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としくにさんとtomadさんにクヌギについて教えてもらう#2

音楽用語の研究マガジン第二回目のゲストは、渋家というスペースを運営しているとしくにさんと、クヌギにてイベントを定期的に開いているMaltine Recordstomadさんをお招きし、クヌギについてインタビューさせていただきました。
スペシャカレッジ通信 串田

<過去の音楽用語インタビュー>

としくにさんとtomadさんにクヌギについて教えてもらう#1はこちら

BOOLさんにポエムコアについて教えてもらう#2はこちら

BOOLさんにポエムコアについて教えてもらう#1はこちら

串田

この「クヌギ」って名前はいつついたんですか?

としくに

「夜な夜な虫達がここに集まって遊ぶ」みたいなコンセプトだった気がする。

tomad

クヌギの木に樹液を求めて群がってくる、
カブトムシとかクワガタとかをイメージして(笑)
あと、クラブではないので、
あまりよくわからない名前にしたんじゃなかったっけ?
としくに
「クラブ行こうよ!」っていうんじゃなくて、
「クヌギ行こうよ!」になるようにしたいよねっていうので、
クラブって名前をつけなかったのは覚えてます。

串田

カテゴライズできるようなスペースではないからってことですね。

としくに

民家の地下にある何かですからね。

串田

そこに「クヌギ」って名前がはまったんですね。
でクヌギがスタートしたと。
スタートさせてみてどうでしたか?

としくに

最初の2年間は本当に盛り上がってましたね。
なんかもう、やりまくってた。

串田

え?
ここに来て何年でしたっけ?

としくに

今で3年目ですね。
結構限界までやっちゃって。

tomad

(笑)

としくに

壁の装飾だったり、
照明つったりとか。

串田

本当に完全防音なんですか?

としくに

完全防音ですね。
全部フルパワーで出したりしない限り、
苦情も来ないです。

tomad

結構来てるけどね(笑)

としくに

でも、
3年で10回も来てないから。
基本は防音してるので、
苦情が来ないようにはしてます。

串田

持続させるには、
ちゃんとするのが大事だったりしますからね。

tomad

あと、近所も認識してきて、
パーティーする時には旅行に行ったりとか(笑)

串田

(笑)
まーでも3年やれてるってことは、
今後もできそうですね。
運営はどうされてるんですか?

としくに

もうやりたい人が勝手にやってくれって感じで。
ダブルブッキングだけしないようにして。
でもスケジュールは僕が把握するようにはしてるんです。
機材もそうですね。
大体渋家が初め買ったやつ意外は、
僕とtomadが勝手に金ある時に追加しちゃうんですよ。
なんかもう、
いい音が欲しいとか言ってスピーカー買ったり、
僕が照明とかレーザー買ったりとか、
スモークマシーンを炊いてみたりとか。

串田

レーザーとか買うの異常だもんね。

としくに

tomadがよく言ってるのは、
盆栽っぽくやってますよ。

tomad

自己満足というか。
最初は音を良くしようみたいなので、
スピーカーでっかいのを買ったりしてたんですけど、
音ってある程度まで行くと、限界があって、
「このスペースでそんなに音をでかくしてもなー」っていう。

としくに

照明だとか、
壁の周りとかに途中から行くようになってますね。

串田

クヌギのイベントはただなんですか?

としくに

僕とtomadがやるのは基本ただですね。
参加費とかで1000円とったりすることもありますけど、
利益を出す気はないので、
やって赤字にならなきゃいいなみたいな感じです。

串田

DJイベント以外はどういうものがあるんですか?

としくに

トークイベントがあったり、
ショーパーティーをやったこともあります。
映像際って言って、スクリーンを下ろしてやったりとか。
まー何でもできますね。

串田

来るお客さんはイベントによって全然違いますか?

としくに

全然違いますね。
渋家に来たことない人も来ますね。
最初の方は、お金とらずに外部の人に箱貸しするっていう、
狂ったことをしていたので、
ノイズミュージック爆音で鳴らされたりとか、
ヘッドバンギングをやるだけのイベントとか、
お客さん2人に向けてギターを弾きまくるイベントとか、
高円寺の地下でもできなさそうなことをやってましたね。

串田

そういうのは最近は無いんですか?

としくに

最近は、月1のイベントと、
週に1回か2回あるくらいですかね。
クラブっぽいイベントだったりトークイベントだったりとか。

串田

tomad君的には、
どういうモチベーションでクヌギに関わってるんですか?

tomad

もともとサウンドシステムを持ちたかった欲求があって、
野外レイブに出させてもらったりしてる中で、
「サウンドシステムを持ってると好きな場所でできる!」
みたいなのを思ってたのと、
クヌギだと気兼ねなくDJプレイができるっていう。
外の現場だと、イベントのカラーに合わせてDJしなきゃなんないので、
単にテンション高いからテンション高い曲をかけまくるってのが許されるんで。

としくに

クヌギでのtomadのDJは無茶をしてますね。
平気で途中でやめるし、と思えば曲かけて暴れたりもしてるし。
これクラブでやってたらおかしいよねっていうのをやってますね。
8時間くらいやったりするんですよ。

串田

外ではありえない遊び方ですね。

としくに

気兼ねなく遊んでる感じは強くありますね。
あと、気付いたら渋家のDJ人口が上がってた。

tomad

何人くらいいるんですか?

