ヘタ王について

ヘタ男です。先日AAオフが終わった後デッキ紹介記事を書いたんですが、その中で説明が長くなると思った部分を別記事にしました。

ヒエラルキアの自身の除外をランク9エクシーズやオルムガンドの効果で防いでいくデッキ。このデッキのシナジーを述べる上で前置きが必要になります。


デッキ紹介の前に~ペンデュラムパフォーマンス~

この項目は、次の項「ヘタ王について」の冒頭の前提を飲み込めるようであれば読み飛ばして問題ありません。さっきのデッキレシピ画像がまた出てくるまでスクロールしてください。

◇P召喚について
このデッキのペンデュラムに関する考え方を説明しておく必要があります。これはそこそこ汎用性があるんではないかと思ってるので、これだけ持って帰ってもらえれば書いた甲斐があります。
以後、P召喚を評価する上で、「ペンデュラムパフォーマンス」という指標(PP)を定義したいと思います。
PP=P召喚の成果/P召喚の準備労力
要するにコストパフォーマンスですね。これが1を下回るP召喚を目指すのは赤字、ということになります。この指標だけでは全ての要素を評価できないと思いますが、それなりに意味のある指標なのではないかと思います。
この項で言いたいことは、PPの高いP召喚を成立させる上で重要なのは、分子の最大化よりも分母の最小化ではないか、ということです。

◇分子(P召喚の成果)について
P召喚の成果=EXからの出力+手札からの出力
になりますが、まずEXからの出力数を上げていく方針はPP的には非効率です。なぜかというと、EXデッキへの投資は、それに見合うリンクマーカーとPスケールが成立する場合にしか返ってこないからです。
これは即ち、PPの分母(P召喚の準備労力)にリンクマーカーの確保労力が加わることになりますので、EXへの投資という方針によるPPの上昇値は緩やかにならざるを得ないです。
では手札への投資はどうかと言うと、効率的ではあります。理由はPスケールの設置も手札から行う場合がほとんどで、手札を増やしていけばスケールの確保にも出力モンスターにも繋がるからです。しかし遊戯王というカードゲームにおいて、手札というリソースを増やすことはそう簡単ではないですよね。これもまたPPの分母を増大させる要因で、PPの上昇値は緩やかになります。
つまり何が言いたいかと言うと、P召喚の成果を増大させる方針は、そもそもP召喚と無関係にリソース稼ぎに成功していないといけないが故に、PPの上昇値としては高くないということです。商売するにも金が要る、みたいな状況なんですよ。
そうなってくると、この方針のP召喚は、現代遊戯王に無限に存在する「妨害が入らなければ莫大な結果を手に入れることができる展開」の行程の1つとして存在しているだけにも見えます。それは果たしてP召喚が強いと言えるのか、という議論もできますが、この話は本題から逸れるのでつぶしておきます。

◇分母(P召喚の準備労力)について
ではPPの分母を0に近づけていく方針はどうでしょうか。P召喚にはもちろんスケールの設置は必要経費です
でも、PPの計算上、この消費を0にすることはできるんです。
それは、P召喚を目的としない理由でスケールがセットされている、という構造である場合です。
これが可能になったとき、PPの分母は極限まで0に近づき、PPは無限に爆ぜます

※PP無限ってどういう状態?
PPに限らずですがパフォーマンスが無限になることは成果が無限になることを指しません。似たような指標であるコスパで例えると、無料で何かを貰えばコスパ無限ですよね。それを無限回行えば成果を無限にすることも出来るのですが、それが無限回できるかどうかはコスパとは別の問題なのです。
(機会の獲得労力等もコストとして組み込めれば、同じ問題にできるかと思いますが、それこそコスパの悪い研究ですので上述の結論に留めます。)

じゃあ結局なんなのかと言うと、パフォーマンス無限とは、無から有が生まれているような状態であり、ペンデュラムパフォーマンス無限とは、P召喚に向けてなんの努力もしてないけど手札とEXデッキからモンスターを同時に召喚可能な権利を得ている状態、すなわち「なんかP召喚できる状態」です。

