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アザだらけで生きる、みたいな ~私が考えるHSP~

私は小さい頃からアザができやすかった。

足とか腕とか、ふと気づくとアザがある。
たぶん子供用ベッドの柵とか、ドアの取っ手とか、
無意識にぶつけたところがアザになっていたんだと思う。
でも、ぶつけたときの「イタタタ…」っていうのを自覚する場面は少なかったから、
初めは「どうしたの!?」と心配していた親も、
アザがあっても、ほとんどの場合けろっとしている私を見て
(時々すごく痛くて大泣きしたけど)
軽めの衝撃でもアザができやすい体質なんだと、特に病院に連れていかれることもなかったし、
実際大きな問題も起こらずに生活できていた。

少しずつ大きくなってくると、
自分は「物にぶつかりやすい」ってこともわかってきた。
自分の車幅感覚が曖昧というか、、、
廊下を曲がろうとして、壁の角に体をぶつけるとか、
何か取ろうとして手を動かしたら、そばにあった机に手をぶつけるとか。
人が一緒にいると、おっちょこちょいだね~と面白がられて、
自分もヘヘヘ…と笑ったりしてた。

でも成長するうちに、
だんだんアザが痛むようになってきた。

アザは普通、放っておけばいつの間にか直るけど、
アザがあるうちにその部分を押したりすると痛いし、
ましてや直る前に同じ箇所をぶつけたりすると、アザはさら悪化する。
物にぶつかりやすい私は、同じ場所を繰り返しぶつけるようになり、
ただのアザはいつしか万年アザになり、痛みも増していった。

大人になって病院に行ってみたけど、
検査しても大きな病気が見つかるわけでもなく、
「ぶつからないように気を付けるしかありませんね」と言われた。
何かの病気ではない以上、自分でも「そりゃそうだな」と思った。

「ぶつからないよう気を付ける」生活が始まった。
動き出すとき、歩くとき、何かにぶつからないように気を付けた。

そうしていると、ぶつかる回数は減ってきたけど、
ずっと気を張っているから、ものすごく疲れるようになった。
しかも、ぶつかることを完全に無くすことはできなかった。
仕事など他のことに集中していると、以前のように手をぶつけたりしたし、
気をつけながら歩いているときでも、人混みでは他の人に鞄をぶつけられたり、肩がぶつかったりした。
ひとつひとつは小さな衝撃だが、万年アザを持つ私には強い痛みになる。

気をつけても気をつけても、
ぶつかる癖を直せない自分がとても情けなくて自己嫌悪し、
気をつけても気をつけても、
人や物がぶつかってくる可能性のある「外」が恐くなった。

アザの痛みも
本当にキズが痛むのか、
「あ、ぶつかった! またキズが痛む!!」という意識が痛がらせるのか、
自分でも分からなくなった。

初めは「痛いのが嫌」だったのが
いつのまにか「ぶつかるのが恐い」に変わってしまっていた

動くことが
外に出ることが
恐くなった

病院に行っても
「体質だからどうしようもありませんね」と言われ
友人に話しても
「心配しすぎだよ~。何もできなくなっちゃうよ」と言われる

そんなことは分かってる
自分が一番よく分かってる
でも
恐いものはこわいし
痛いものはいたいんだ

病気じゃないし
体は動くから
頑張って暮らしてる
恐いけど、しんどいけど
不安と痛みの恐怖で消えたくなるときもあるけど
頑張って生きてる

でも人は「まったく大げさな…」と
時に笑い、時にあきれる

アザの痛みより何より
人に「理解してもらえない」ことが
一番しんどいんだって
ずいぶん経って、気づいた


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


私が思う
HSPのつらさってこんな感じじゃないかな
ということを書いてみました。
一般的には障害でも何でもない些細なことが、
HSPにとって深刻な問題になってしまうことがある、という話。

HSPがしんどく感じることって
非HSPさんからしてみたら
「何でこんなことがしんどいの???
 気にしなきゃいいだけじゃん。気を付けりゃいいことじゃん」
ってことがすごく多いから、
HSPのつらさは受け入れて(共感して)もらいづらいし、
頑張りもなかなか認めてもらえない、ってことになりやすいと思うんです。
近しい人にも理解してもらえないことが多いから、
自己嫌悪や孤独感も深まってしまう。
甘いのかもしれないけれど
「大変そうだね、頑張ってるんだ。できることはサポートするから」
と言ってくれる人がいたら
HSPさんのしんどさも少し緩む気がします。

ただ、多くの人にとって理解するのが難しいことだというのもよくわかります。
HSP自身が「自分への理解を深め、受け入れ、対応していく」
ということが、まずは一番重要なんだろうと思います。

ちなみに、
この話は本当と創作が混ざっています。
アザができやすい体質だったことは本当ですが、
アザで病院に行ったとか、人の鞄がぶつかっても痛むとかはフィクション。
近い人に「大したことないこと」と認識されて絶望感を感じたのは本当。
(あ、それは書いてないか。笑)
病気ではなく「様々なものに過敏な体質」ということを「アザ」に置き換えて書いてみました。

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