見出し画像

子どもの可能性を広げる習い事選びとは?子どものタイプによりそった保護者のサポートについて考える

みなさま、こんにちは、SOZOWのnoteライターのしなこふです。
二人の子どもの育児真っ最中!フルタイムで働きながら、子どもたちの習い事の送迎に追われる日々です。すでにスケジュールはパンパンなのに、他のご家庭の習い事の事情を聞くと「わが家の習い事は少なすぎる?」と不安になることもしばしば......。

「子どもにどんな習い事を、どれくらいさせたらいいかわからない」
「何歳から始めるべきなのか」
「辞めたいといいだしたら?」

このような悩みを抱えた保護者の方も多いのではないでしょうか。

そんな悩ましい習い事選びのヒントになるのが、本日ご紹介するSOZOW FORUMのイベントレポートです。テーマは、「子どもの可能性を広げる習い事選びと家族の関わり」。
数多くの教育支援の現場に携わってきた登壇者のトークセッションを通じて、わが子、そしてわが家にあった習い事選びについて考えることができます。


1.SOZOW FORUMとは

「子育てにも、教育にも、親のあり方にも、家族のかたちにも多様な選択肢があってよいのではないか」という想いから生まれた、新しい形の保護者向けセミナー。それがSOZOW FORUMです。

価値観が多様化した現代。子育てにおいても、保護者たちは正解のない問いに向き合わなければなりません。

正解がないからこそ、ともに考え、ともに学ぶ機会を大切にしたい。

そんな願いを抱きながら、多くの保護者の皆さまに多様な価値観と考えるヒントをトークセッション形式で届けていきます。

2. 登壇者紹介

SOZOW FORUMは、保護者の皆さんと一緒に考えながら進めていくセミナーです。

今回も、特技やスキルが身につく習い事をおすすめするのではなく、「子どもの可能性を広げる習い事とはなんだろう」という根本的な問いについて、対話を通して考えていきます。

ナビゲーターは、これまで2000家庭以上の家族支援を経験してきた、よーこ。自身も二児の母であり、子どもが小さいころは習い事選びについて深く悩んだ経験があるそうです。

そしてゲストとして登壇したのは、東京学芸大こども未来研究所 学術フェローである小林拓哉(以下、こばたく)。子どもの発達支援を通してひとりひとりの子どもと直接向き合ってきた経験と、子どもの教育支援についての研究という学術的な知見の両方をもっています。

3. 世の中の習い事事情を知る|いつから?なにを?どれくらい

保護者の方は「他の家庭がどんな習い事をしているのか?」ということが、とても気になると思います。
そこで、まずは最近の「習い事事情」について「いつから」「なにを」「どれくらい」という3つの視点から確認してみました。

Q:最近のお子さんは何歳くらいから始めると思いますか?

まずは、よーこから参加していただいた保護者の方に対して、お子さんの習い事を始めた年齢を質問しました。
すると、
「0歳から」
「小学校が落ち着いた2学期から」
「胎教から英語」
など、さまざまな経験談がチャット欄によせられます。

こばたく:ぼくが想像していた以上に、お子さんが小さいうちから習い事をスタートしているんですね。

Q:現在通わせている習い事上位ランキングは?

続いて、習い事上位ランキングとその選択理由をデータで確認します。

こばたく:水泳は昔から習い事の王道ですね。義務教育の中で水泳を体験する機会があり興味関心をもちやすいことや、重力から解放された状態で動くことで空間認知能力が身につくということが人気の理由のようです。

Q:現在通わせている習い事の数は?

最後は、お子さん一人につき通わせている習い事の数を確認しました。

よーこ:私自身は、子どものころはたくさんの習い事をこなしていました。両親が共働きで忙しかったので、子どもの相手をすることができないぶん、習い事でいろいろな体験をさせてくれていたようです。

4. この時期に陥りやすい思考を整理|強制的に視点を変える重要性

世の中の習い事事情をデータでみると、自分の家庭と比べて焦ったり、モヤモヤした気持ちになった保護者の方もいらっしゃるかもしれません。実は、年度の終わりから新年度にかけて、保護者の方が習い事について陥りやすい思考回路というものがありました。