ヘタ王について

☆前項のまとめ、そして本項の前提
P召喚は大量展開の手段として成立を狙うよりも、出力は安定しなかったとしても消費が少なく成立することのほうが重要なのではないかという仮説。その極限が、P召喚を目的としない理由でスケールが揃っている状態、すなわち「なんかP召喚できる状態」である。

再掲


◇ヘタ王概要
①《永の王 オルムガンド》の効果で、自己特殊召喚した《トリアス・ヒエラルキア》の除外を防ぐ
②手札と墓地以外に展開の骨子を保存するため、《局地的大ハリケーン》によるジェネレイドや展開札の大量再装填が可能、これにより序盤中盤終盤問わず展開力をセーブする必要が無い
なんかP召喚ができる。しかも適当に散らかしてもヒエラルキアや《ガーディアン・キマイラ》変換で安定してアドバンテージに繋がる

という3点が概要です。この②が言うところの「展開の骨子」の保存先は、
(1)オルムガンドの素材(ヒエラルキア)
(2)フィールド(王の舞台やペンデュラムスケールなど)
(3)EXデッキ(Pモンスター)
という3箇所になります。
局地的大ハリケーンは素引き狙いで、ヒエラルキアとガーキマのドローブーストで引き込みます。

③の「なんかP召喚できる」について。
このデッキはジェネレイドとドレミコードの二軸で動いていて、
上振れなしの想定Pスケールは《捕食植物ブフォリキュラ》と《ドドレミコード・キューティア》(もしくは《レドレミコード・ドリーミア》)です。
この二枚は「P召喚を目的としなくても、最善の動きをする中でスケールに置かれる」構造になっています。故に「なんかP召喚できる」が成立します。
ではそれぞれのスケールがどういう理由でセットされるかを述べていきます。

Pスケールについて Sideブフォリキュラ


ブフォリキュラは《光の王 マルデル》によってサーチされ、スケールにセットすることで手札や場でジャムったモンスターを素材にガーキマを融合できます。
ジェネレイドは《王の舞台》という消費しないキーカードを持ち、基本的にジェネレイドモンスターは手札にいらないので、サーチャーであるマルデルを何度も出してサーチをかけることに意味が見出しづらいのですが、ガーキマはモンスターをアドバンテージにほぼ必ず変えてくれるので、お互いのターンにマルデルを出してもサーチが腐ることがありません。召喚時に仕事が終わるマルデルは、各種素材にする場面においてはジェネレイドにて最強であるため、サーチが腐らないならばいつでも出したいモンスターになり得るわけです。「相手ターンにおいては《轟の王 ハール》とか出したほうが強いだろド三流」というご意見もあるかと思いますが、ヒエラルキアを運用する都合上ジェネレイドトークンは貴重であり、2体リリース効果は採算が合わず、まぁ《氷の王 ニードヘッグ》でやっと検討できる、ぐらいです。
なおニードヘッグだとしても、トークンの価値的にリリースを自身にするしかなく、サーチして場に残れるマルデルの方が純粋なアドバンテージでは強い、という計算になっています。
そしてこの「マルデルが毎ターン出る」という状況はそのまま王の舞台の維持とブフォリキュラの追加供給にもなり、相互に安定性を支え続けていると言えます。
まとめると、
マルデルでブフォリキュラをサーチできる
②ブフォリキュラ→ガーキマで、手札のモンスターをドローに変えられる状況を作り、それがマルデルのサーチ効果の価値を半永久的に維持し、出し得モンスターへと進化させる
③②を始めとした理由によりお互いのターンにマルデルを出すモチベージョンが常に発生、これがギミックの根幹である王の舞台とブフォリキュラの維持に貢献
という全体像になっています。
☆余談~ヘル不要論について~
ジェネレイドは同名モンスターを場に出せない縛りがあるため、うまく旧マルデルを除去しながら新マルデルを出さなければなりません。ここを上手くやる上で、《死の王 ヘル》《王の影 ロプトル》の入れ替え効果は便利なんですよね。「《王の呪 ヴァラ》がいる今、ヘルは不要」論が散見されるので、少なくともこのデッキにおいてはそうでないことを一応述べておきます。あと、
①王の舞台から出力できる
②《星遺物の胎導》の対象にしたときデッキからヒエラルキアとマルデルを出せる
③自力でマルデルを出せる
を全て同時に満たすのも唯一無二です。(ヴァラではヒエラルキアが出せない)

