人間にとっての車 12/23(木)

 人間にとって自動車は移動手段だ。行きたい駅に行くために電車に乗り、電車は決まった場所に向かい、決まった場所で止まり、そこで僕たち人間は降りる。もちろん、素晴らしいデザインの自動車もあり、娯楽の一種であるが、それは本来の移動という目的に少しプラスされたものである。やはり、自動車は移動手段でしかない。
 僕たち人間は、おしっこをする。おしっこをすることは生理現象なので、やめられない。僕は、今日まず、家でおしっこし、次に学校でおしっこをし、駅でおしっこをし、また、家でおしっこをした。おしっこをする場所は便所と決まっている。僕は決まった場所に向かい、決まった場所で止まり、そこでおしっこは流れていく。
 僕は気づいてしまった。僕は移動手段でしかない。おしっこにとって、僕は便器に向かうための移動手段でしかないのだ。世界平和がなかなか実現しないのも当たり前である。視点を変えるだけで僕は移動手段になり、おしっこは僕になるのだから。こんなことを考えながらおしっこをしていると、僕はおしっこを少し便器からこぼした。これは交通事故である。

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