ひたすらエースコンバットZEROについて語る

2006年発売のPS2ゲーム「エースコンバットZERO」についてスゲーよこのゲームチョー面白いよという部分をちゃんと文章にしようと思います。自分の覚書も含めてなので当然のようにネタバレしたりしてます。

そもそもどんなゲーム?

エースコンバットシリーズの6作目であり、ジャンルはフライトシューティングです。簡単に言えば飛行機でブーンして敵をバンバン撃つやつです。シリーズ通して主人公(プレイヤー)がエースパイロットとして成長していくというのがストーリーの基本の流れです。かっこいいOP(よく嘘字幕される)やラスボス戦で流れるBGMが有名ですね。


エースコンバットはそれぞれのナンバリングでちょっとずつ特色があります。SF電脳世界に振り切った3が特に顕著ですが、ZEROもシリーズ内ではちょっと変わった設定の作品です。

1995年、世界を巻き込んだ大戦と言われる「ベルカ戦争」がありました。諸国の思惑が入り乱れたこの戦争が終結して10年経った現在、ようやく一部の情報が開示されることになります。いち早く開示された資料を手に入れた記者、ブレット・トンプソンはある一人の傭兵に関する記述と、頻繁に登場する「鬼」という単語に惹かれ、その傭兵である「彼」を通してベルカ戦争の真実に迫ることにしました。かつて「彼」と戦った敵のパイロット、味方のパイロット、そして「彼」の相棒だった男、それぞれのインタビューから畏怖と敬意の間で生きた一人の傭兵「彼」とベルカ戦争の真実に迫るドキュメンタリー番組…というのがストーリーの設定です。プレイヤーはこの「彼」こと主人公サイファーとしてベルカ戦争を駆け抜けることになります。

実際のプレイヤーとしては、好きな機体でクリアしたり、いかに早く攻略できるかチャレンジしたり、後ろから撃たれて爆発四散したり、レーザーで焼かれて爆発四散したり、地面とキスして爆発四散したり、トンネルで曲がりきれなくて爆発四散したり、殺意高い花火に巻き込まれて爆発四散したりするゲームですね。わーい!たーのしー!

熱い戦い・戦いがもたらす虚無感

主人公「サイファー」はベルカに追い詰められたウスティオという国の傭兵として戦い、解放へと導きます。ベルカは強力な航空戦力や高い技術力を誇る国なのですが、その強力な敵エースたちや超兵器を蹴散らし、敵にも味方にも恐れられるパイロット通称「円卓の鬼神」として成長していく爽快感も魅力の一つです。今作では特に敵エースとの戦いに重点が置かれていて、何人ものエースパイロットと対峙することになります。決闘感を煽るオーケストラにフラメンコの要素を取り入れたサウンドも評価が高く、非常にクールでアツい仕上がりとなっています。

しかし戦争の目的が「侵攻」へと変わり各国の思惑が入り乱れる中、敗色濃厚のベルカは暴走。正義とは何か悪とは何か、誰が被害者で誰が加害者なのか…最終的にエースコンバットシリーズでも随一の勝ったのにすごい虚無感なエンディングを迎えます。

この戦いの虚無感を絶妙に演出するのがドキュメンタリー番組という設定です。ドキュメンタリー番組なのでプレイするパートは全て過去の回想ということになります。つまり今はもう過ぎ去った事、今からではもうどうにもならない終わってしまった事という点が強調されます。核を阻止しようとしたら爆発して1万2000人くらい死傷したり、民間人がいる町を火の海にするミッションに参加させられたりするのですが、全ては終わってしまったことなのでプレイヤーはどうにもできないのです。

もう一つZEROの特色として挙げられるのがエーススタイルゲージシステム(ASG)です。民家や戦意を失った敵が黄色ターゲットで表示されるのですが、これを攻撃するか/しないかでエーススタイルが騎士道とプライドを重んじるナイト、戦況を読み兵士に徹するソルジャー、力を求め全てを焼き尽くすマーセナリーの三種類に変化します。このエーススタイルによって対峙する敵エースや敵味方の通信が変化していきます。OPの変化する出会い、変わる運命のあたりはだいたいこういう事なんですね。

ただし、良心に従い民家や傷ついた敵を見逃しプライドを貫くナイトの立場をとったとしても、エンディングは変わりません。対峙する敵エースもサイファーとの出会いによって死ぬタイミングが変わるけど結局死んだりします。OPで出ている変われない世界がこれですね。どんな行動を選んでも大きな流れには逆らえないのです。

結局意味ねーじゃんASG!って感じですがこのシステムがまたどうにもならない感や虚無感を煽っていて好きです。エーススタイルによって変わる敵や通信をコンプするためのやり込み要素でもあります。

相棒がヤバイ

本作を語る上で外せない存在がサイファーの相棒、ピクシーこと片羽の妖精ラリー・フォルクです。ストーリーの語り部として全編にわたって登場するのでほぼ第二の主人公です。OPでなんでも三つに分けてくれるのが彼です。

