見出し画像

本当に時々、吹くんです。『時々海風が吹くスタジオ』(第3回空間タンブラー)

「タンブラー=ぶらりと探索する人」
タンブラー片手に颯爽と歩くスマートな女性になりたい私が、
自分の好奇心だけはしっかりと握りしめ
面白い「場所」「空間」をぶらり探索します。

観劇に行くともらえる、チラシ束。いろんな劇団の公演情報が知れるこのチラシ束は、もはや観劇の楽しみの一つと言ってもいいですよね。私は観劇後、この中からビビっとくるものを厳選する作業が好きです。

そんなチラシ束ですが、特にこんな表紙のチラシ束をよく見ませんか?

画像13


これを作っているのは「ネビュラエンタープライズ」さん。チラシ折り込み代行サービスを中心とした事業を行っている企業です。(観劇ファンや演劇人にとっては、2020年9月に社名変更する前の「ネクスト」という名前で馴染みがあるのではないでしょうか?)

そんな ”演劇のチラシといえば” のネビュラエンタープライズさんが昨年9月、新しくスタジオをオープンしました。

その名も、時々海風が吹くスタジオ

なぜチラシ折り込みの会社がスタジオを?「海風が吹く」って?
なんだか興味をそそられます。

というわけで、第3回の空間タンブラーはネビュラエンタープライズさんの時々海風が吹くスタジオに行ってきました。

1. 時々海風が吹く亀戸

時々海風が吹くスタジオがあるのは江東区 亀戸駅(JR総武線・東武亀戸線)

亀戸駅には北口と東口があり、繁華街があって賑やかなのは北口↓

画像1

スタジオに近いのは東口です↓

画像2

駅の南側には国道14号線(京葉道路)が。湾岸エリアで工業が盛んなので、ここが物流の場となっているんですね。

画像5

スタジオには、この国道に沿って東へまっすぐ進むと辿り着きます。

亀戸7丁目交差点まで来ると、ネイビー色の看板が。

画像3

画像4

ここがネビュラエンタープライズさんの社屋。
この2階に 時々海風が吹くスタジオ があります。さっそく行ってみましょう。

2. 白と茶色とネイビーカラー

社屋の入り口には、スタジオへの案内が。

画像6

矢印の先の階段を上がります。

画像7

スタジオまでの内装もナチュラルで明るい雰囲気ですね。

画像8

この水色の扉の奥が「時々海風が吹くスタジオ」です!
ちなみに上の階はネビュラエンタープライズさんのオフィスになっています。

では、さっそくスタジオの中へ。

画像9

パネルミラー

白い壁と茶色の床、そしてネイビーカラー。この色のコントラスト、すごく素敵ですよね。落ち着いて創作できそうな空間です。
ちなみに、ネイビーはネビュラエンタープライズさんのイメージカラーであり、「海」を意識した色でもあるそうです。

広さはというと、大人数での立ち回りなどがなければ、稽古には十分な広さ。さらに、パネルミラーもあるのでダンス練習などにも向いています。実際に、亀戸地域の方のお稽古ごとやダンス練習に利用されることも多いようで、スタジオ利用があるときは子どもたちの声や動く音がオフィスまで聞こえて、活気あふれる雰囲気なんだとか。なんだかほっこりしますね。

3. 時々海風が吹くスタジオができるまで

さて、今回は時々海風が吹くスタジオについてもっと知るために、スタジオを担当していらっしゃるネビュラエンタープライズの中村友一さん、榮門美那海さんにインタビューさせていただきました。

まず伺ったのは、スタジオ名の由来。このスタジオはなんと言っても「時々海風が吹くスタジオ」という一風変わった名前が特徴的ですよね。どうしてこういった名前になったのでしょうか?

 東京湾の潮がここまで匂ってくることが本当に時々ありまして、やわらかな雰囲気の中で創作活動に集中してもらいたい、という願いをこめて、いくつかあった案の中から選ばれました。
(中村さん)


ちなみに他の案も亀戸にちなんだ名前で、地元感を意識して考えたそうです。たしかに「時々海風が吹く」というのも、湾岸エリアの亀戸だからこそですよね。

それにしても、この「時々海風が吹くスタジオ」は考えれば考えるほど素敵な名前、そしてコンセプトだなと思います。

「海風が吹く」と聞けば、つい自分がその場にいて風を感じる様子を想像してしまいませんか。しかも「風」でなく「海風」であることで、潮の匂いまで感じさせます。そして、「時々」というのがまたユーモラスですよね。ちょっと控えめで親近感を感じます。さらに、そもそもこの土地特有の現象だというローカル感もあり、そんでもって全体としてはおしゃれでやわらかい印象。あれ?完璧じゃないですか?!
私も、いつか自前のスペースをつくれる日が来たら、ネーミングに徹底的にこだわろうと思いました。


次にお聞きしたのは、私が一番疑問に思っていたこと。
なぜチラシ折り込み代行の企業がスタジオを?

