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星座解説第6回 いて座編

どうもyoutubeチャンネル「宇宙冒険隊」のHommaです!

前回より1年以上間が空いてしまいましたね…(すみませんでした)。

先日、新しくPCを買い替え、いつもお世話になっているStallariumをダウンロードしようと思ったのですが…いつの間にか、ブラウザ版やモバイルアプリ版がリリースされていました。

Stellarium Web Online Star Map https://stellarium-web.org/

PC が無かったり、クライアントアプリをインストールするのが難しいという方に嬉しいリリースですね。

さて、そんなStellariumを使って、今回は「いて座」についてお話ししていきたいと思います。

いて座の探し方

いて座は誕生日の星座にもなっているので、比較的知っている方も多いと思います。夏の代表的な星座の一つですが、今の時期(9月)も東京では夜7時頃に見えます。

射手座の場所

見つけ方としては、南の方角を見ると地平線近くに、赤く明るい星(アンタレス)があるのですが、そこから少し西の方へ目を向けると、星が6つスプーンの形に並んだような並びが見つかります。

これは、あの北斗七星になぞらえて、南斗六星、もしくは英語でMilk Dipper(ミルクさじ)と呼ばれています。これが、いて座の目印となります。

いて座の歴史

このいて座の起源は古く、紀元前1100年ごろのイシン第二王朝にはすでにその原型がありました。

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これは、ネブカドネザル一世という王様がある人に土地を送ったことを示す石標(境界石、クッドルー)なのですが、ここにいて座の原型が見られます。この時は、今のような半人半馬ではなく、さそりと人が合体したさそり人間(しかも羽が生えてる)として描かれていました。

今の半人半馬となったのは正確には分かりませんが、 アッシュールバニパル時代(紀元前650年頃)では、メソポタミア神話の都市神エンリルの子パ・ビル・サグとして、半人半馬で蠍の尾を持った姿で『ギルガメッシュの叙事詩』にも登場しています。

こういった原型を元として、ギリシャ神話が作られ、私たちが現在知っているケンタウルスとなったのです。

ギリシャ神話では、大神ゼウスの父クロノスと、ピリュラーとの間に生まれたケイローンの姿であると語られています。クロノスの妻はレアーなのですが、レアーの目から逃れるために、馬に姿を変えていたことからこのような姿となったと言われており、他のケンタウルス族とは出自が異なります(他のケンタウルス族の出自については紙幅の都合上ここでは語りませんが、ぜひ調べてみてください)。アポロンとアルテミスに、音楽や医学、狩りなどの才能を与え、英雄ヘラクレスや名医アスクレピオスに、武術や学問を教えた偉大な先生としてギリシャ神話では語られています。

銀河系の中心

いて座は、天の川の中で一番明るく、幅が広いところに位置しています。これは、私たちから見て、いて座方向の約2万8000光年の彼方に天の川銀河系の中心があり、たくさんの星々や、星雲、星団が群がっているためです。

そのため、実は星座の中でもメシエ天体が一番多い星座となっています。ちなみに二番目に多いのはおとめ座です。

また、天の川銀河系の中心には、超巨大ブラックホール「いて座A*(エースター)」があり、周りを公転する様々な恒星の動きから太陽の約400万倍の質量であることが分かっています。

天文学辞典では、周りの星の10年間にわたる軌道運動を見ることができます。

いて座A* | 天文学辞典 https://astro-dic.jp/sgr-a-star/


メシエ天体

ところで、メシエ天体とは何でしょうか。

メシエ天体とは、フランスの天文学者シャルル・メシエが彗星を探索する際、彗星と紛らわしい天体の一覧として、作ったカタログに記載されている天体で、メシエの頭文字Mと数字で表されます。 例えば、M1はおうし座のかに星雲で、M2はみずがめ座の球状星団です。全部でM1からM110までありますが、メシエ本人が付けたのはM103までです。M104からM109まではメシエの助手が付け加えました。また、M110は20世紀になってから、メシエが発見していたことが分かって付け加えられましたが解説書によってはメシエ天体に含めず、NGC 205としているものもあります。

ちなみに、発表時にメシエが誤記をしたらしく、110個の天体のうちには、位置の怪しい天体もありました。中でも、M40は重星であったり、M102はM101の見誤りとされ、また、M91はM58やNGC4571ではないかと言われ、リストから削除されています。したがって、メシエ天体は全部で、M40(二重星 WNC4)、M91(NGC 4548)、M102(NGC 5866)の欠番を除く107個となります。


三大散光星雲

いて座には、双眼鏡や小さな望遠鏡で楽しめる散光星雲が3つ(M8、M17、M20)あります。これらはいずれも手前に散開星団を伴っていて、星の形成領域として知られています。

それぞれ実際に見てみましょう。

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M8は干潟星雲と呼ばれています。夏の星雲の代表として必ず最初に名前が出てくるとても美しい散光星雲です。干潟星雲という別名は、大きな星雲の中を横切る暗黒帯の複雑な様相が、水が引いたあとの干潟や珊瑚礁の模様のようにも見えるということで名付けられました。

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M17はオメガ星雲、もしくは白鳥星雲と呼ばれています。いて座、たて座、へび座の三つの星座の境界に位置し、満月ほどの大きさがあります。星雲の中にループ状の構造が見え、これがΩ(オメガ)に見えることから、このような別名が付けられていますが、小さな望遠鏡で見ると、白鳥の姿が鮮やかに見えます。

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M20は三裂星雲と呼ばれるのですが、名前だけは聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。明るい散光星雲が暗黒星雲によって3つに引き裂かれたように見えるためこのように呼ばれました。

M20は北側と南側で性質が異なっており、北側は青い反射星雲、南側は赤い輝線星雲となっています。三裂に見えるのは、南の赤い輝線星雲ですね。

反射星雲は、分子雲が恒星の光を反射しているために光っているのですが、輝線星雲は、恒星が発する高エネルギーの光子によって励起した分子雲が元の低エネルギー状態に遷移する時に、光のエネルギーとして放射します。

星座解説第4回 こと座編で紹介した、惑星状星雲M57と同様の原理で光っている星雲となります。

暗黒星雲による三裂に加えて、反射星雲と輝線星雲のコントラストを楽しめる見事な星雲です。


最後に

今回紹介した星雲以外にも、いて座では様々な星雲や星団を見ることができます。中には、天の川の星々が密集した部分で、星団ではなく、スタークラウドと呼ばれているものもあります。

ぜひ双眼鏡や望遠鏡を手にして、天体観望を楽しんでみてください!


画像クレジット:
・Stellarium(https://stellarium.org/ja/)



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