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星座解説第5回 へび座・へびつかい座編

どうもyoutubeチャンネル「宇宙冒険隊」のHommaです!

今回は、へび座・へびつかい座の天体について解説していきたいと思います。


へびつかい座によって分断されたへび座

へび座とへびつかい座は古代バビロニアの時代には一体の星座でしたが、プトレマイオスによってへび座とへびつかい座に分かれました。

へびつかい座は巨大な蛇を掴んで立つ男の姿で、ギリシャ神話では、音楽と太陽の神アポロンの息子で、死人さえ生き返らせることができた名医アスクレピオスの姿だと伝えられています。

黄道(太陽の通り道)上に位置する13個目の星座でもあります。

また、へび座はへびつかい座を挟んでへび座頭部と尾部の二つに分かれている唯一の星座でもあります。星座は領域として扱われるのですが、星座が88個あるにも関わらず、領域の数は89個と、一つ多いのはこのへび座のためです。

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一般的に全体を指して、へび座(Serpens)といいますが、西側をカプト(Caput, ラテン語で「頭」)、東側をカウダ(Cauda, 同じく「尾」)として、区別することもあります。

へびつかい座の神話

へびつかい座はギリシャ神話の名医アスクレピオスが元になっています。

アスクレピオスは太陽の神アポロンの息子で、いて座の元になっているケイローンの元で医術を学び、優れた医師として多くの人々の生命を救いました。

一説には、アスクレピオスがある日友人の家を訪れた時、たまたま一匹の蛇を打ち殺しました。するともう一匹の蛇が草むらに分け入ったかと思うと、その口に草をくわえてきて、死んだ仲間の蛇につけてやると、その死んだ蛇がたちまち生き返ったのをみて、アスクレピオスは薬草の効果を知ったと言われています。

また、蛇は何度も"から"を脱ぎ捨てることから、不思議な再生力のシンボルとなり、古来、医術の象徴となりました。

アスクレピオスと蛇は様々な医療機関の象徴として採用されており、WHO(世界保健機関)のシンボルにもなっています。

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しかし、熱心のあまり、アスクレピオスは死人を蘇らせたため、ゼウスの怒りに触れて、雷によってうちころされてしまいます。

しかし、父アポロンの願いによって、ゼウスが後にアスクレピオスを星座に加えたのがこのへびつかい座です。

へび座、へびつかい座の探し方

へび座やへびつかい座を探すときはまず、夏の大三角を探します。

へびつかい座の探し方

この三角形のデネブとアルタイルを結ぶ線を軸にデネブを反対側にパタンと倒した位置に、明るい星が一つあります。この星はラスアルハゲと言い、へびつかい座のα星です。このラスアルハゲを頂点に、大きな五角形を探します。これがへびつかい座です。

この五角形が見つかればへび座も簡単に見つかると思います。へびつかい座の両側に星が連なっているのが特徴的な星座です。

M16とわし星雲

へび座の中でも非常に有名なのがわし星雲です。約6,500光年の距離にあり、大きさは20光年ほどで、へび座の尻尾側に双眼鏡を向ければ見ることができます。

全体が羽を広げたワシのように見えることからこの名前が付けられています。

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わし星雲を拡大すると明るい領域を見ることができます。この領域は実は大きな暗い塵の殻(暗黒星雲)の真ん中に開いた空洞で、とも呼ばれています。

この窓からは、まるまる一個の散開星団が生み出されつつある現場を覗くことができます。わし星雲のことをM16ということがあるのですが、本来はこの散開星団の方につけられた番号で、星雲の方にはIC4703という番号がつけられています。

下の画像は水素α(緑)、酸素(青)、硫黄(赤)の輝線画像を合成して作られたものを上の画像に重ねたものです。

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この空洞の中で、「創造の柱」「わし星雲の妖精」と呼ばれる柱や、丸い粒(グロビュール)の部分で、今まさに星が生み出されています。

この領域には既に若く青い星がいくつか生まれており、散開星団を構成するこれらの星々からの放射や恒星風が、取り残されたガスや塵を蒸発させ、外側へ押し広げているため、空洞の部分はどんどん広がっています。

星の誕生の現場「創造の柱」

わし星雲は、1995年と2014年にハッブル宇宙望遠鏡によって三本指の形をした領域が観測され、大きな話題となりました。

この画像は非常に人気があり、映画やテレビ番組やハガキなどにも登場しているため、見たことがあるという方も多いかもしれません。

この象の鼻創造の柱と形容される場所は非常に塵が濃く集まった柱状の部分で、その長さは数光年ほど、中では塵とガスが重力で凝縮し、星が生まれています。

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この柱は、星団の星からの強烈な恒星風を受けて、頂上付近が削られており、中に埋もれた生まれたての星があらわになっています。

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へびつかい座の暗黒星雲

へびつかい座にも、いくつもの暗黒星雲があり、特にへびつかい座ρ星付近の暗黒星雲は巨大で、たくさんの若い星々が誕生している現場であることが知られています。

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また、へびつかい座の右足にあるθ星の近くにはS字の形をした暗黒星雲があり、正式名称をバーナード72番、S字状暗黒星雲というニックネームで知られています。空が暗ければ7×50双眼鏡で観察することが可能です。

また、S字状暗黒星雲のすぐ右下にはバーナード68番という大きさがわずか0.6光年の小さな暗黒星雲があり、もうすぐ収縮をはじめ、星の生成が始まると推測されています。

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銀河系をとりまく球状星団

へびつかい座の領域にはたくさんの球状星団があり、メシエ番号がついている明るいものだけでも7個あります。

その中でもM10とM12は空の暗いところなら7×50程度の双眼鏡で同一視野にぼんやりとした光の雲として見ることができます。

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これら球状星団は、銀河系中心を囲んで球状に分布しており、中心部ほど数多く存在します。個々の球状星団は数十万個の星々が直径300光年程度の領域に球状に集まった天体です。

非常に美しいので、ぜひ双眼鏡を手にして、眺めてみてください。

最後に

記事の公開がかなり遅くなってしまいましたが、へび座、へびつかい座の紹介は以上となります。星座自体は目立たないですが、かなり個性的な星座なので、ぜひ覗いてみてください!

画像クレジット:
・Stellarium(https://stellarium.org/ja/)

https://www.youtube.com/channel/UC_g3EwRH5ecgQgN4WSQlGAw


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