松永天馬003

【第2回】松永天馬が歌詞に対して思うこと#2

アーバンギャルド松永天馬の歌詞深読みゼミ第2回は、松永天馬さん自身に歌詞についての思いを語っていただきました。
スペシャカレッジ通信 串田

松永天馬が歌詞に対して思うこと#1はこちら

串田

深読みのしがいがあるなーって思うような
わかりやすい具体例ってあります?

松永

典型的なのは、
広末涼子に「MajiでKoiする5秒前」って歌わせたかった
竹内まりやの心境ですよ!
竹内まりやが当時の広末涼子をイメージして、
96年とか97年だったと思うんですけど、
当時の渋谷はコギャル文化全盛だったわけですよね。
援助交際とかも問題になってましたけど、
あーいうところで広末涼子の立ち位置としては、
「渋谷はちょっと苦手」
って歌わせるわけですよね。

串田

はいはい。

松永

こんなコギャルばっかいる渋谷は
ちょっと苦手な清純派な広末っていうイメージが
竹内まりやの中で願いのように、
祈りのような感じで入っているっていうのがね。

串田

本当は苦手じゃないかもしれない(笑)

松永

もう竹内まりやの願望ですよね。
広末には渋谷を苦手であってほしいっていう。
でもそこでMK5っていうギャル語がなんで入ってるんだよ!
っていうのはあるんですけど。
そういう感じですよね。
楽しみ方としては。

串田

なるほど。
面白い!

松永

アイドルソングを聞いても、
アイドルソングを書いている作詞家のおっさんのキモさっていうのが、
これいい意味っすよ!
これいい意味で、
背後にいるおっさんのキモさまで味わいたくなるという。
そのおっさんのキモさまで味わえるようになったら、
至高というか、
歌詞を楽しめるレベルがあがるのではないかと。

串田

書き手の気持ちまで楽しむ。

松永

いまはそれがレイヤーのように重なってるような気がして、
というのは90年代はどちらかというと
シンガーソングライトする人のほうが
ちょっと偉いっていう風潮があったと思うんですよ。
ボーカリストは自分で歌詞を書かないと、
伝わんないだろうっていうみたいなのが若干あったと思うんです。
その中でやっぱり、
90年代末の女性ボーカリストブーム、
具体的言うと
宇多田ヒカル椎名林檎aikoCocco川本真琴など、
あの辺の個性的で自分で歌詞を書く女性達が
大量に現れたと思うんです。
でも今は、
やっぱりアイドルグループが象徴していますけど、
チームで作るというものが前提になってきたし、
それが肯定されてきたんですよね。
PerfumeAKBあたりからだと思うんですけど。
それによって歌詞を演じる側として、
ボーカリストがいるようになったのかなと。

串田

なるほど。

松永

言うなれば、
歌詞っていうのは台本だとすると、
それに対する演者として
ミュージシャンがいるのかなーって。

串田

今では、
オリコンのベスト20とかだと、
アイドルばっかりですからね。

松永

シンガーソングライティングしてるのって、
ミスチルとか桑田さんとかじゃないですか?
ずっとベテランの人たち。
若手で飛び抜けて
ソングライティングでばーっと人気ある人はいないと思うんですよね。

串田

SEKAI NO OWARIさんとかは食い込んできてますが。

松永

そう!
SEKAI NO OWARIは
新しいグループだと思ってるんですよ。
ヤンキーとサブカルっていうのは水と油だったのが、
ここ5年くらいで
シンクロしてきたなーって思っていて。
SEKAI NO OWARIさんは出てきたときに、
病院を象徴させるような
真っ白い服、真っ白い壁のMV

デビューされたと思うんですけど、
そういう病んだ要素もありつつ、
ファンタジーに振り切った世界観。
ギャルとかヤンキーってディズニーランド好きじゃないですか。
SEKAI NO OWARIさんは、
言ってしまえば自分たちでディズニーランドを作りたいから
炎と森のカーニバル」をやってると思うんですよ。

串田

おー深読みしてますね。

松永

そうなんですよ。
こんなことを考えながら日々を過ごしております。

串田

では、
じゃんじゃん深読みしていただこうと思います。

松永

よろしくお願いします!

次回に続きます。


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