よーこ:学校に入学したり、子どもの学年が上がったりするこの時期に、こんな悩みを抱えた保護者の方も増えるようです。

よーこ:なぜこの時期(年度の終わり〜新年度にかけて)、そのような気持ちになってしまうのでしょうか。

こばたく:情報過多なことが原因のひとつです。いろんなところから、プリントやメールで送られてくる連絡がものすごい量ですよね。兄弟がいればいるほど、情報量も増えます。

さらに、年度の切り替えにあたって保護者が出席しなければならない会や、子どもの新しい時間割にあった習い事の組み替えなど、スケジュール調整が発生します。

こばたく:こういった目の前の膨大なタスクに追われると、普段どんなに視野を広く持っている方でも視野狭窄に陥りやすくなります。

よーこ:視野がせまくなってしまったとき、保護者はどうしたらいいのでしょうか?

こばたく:まずは抱えているものを、全部はき出してみましょう。それが「棚卸し」ですね。

それから、強引にでも中長期的に考える時間をもつことです。週に30分は少し先のことを考える時間をもつ、と決めてもいいですね。無理矢理にでも視点を切り替えると、もう一度足元に視点を戻した時に、見え方が変わるかもしれません。

よーこ:「中長期的に考える」とは例えばどんなことでしょうか?

こばたく:4、5年後に子どもと家庭の関係性がどうなっているかや、家族がどんな状況かといったことです。そこから現時点に逆算して考えていくと、日々の膨大なタスクのうち省ける部分がみつかったり、優先度を整理できたりします。

よーこ:視点を行ったり来たりするんですね。

こばたく:そうですね、視点が固定されてしまうことが問題なのです。とはいえ、保護者の方は忙殺されていると思うので、「この時間は視点を変えるぞ」と強制的に時間をもつとよいと思います。

出典:PhotoAC

よーこ:わが家では子どもの進路などを話し合う会を「フューチャーの会」と呼び、定期的に設定しています。その時間は子ども自身も一緒に将来のことを考える機会にしています。

こばたく:まさに、強制的に中長期を考える時間ですね。
人間はどうしても目の前の課題に優先度を感じてしまうので、重要度は高いけれど緊急度は高くない課題についてはあとまわしにしてしまいます。よーこさんのフューチャーの会はすごくいい事例だと思います。

5.子どもの意思決定支援|タイプ別のサポートポイント

よーこのように、子どもと一緒に考えることの必要性はわかっていても、実現するのはなかなか難しいと感じることもあるのではないでしょうか。
「子どもに自発的・自律的に決めさせることが重要だ」とよく言われます。しかし、実際わが子のこととなると、どこまで子どもの判断に任せていいのか悩みますよね。
子どもの意思決定は、どこまで尊重すべきなのでしょうか。

出典:photoAC

よーこ:「辞めたいといったとき、頑張って続けさせるべきか」「子どもと親がやらせたい習い事が違う」など、参加されている保護者のみなさんも感じたことがあるのではないでしょうか。

ここで、ご参加いただいている保護者の方にも、今抱えている悩みを聞いてみたいと思います。

参加者コメント:「やり切ったものがなく、全部途中でやめています」

こばたく:たしかに「始めどき」についてはよく聞きますが、「辞めどき」の話はあまり聞きません。資格取得のような習い事でない限り、区切りが難しいですね。

よーこ:親と子どもで「やり切った」と感じるポイントも違っているかもしれません。

参加者コメント:「やりたいと言われたら金銭的に許す限りやらせています」

こばたく:これはすごく重要なポイントだと思います。金銭面は保護者しかわからないことですからね。

参加者コメント:「いろいろな体験をさせたいのですが、学校も忙しいし、遊ぶ時間も確保してあげたいです」

こばたく:最近は探究的な学びが主流になっているので、調べものなど授業以外の学びも多忙になっていく気がしています。

よーこ:保護者の皆さん、本当に深いところまで悩まれていますね。
では、ここから子どもの意思決定をどう支援していくかを一緒に考えていきたいと思います。

まずはみなさん、お子さんはこの3つのタイプのどれに近いか少し考えてみてください。

よーこ:それでは、タイプの番号ごとに意思決定支援のポイントをみていきましょう。

こばたく:まず1番めのタイプについて少し解説します。このタイプは「自分で考えて、自分で決められた」ということを実感することが重要です。自分でチャレンジして試行錯誤したいというお子さんが多いので、とにかく全力で応援する、伴走する姿勢を見せることが重要になります。