この相棒、僚機として一緒に戦ってくれたり、ムービーパートでは主人公がどんな人物だったかを語ってくれたりするのですが、なんていうか、こう、あの、無二の相棒っていうか、彼氏面っていうか、とにかく層に刺さったらヤバイです。ほんとにヤバイ。

ストーリーにおいても重要な役回りを務めるピクシーくんですが、ぶっちゃけネタバレするとラスボスです。混乱するベルカ戦争末期、各国の卑劣な争いに嫌気がさした彼は各国軍人を集めたクーデターへ参加、国境とかあるから争いなくならないんや!だったら全部消してゼロに戻したるわ!と国境とかその他もろもろ全部吹っ飛ばす用の核ミサイルを管制する異形の戦闘機モルガンを駆り、サイファーと対峙することになります。

プライドと信念を持った腕利きの傭兵(公式)であり、基本的にはクールでドライなリアリストですが、熱さを秘めたロマンチストな一面があるんですよね。クリア後のアサルトレコードで実はベルカ出身の孤児である事が明かされたりします。

歴戦の傭兵のくせになんでそんな夢見がちクーデターに参加してんの?とかよく言われがちなピクシーくんですが、蹂躙される故郷を見てられなかったとかベルカ侵攻を決めた諸国がそこまでアレだったとか原因は様々だと思われます。個人的には相棒である円卓の鬼神サイファーの存在も大きかったんじゃないかなと思います。

ベルカ戦争の初戦は圧倒的にベルカが優勢でした。それをことごとく覆し、化け物じみた戦果を挙げたのが鬼神ことサイファーです。味方がめっちゃやられた巨大レーザー兵器をたった一人でボコボコにしたり、味方戦力が40%損失した戦場に後から出てきて戦況をひっくり返したり、強すぎるからアイツから潰そうとばかりに基地ごと空爆されたけど生き残って即反撃したりします。ほんとに人間なの?

そんな嘘みたいな存在も最も近くで見ていたのがピクシーです。最初から一緒に飛んで、たった一機で戦況をひっくり返す様も、占領された首都を解放した時も、難攻不落の要塞を攻略した時も、そんなエースを一番近くで見ていたら、どんなリアリストでも夢を見てしまうと思うのです。こんなバケモンと四六時中一緒にいたら狂ってもしかたないやん…

個人的なピクシーくんのここがヤバイ所は、初めて一緒に出撃した日と最後に対峙した日が同じ雪の降る寒い日で、最初の一言も同じ「降ってきたな」で始める所ですかね!ハア…?お前…マジか…マジか〜〜〜……。この他にもピクシーくんはセリフと展開のリフレインで攻めてくる所があるので実際つよい。あとめっちゃ彼氏面してくる。なんなの?ほんとになんなの?

エンディングと最後に残ったもの

散々エンディングの虚無感がすごいとか言ったのになんだよって感じなのですが、ちゃんと希望もあります。片羽の言葉で幕を開けた物語は、片羽の言葉で幕を下ろします。あの戦いの意味、今自分が探し求めるもの、そしてかつての相棒へ送る言葉でインタビューは終わり、鬼神と呼ばれた傭兵はその壮絶な生き様を残し歴史の闇へと消えて行きました。


もうこのエンディングがね、控えめに言って最高でしかない…。ラスボス戦をZERO(OPでも流れるかっこいいBGM)で盛り上げてまくってからコレですよ…寂寥感、虚無感、そして未来への希望…そういうのを感じる、すごい(語彙喪失)

ZEROの特徴として、直接語られない部分がすごく多いです。ストーリーはピクシーからの主観、いまだ明かされない謎も多いベルカ戦争、最後の戦いからこのドキュメンタリーが放送されるまで空白の10年間…そういう行間をめちゃくちゃ妄想して楽しめるのもこのゲームの醍醐味かなと思います。公式サイトで公開されているワールドニュースや、ストーリークリア後に解放されるアサルトレコードで断片的な情報が入手できるので、どんどん妄想が膨らむね!更に前作5と繋がっているので一緒にプレイするとさらに楽しめるぞ!一粒でめっちゃおいしい!

最後に

私はこのゲーム大好きなのでほぼ欠点とかないと思ってるのですが、唯一の不満はアーカイブスが出てないので今プレイするのがちょっと大変ってところですかね。PS2から購入することになるのでハードルが実際高い…こんなにおもしろいのに…HDだしてはやく…。

なおエースコンバットシリーズ最新作「エースコンバット7 SKIES UNKNOWN」が2017年発売予定となっています!イエーイ!ヤッター!興味のある方はこの機会にぜひプレイしてみてはいかがでしょうか!?チョーカッコイイトレイラーも公開されているので見てビビッときたら他シリーズも調べてみたりしてくださいね!


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