたのも、こういう事情があったからである。け、決して筆不精だから遅くなったというわけではない。


小原さんの絵馬も見て、熊野神社を後にし、蔵造りの街並みを歩きながら焼き芋をいただいた。
皮ごと食べられるとのことだったので、食べてみたらとても美味しかった。

これぞ川越な一枚


氷川神社に向かう途中、チンパンジーを発見した。

チンパンジーおる

置き物を置くにしても、なぜチンパンジーだったのか気になる。



氷川神社着くと、小さい社になむなむと手を合わせたり、小原さんの絵馬を見たり、ご神木を回ったりした。

2月に入っても謹賀新年のパネルはまだ置かれていた。いつまで飾られているのか気になる。

謹賀新年



そのあとは、メル珈琲さんに伺い、ランチのカレーをいただいた。

ココナッツチキンカレー

野菜がゴロっと入っていて、食べやすい辛さでとても美味しかった。

そして、こはらのへやを観て気になっていたサイフォン紅茶とガトーショコラも頼んだ。
頼む前に、店員さんが季節のいちごタルトケーキを運んでいるのを見かけて、それがまた美味しそうだった。タルトにするか岸田首相なみに検討に検討を重ねたが、結局ガトーショコラを選んだ。

サイフォン紅茶


サイフォンの原理っていうのはわかかっていても実際に淹れるところを見ると摩訶不思議で、紅茶の完成を見ているだけで元が取れそうだった。

それに、出された食器も可愛くて、眺めているだけでも元が取れそうだった。

自分で蛇口を捻って注ぐスタイルも新鮮で、こはらのへやに登場していた店員の山本さん気分を味わえて楽しかった。また元が取れそうだった。

コップが小さめで、量もたくさんあるから何度も蛇口を捻っておかわりできてお得感満載だった。
香りも高く、ちょうどいい甘みでとても美味しかった。
もはやここまできたら元が取れるどころか、儲かっている気がする。
サイフォン紅茶を頼めば儲かるという最強のスキームを発見してしまった。
山本さんに消されてしまうかもしれない。

ガトーショコラ

濃厚で美味しかった。
こういうときのミントって今までなんとなく避けがちだったのだけれど、小原さんが食べる派と知ってから自分も食べるようになった。
さつまいもの皮もミントも食べてみるものである。案外美味しい。
チャレンジ精神は大事だ。



マスターともお話でき、メルさんでゆっくりしたあとは、ゆききさんに顔を出してみることにしたが、残念ながらclosedだった。
お店がここちゃん推し全開でこっちまで嬉しくなった。

ゆききさん


通りを歩いていると、さっき見かけたチンパンジーと再会した。

続・チンパンジーおる

近くで見るとリアルでなかなかに怖かった。
川越には、たくさんのなでなでスポットがあるが、この子は…うん、怖いし撫でなくてもいいかな。(チャレンジ精神は大事ではなかったのか)


それから、川越を裏から牛耳っていると噂のミッフィー番長にもご挨拶をしに訪れた。
ポシェットの耳が折れていてダーンくんみたいになっていた。

ミッフィー番長

相変わらず圧を感じる佇まいである。
番長に不敬を働くわけにはいかないので、このお方もなでなでするのは控えておいた。


菓子屋横丁では、小原好美さんを連想させるワードを見つけた。

“ここ”から


豆”このみ”

隠れここちゃんの宝庫であった。

他にも「ガシャココ」とか「ココカラファイン」とか「エコノミー」といった文字列を見るとついつい反応してしまう。オタクの宿痾だ。



熊野神社の横に店を構える大正館シマノコーヒーさんにも訪れた。

椅子がふかふかで、お店のインテリアも大正っぽい雰囲気で素敵だった。ウェイトレスさんもメイド服を着ていてその雰囲気にマッチしていた。

ここではゼリーポンチとプリンをいただいた。

ゼリーポンチ

カラフルできれい。

プリンは、「かため」と「なめらか」と両方あったが、昔ながらのかためを選んだ。
ゼリーポンチもプリンも美味しかった。

プリン

写真を載せておいてなんだが、さくらんぼの柄がこちらを向いているので、先端恐怖症の方はごめんなさい。

あと奥に映っている紅茶がお茶碗くらいのサイズで出てきてびっくりした。




再び熊野神社に戻り、足踏み健康ロードを歩いてみることにした。左側の、痛そうなコースに挑戦した。
阿鼻叫喚となることを想定していたが、思ったより痛くはなかった。川越散策が楽しくて浮き足立っていたおかげかもしれない。
でもたまに鋭利なヤツがいてそれは痛かった。ヤツだけはマジ許すまじ。



参道の脇の立札に「告」という文字を発見してかぐや様が頭に去来した。
これも隠れここちゃんの一種かもしれない。

「告」


「告」という字に目を奪われて、肝心の禁止事項を全然読んでいなかったことに今気づいた。



そんなこんなで気がつけば日も暮れて、あたりはオレンジ色に染まり、提灯も同じようなオレンジ色に輝いていた。

熊野神社

夕方になると、八咫烏さんも、アディダスを履いていた人もお帰りになられていた。
あっという間に時間が過ぎていた。



今回で5回目の川越散策であったが、何回来ても心落ち着く場所だ。とても癒された。
これから先、何度訪れても決して飽きることはないだろうし、きっと行くたびに新たな発見が待っている。

かなへいさんとも一緒に回れて、いろいろお話できて、とても楽しかった。改めてありがとうございました。


今回の楽しい川越の思い出も、今まで訪れた思い出も、すべて大切に胸に刻みつけておこうと思う。


なぜなら、同じ火には二度と会えないように、同じ日にもまた、二度と会えないのだから。

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