2番めのタイプのお子さんは、最後の「決める」という行為には干渉せず、選べる選択肢を増やしたり、お子さんの思考を整理するサポートをするとよいでしょう。

3番めのタイプのお子さんは、やりたいという気持ちをもっていることを全肯定した上で、手厚くサポートしていくことが大切です。

よーこ:私の場合、選択肢を提示することが大事と思いつつ、つい「こっちの方向を選んでほしい」という親のエゴが選択肢に入ってきたりします。

こばたく:そういうことはごく自然だと思います。あくまでこれは親の考えだということを一言子どもに伝えておくといいかもしれません。

よーこ:他にも保護者が注意することはありますか?

こばたく:1番めのタイプで気をつけるのは”意思決定ごっこ”にならないことです。「どうせ僕が考えたって最終的には親が考えた結論になるんだろう」と子どもに受け取られないように、決めたことは尊重しましょう。

2番めに関しては、サポートが供給過多になってしまうことですね。どんなサポートが必要なのかしっかりコミュニケーションをとりながら進めると良いと思います。

3番めについても、ずっとサポートし続けるのではなく、その子がいま感じていることをこまめに確認し、つどサポート内容を見直すようにしましょう。

よーこ:3番のタイプから2番、1番とステップアップしていくことが子どもの自立につながるのでしょうか?

こばたく:どのタイプならいいということではないのですよ。
得意なことについては1番タイプだけれど、少し苦手意識があることは3番タイプ、というように、同じ子どもでも学習履歴や環境によって変わってきます。

こばたく:あとは成功体験があるかどうか。

何か自分で決めて成功した経験があると、「自分で決めるって楽しいな」という実感をもてる。それを積み重ねることで、自分で決める意欲や土壌が育っていきます。

そうやって、3番から2番、1番と変わっていくのだと思います。

6.大事にしたい家族の関わり|中心にあるのは家族が幸せであること

習い事を選び、続けていく、または辞める決断をするには、子どもを理解ししっかり対話することが大事なのだとここまでのトークセッションで気づきをえました。

ここからは、子どもの良さを再発見したり、家族の対話が増えたりと、習い事をきっかけとして家族がより幸せになっていくためのポイントを一緒に考えていきます。

こばたく:まず1つめとして、定期点検が大切です。今回ご紹介した子どものタイプは、どんどん変わっていきます。ちょっとした時に、子どものコンディションについて対話を通して確認しておきましょう。

そして、2つめの「マイナスを補うよりプラスを伸ばそう」というのは、あえて僕がいうまでもないことですが。気をつけなければならないのは、学力やスキル、知識にはトレンドがあることです。今注目されている学力やスキルなどを身につけることに必死になりすぎるのではなく、どうしたら子どもの自尊心が満たされるのか、幸福を感じるのかを大切にして欲しいですね。

最後に、「見通しより直感を」というのを挙げたのですが、熱心な方ほど今日のような話を聞いて「中長期から逆算をしてプランを立てなければ」と、そのプランを実行することにこだわりすぎてしまうこともあります。とはいえ、ベースとして、日々子どもも保護者も心身ともに健康に毎日を楽しく生きられることが大事なので、見通しに縛られすぎずに、「今日私たち楽しいよね」と思える日々が明日も明後日も続くようにする、という考え方も重要だと思います。

7. さいごに


本日は「子どもの可能性を広げる習い事選びと家族の関わり」について、たくさんのヒントをえました。

つい「いつから?」「なにを?」「どれくらい?」ということが気になって、周りの様子に目がいってしまうものです。

しかし、今回はこばたくから「視点を変えること」という気づきをもらいました。

出典:PhotoAC

子どもの成長を中長期的に考えてみると、トレンドの知識やスキルを身につけることだけが習い事の目的なのではないことに気がつきます。根本的に大切なことは、子どもの成功体験を積み重ねることであり、子どものプラスな面を伸ばしていくこと。それが子どもの可能性を広げる習い事選びのポイントなのだと感じました。

現在、習い事について悩みを抱えている保護者のみなさんも、視点を少し変えると、習い事選びのとらえかたが少しアップデートされるかもしれませんね。

過去のSOZOW FORUMや対談の記事も、ぜひお読みください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?