short story series『と、私も前々から考えていた』郵便局員 case 04

作・渡邉大

寒い。最近、一気に寒くなった。
寒いから、公園で遊ぶ子供もあまり見なくなってきた。
地球温暖化とかのせいだろう。
この時期になると冷たい風が当たって手や顔が固まってくる感じだ。
更に、バイクにも乗ってるからなんかもうすごい痛い。
こういった時は凄く仕事を辞めたくなる。まあ、多分辞めないと思うけど。
郵便局員の仕事は割と僕に合っている。
この職についた理由は、「それなりに安定しているから」とかだった。
覚える業務作業も多かったが、割とすぐに覚える事ができた。
別に、この仕事にやりがいを感じてるとかじゃないけど、特に大きなストレスを感じることも無いのでしばらくはこの仕事をやっていることだろう。
もしかしたら60歳くらいまでこの仕事やってるかも。
なんて事考えてたら配達先までついた。
寒いし、これを届けたらすぐ郵便局に帰ろう。
インターホンを押すと、おばちゃんが出てきた。
「あら〜、郵便屋さん?お兄さん、寒いのにご苦労様!」
出て来るなり話しかけて来たから少しびっくりした。
「あ、はい!」
なんだか少しかみ合ってない返事をしてしまった。
「なんだか急に寒くなったわよね〜。いつからだったかしら、今週の水曜日?」
「はい!確かそのぐらいからだったと思います。」
「そうよね!天気予報で気温を見た時は、ちょっとびっくりしたわ〜。」
「あ〜。そうですね、僕もそうでした。」
「そろそろこたつが恋しくなって来るわね〜。あっ。で、郵便だったわよね、有難う!」
「いえ、こちらこそ!」
「まだまだ寒いけど頑張ってね!」
「有難うございます!では!」
…久しぶりに世間話をした。あんなに話しかけて来る人はいつぶりだろうか。
寒いって思ってたけど、まだちょっと暖かかったんだ。

2018年12月6日

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