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楽しく、意味なく、文字を打つ

 文字を打ちたいだけ、実際そうやってこの文章を書いている。書くべきことは何もないのだけどなぜかキーボードの手が動いている。

 キーボードを打つことはどこか原始的な快楽につながっていて、触って「しゅこ」「かちっ」「すん」といった音とショックがあり、そしてその結果が画面に反映される。人間というものは自分のやったことに対してわかりやすくフィードバックがあると嬉しい生き物なので、キーボードを触ることはその快楽を簡単に満たしてくれるのだ。

 そして副次的に自分の気持ちを形にすることでもやもやを晴らすことができる。形のないものは私たちにとって計り知れないほど怖いものだけど、それがいったん文字にしろ何らかの言葉になってしまえばそれは「見えない」何かではなくて確かにそこにある認識できる事実に変わる。そういったことでちょっとしたもやもやすら吹き飛ばしてくれる。

 ただ打ち、ただ手の動きを文字に変える。形のないものに形を与える単純なこの作業の不思議な魔力がそこにある。

 書きたいことがあるから、書くのではなく、キーボードをたたきたくて書くことを決める。そんな書き方があってもきっと楽しいと思うのだけど、どうだろうか?

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