としくに

5人以上はできるんじゃないかな。
全員PCDJ
「PCDJ簡単そう!」みたいな。
TRAKTOR買って、ミディコン共有してっていう。

串田

みんな遊びの場だから初めやすいんですね。
tomad先生もいるし。
あと、外から見て思ってたのが、
OL Killerの照明のことだったりとか、
tomad君のDJだったりとか、
商業的なところで活躍してますけど、
このクヌギの遊びがいい作用として働いてるんじゃないかなって。
OL Killerのレーザー照明とかはクヌギ先行ですよね多分?

としくに

そうですね!
クヌギ先行ですね。
一番最初にくるくる回ってる照明を使ってて、
レーザーを僕が見てみたくてネットで探したら、
「以外と3万くらいで安いのだったら買えるぞ!」
ってなって試しにやってみたらテンション上がって、
今度はブルーレーザーを買って。
そうなると必然的にフルカラーレーザーが欲しくなるんですけど、
渋家のYAVAOがフルカラーレーザーを借りてくるようになって、
クヌギでやったら「やっぱ凄いね」ってなって、
そのままのことをクラブでやったんです。
そうなると、「うちでもやってよー!」って声がかかるようになりました。

串田

なるほど。
面白い!
クヌギで試して、外に持って行く。
tomadくんもDJプレイを試せるってのあるし。

tomad

そうですね。
試せるってのはありますね。
DJやってると、
知らない間に横で、
ひたすらYAVAOが人が死ぬような光を浴びさせたりしてる(笑)

としくに

あと、クヌギで面白いのは、
渋家ってのはクラブ文化に触れてない子が多くて、
クヌギで爆音でキャーキャーキャーキャー騒いで、
その感じでクラブで行くと変に目立っちゃって。
そうなるとクヌギの方がいいってなって、
クヌギしかほぼ知らないって子がいたりとか。

串田

要は、
クラブの方が秩序があるってことですか?

としくに

っというか、
逆にクヌギが好き勝手ってことですね。
靴を脱いで家に入って来てるから、
クヌギって家の一部だから帰る必要が無いんですよね。
だからぶっ倒れてもいいっていう。
寝て、次の日に帰ればいいんで。

串田

靴を脱ぐのはでかいですか?

としくに

でかいと思いますね!
強いて外箱で言えば、西麻布のBullet'sが近いと思います。

串田

まーでも
宿泊はできませんしね。

としくに

家だったら、
時間の制限が無いので、
それがでかいですね。

串田

日本でクヌギ以外に、
クヌギ的なものが今後できたりする可能性ってあるんですかね?

としくに

ここの場合は、
僕とtomadの欲求がガソリンのベースなんで、
多分経営をしようと思うと大変だと思います。
雑然としてるのも家だしいっかみたいな。

串田

これ拠点拠点であれば、
寝て、遊んで、寝て、遊んでってのが可能になるけどな。
じゃあ、今後は、クヌギってどうなるんですかね?
機材ってそこそこまで来ると、
この規模では買うもん無くなってくると思うんですけど。

tomad

でも、結構機材はMAX来たよね(笑)
揃えるMAX結構来始めてんなっていう。

としくに

クヌギできた時はやりたいこといっぱいあったんですけど、
もうあと2つくらいですからね。

tomad

だから広くしたいってくらいかな。
でもそれは根本的な問題だから。

としくに

そう。
渋家っていう企画自体の根本を上げていかなきゃなんないっていう。

串田

「クヌギをでかくしていく=渋家をでかくしていく」
ってことを考えた時に、
もう渋谷にでっかい家ってそんなになくないですか?

としくに

はい。
ぶっちゃけ次の規模で大体限界ですね。
次になると大手企業の社長とかが住んでるレベルになるそうです。
勿論色んな方向性でなんかやれたらいいなと思ったりはしますけど、
「ビル」の方向に向かうってのは考えてます。

串田

ビル(笑)

としくに

とかは考えてます。
400㎡超えのフロアが4階建てでみたいな。
地下もあってとか。

串田

そうなったらすげーな(笑)
でもそうなったら、クヌギはクラブって呼ばれそうですけどね。
という意味では、そこに至るまでがよくわから無い存在ですね。

としくに

今、路上とか公園とかより、
よっぽど家の方が好きなことできるんだなって。
この機材を公園に持って行ってやっても、
すぐ捕まると思うんですよ。
家だったら防音さえされてたら誰にも注意されないし。
以外と家の方が昔の外っぽいっていうか、
パブリックっぽいというか。
ストリートが反転した感じと言いますか。

串田

あー面白い。
ストリートライブしててもすぐ怒られちゃうもんね。

としくに

そうなんですよ。
「君はヘブンアーティストなのか?」みたいな。
開放感以外は、家の方が自由ですよ。

串田

どこの土地も誰かの持ち物になってそうですもんね。

としくに

ボール遊び禁止の公園とか、
じゃあ何するよって話ですから。

串田

なるほど。
それがクヌギってのを面白いと思う理由かもしれないな。
道でボール遊びしてるやつもいないしね。

としくに

遊びから色んなものが生まれるのが好きなんで。
YAVAOも今レーザーとかで仕事してるんですけど、
ここに来る前は映像作家になるって言ってたんですよ。
その1年後に僕に映像才能が一つも無いって言って(笑)

串田

ナンダコーレ発注しちゃったよ(笑)

tomad

僕も映像を発注して、
誰からも評価されない「回転寿しをみんなで食べる」映像ができて、
赤字を全部背負うっていう(笑)

としくに

今では儲かってるもんね。
専門職みたいになってる。

tomad

クヌギが気づきの場所みたいになってる(笑)

今回のインタビューは以上です。

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