 コロナの影響が大きいです。去年の4月・5月、どちらの団体さんも、”公共の稽古場が使えない”などいろいろ縛りがあるなかで、「(演劇)業界に対して我々ができることはなんだろう?」と考えたときに、そのうちの一つとして、スタジオをご用意してご利用いただくと、考えました。
 それ以前より地域に根ざした活動を行うことは弊社の課題でもありましたので、スタジオを通じて地域との接点をつくることも積極的に推進していきたいと考えております。
 (中村さん)

スタジオのオープンは、演劇業界に対してできることを広く考えていたなかで出たアイデアだったんですね。
しかし、地域とのつながりというのは意外でした。だからスタジオ名に地元感を取り入れたり、演劇関係に限らず地域の人も利用できるようになっているんですね。

4. スタジオのこれから

さて、そんなふうにしてできた「時々海風が吹くスタジオ」ですが、なにかスタジオができてよかったことはありましたか?

  「このビルなんだろう?」と思っていた人たちが知ってくれる機会になる。「お互いに知ってる」というところがとてもメリットだなと感じました。
  また、スタジオを利用する生徒さんに小さい子が多く、亀戸に学校が多いことや、教室を運営する人が意外と多いことなど、地域性を知ることができたことも良かったかなと思います。(榮門さん)

再び「地域」という言葉が出てきましたね。今回インタビューさせていただいて最も印象に残ったのが、お二人の亀戸を知りたい・関わりたいという姿勢でした。
たしかに、演劇関係の一企業として、市民と演劇との接点をつくるという意味で地域とのつながりはとても大切ですよね。社会的にも、地域のコミュニティの居場所を守ることは意義があることです。
そしてそれと同時に、一人の人間として、勤務先のまちのことを知ることはそのまちに愛着をもつことにつながるし、愛着のあるまちで働けるほうが豊かな気持ちでいられそうです。きっとお二人も、スタジオを利用する亀戸の人たちと日々交流するなかで、そういった亀戸への愛着ができたのではないでしょうか。

画像11

ところで、私もいつかこんな風に多目的で使えて、地域に根付いた場所をつくりたいと思っているのですが、私はそこでいろんなイベントを主催するのが夢なんです。このスタジオでも今後、なにかイベントを主催する構想はあるのでしょうか?

 ございます!まだ具体的な形になってはいないんですが、公演団体さんと私たちと観客の人とのつながりができればいいなと。かつ、いま少しづつできている地域のコミュニティなどのつながりも活かしながら。
 例えば、舞台芸術関係や全く別の業界からでもいいですし、講師をお招きして、ワークショップや講演会など。梅雨時期や猛暑日に小さいお子さんが日をよけて遊べるような会を主催するでもいいですし。(中村さん)

どれも面白そう!特に、演劇業界のなかでもチラシ折り込み代行というかなり独特な立ち位置にいるネビュラさんだからこそできる企画がありそうです。避暑地イベント(勝手に名づけました)も、子どもたちの良い思い出になりそうですし、「ワークショップ」や「講演会」といった名目に当てはまらない、こんなゆるやかなイベントがあっても良いですよね。
コロナの影響でなかなか難しい面もあると思いますが、今後、多彩なイベントを通してより一層素敵な場所になってほしいなと思います。


では最後に、お二人の思うスタジオの一番の魅力を教えてください。

 都心からそれほど離れてないところで、適度なスペースで、それなりにリーズナブルな金額で提供できているんじゃないかなと。私たちの最終的な目的としては、公演成功のサポートをすること。ご相談していただければ、できるだけのことは対応させていただきます。(中村さん)

 演劇の方だったらチラシの話をしたりとか、演劇以外の人でもなにか宣伝したいってなったときに力になれることがあると思っているので、スタジオを借りる目的以外の利用方法も一緒に考えていけることがメリットだなと思います。(榮門さん)

実は今回詳しくご紹介できなかったのですが、時々海風が吹くスタジオでは公演中止サポートというサポートを行っています。このスタジオを利用して準備を進めていた公演が新型コロナウイルスが原因で中止になってしまった場合に、スタジオ利用料の一部を返金するというサポートです。
オープン時に、「我々がスタジオを通して業界に貢献できることは何か」を考えて用意されたサポートとのことですが、スタジオのほかに主軸となる事業があるネビュラさんだからこそ実現可能な面もあると思います。

いろんな人が気軽に利用できて、かつ、単なるスペースの貸し借りにとどまらない協力的な関係を築くこともできる。しかも、専門である宣伝をはじめ、公演成功のためにサポートできる体制が実際にきちんと揃っている。
そんな安心感が利用者にとって魅力なのではと思います。

そして、演劇を愛し、亀戸を愛し、自分たちができることを常に考える、そんなネビュラエンタープライズさんの理念が感じられるところも、とても魅力的だなと私は感じました。

中村さん榮門さん

(左から、榮門美那海さん、中村友一さん)

インタビューにお答えいただいたネビュラエンタープライズの中村さん、榮門さん、ありがとうございました!

ちなみにこの日、残念ながら私がいた時間には海風は吹きませんでした!
スタジオ利用を考えていらっしゃる方がどうか「時々」に遭遇できますように。

以上、第3回空間タンブラーはネビュラエンタープライズさんの「時々海風が吹くスタジオ」でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?