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パラシュート地上走行試験に関するご報告

2022年6月16日、当社宇宙輸送部と東京理科大学宇宙システム研究室は、静岡県富士川滑空場にて、有翼ロケット実験機WIRES#015(※)搭載の2回目の二段式パラシュートシステムの最終確認試験を行いました。
(※)WIRES#015は、宇宙に到達する実用機の打ち上げに向けて、サブオービタル飛行技術を総合的に実証するための実験機です。

1. パラシュート地上走行試験 準備

(写真:試験準備の様子)

トラックに実スケールのダミー機体を載せて走行し、様々な姿勢においても減速シュート放出からメインシュート展開までの一連の展開機能が正常に動作することを確認いたしました。

二段式パラシュートシステムは以下の5ステップにより構成されます。
1. インフレータと呼ばれるエアバックシステムのガス発生装置により減速シュートを放出する。
2. 減速シュートが展開し、機体の降下速度を抑える。
3. 機体と減速シュートをつなぐ4-ring機構により減速シュートを懸吊点から分離させる。
4. 減速シュートの懸吊力によりメインシュートを引き出す。
5. メインシュート展開により着地地点へ降下する。

昨年12月15日に行われた1回目の試験では減速シュート分離機構の不作動やパラシュートと尾翼の干渉などの課題が見つかりましたが、今回の試験の結果課題は解決され、インフレータ作動からメインシュート展開までを確認することができました。

実機に搭載しても正常に作動するという確信が持てる結果となったため、二段階パラシュートシステムは今回の試験のもので確定し、試験で使用した4-ringはフライト品として実機でも使用する方針です。
これにてパラシュートシステムの開発は一区切りついたため、今後は回収系のもう一つのメインシステムであるエアバックの開発を本格的に進めていきます。

2023年に予定されている北海道大樹町でのヘリコプターを用いた回収系の投下試験への準備を、着々と進めてまいります。