Pスケールについて Sideドレミコード

ドレミコードは手札にキューティア(《ワン・フォー・ワン》《宣告者の神巫》でも可)を含む2枚があれば、キューティアにサーチされたドリーミアの自己特殊召喚(このとき余ったドレミコードをスケールにセット)を使うことでP召喚をすることなく《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》が立ちます。エレクトラムにより《アストログラフ・マジシャン》の実質リクルートを行い、エレクトラム+アストログラフで《スプライト・スプリンド》、効果でデッキから《ティアラメンツ・メイルゥ》を落とすと、その墓地効果でエレクトラム+メイルゥ+任意の攻撃力3000のモンスターを墓地からデッキに戻して《メタルフォーゼ・カーディナル》が融合召喚可能です。

エレクトラムの先の展開にしては全く強くないですが、これらのルートは一連である必要がないところに強みがあります。要するに、一度エレクトラムが立てば、スプリンドの召喚条件でジェネレイドをデッキに戻しながらレベル9が出る状態になる、ということです。これはジェネレイド的に強いのは勿論、《星遺物の胎導》の準備としても有効です。余ったスプリンドもエクシーズを立てれば妨害になります。

そして何よりドレミコードは天使族なので、誰でもヒエラルキアになれることが重要です。ランク9の都合をつけやすいのは勿論、ヒエラルキアはリリース数に応じてアドバンテージを取っていくため、雑にドレミコードを散らかしても三体までなら無駄なく消費できます
展開が上手く行かなくてもドレミコードがジェネレイドに貢献できるうえに、上手く展開できてたらその分アドが取れるという、最低保証つきの成果報酬ビジネスみたいな美味い話なんすよ。P召喚ができない場合でも役割として成立しながら、P召喚成立時の成果のブレも無駄なく変換することができるわけで、P召喚の成果を積極的にデザインしない方針との噛み合わせが非常に良いんです。

まとめると、
ドレミコードをスケールに置きながらエレクトラムが立つ(以後、スプリンドからレベル9が出力可能に)
誰でもヒエラルキアになれる
の二点が役割です。スケールにドレミコードを置くことでドリーミアの追加展開が可能な点を、
(1)エレクトラム
(2)スプリンド
(3)ヒエラルキア
のように進路を複数用意することで、ドリーミア出し得な状況を頻出させ、その召喚条件であるスケール設置の損失を賄いやすくします。
また、「なんかP召喚できる理論」からは外れますが、
(4)《軌跡の魔術師》
も進路の一つで、ドレミコード側だけの能力でもP召喚を狙っていくことが可能であることを意味します。

終わりに

まぁデッキのことは覚えてもらわなくていいんですが、「なんかP召喚できる状態」を目指したデッキ構築というのは一つの指針として汎用性があるんじゃないかと思って筆を執りました。なんかの役に立てば幸いです。

こっから下は純度100%の自分語りなんですが一応余談として話しておくと、ヘタ男の遊戯王活動方針として「各召喚方法をコンセプトにしたデッキを作りたい」というものがあります。これは単にEXをそれで染める、みたいな話でなく、「その召喚方法のアイデンティティを表現する」というものです。
「ヘタ男シンクロ」は現存していて、「ヘタ男フュージョン」は烙印の登場で消滅しました。「ヘタ男リンク」は現存してますが、リンク召喚の独自性に迫れているか?という疑念から「星遺物-星弓-」を名乗っています。これはこれでいい名前だなぁと思ってるので不満はないです。
「ヘタ王」は「ヘタ男エクシーズ」として元々生まれたんですが、オルムガンドへの異常な愛情に固執した結果コンセプトから外れました。それからはある種自由になったような気持ちで研究していたんですが、まさかその先でペンデュラムの方針に思い至ることになるとは、という驚きと感動があります。今の気持ち的にはもう「ヘタ男ペンデュラム」の名を与えても良いんですが、まだこの「なんかペンデュラムできる」の方針は最適解が別にありそうなのと、効率なんか知らねー、「大量同時召喚の継続運用」のロマンを捨てるわけにはいかねー、という自分もいることから、その名を与えるのはやめておきます。
以上です。


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