short story series『と、私も前々から考えていた』コインランドリー case03

作・草場あい子

私のお父さん。お父さんはせっかちだ。エレベーターの閉まるのボタン連打するし、カップ麺食べる時3分待てないし。私がテレビ見てたら、そんな暇あったら勉強しろって言う。お父さんはよく生きられる時間は生まれた時から決まってるって言う。だからゆっくりしてる暇はないって。

でも私はゆっくりテレビ見たいし、ソファに寝っ転がって雑誌隅々まで読みたい。

お父さんは生き急いでる。きっと本人は気づいてない。そんな生き方楽しいのかなってたまに思う。言ったことはないけど。

コインランドリー。回っている。誰も居ないこの空間は洗濯機が回る音で充満している。きっとここにお父さんが居たら回ってる間に買い物行ったり、なんかするんだろうけど私はしない。ただ回るのを見てるだけ。回る音聞いてるだけ。きっとお父さんは無駄な時間って言うんだろうな。でもこういう時間って必要だ。私は限られた時間の中で無駄な時間を作る。その方が私は生きやすいから。

2018年11月28日

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