なぜ私は介護記録AIスマホを無料で貸し出すのですか? 〜介護施設編〜
介護業界におけるIT活用についてのアンケートを実施しています。これまでにご回答いただいた方、ありがとうございます。
現時点で約60件の回答が来ていますが、一つ特徴的だった結果をご紹介します。なんと74.6%の方がIT導入の際に「コスト」を懸念するという回答でした。
介護業界で、請求ソフトなど、お金に直接関わる部分についてはIT化は進んでいますが、ことに介護記録となると、IT化は案外進んでいないのが実情です。その懸念の一つが、「コスト」と言うことになるのですが、介護記録システムのコストを下げることはできるのでしょうか。
正直に言うと・・・
介護記録システムのコストを下げることは、他の介護ITシステムと比較すると、かなり厳しいチャレンジ
なのです。その理由をこれから書きます。コスト、といった場合に、かかるのは初期費用(イニシャルコスト)と維持費用(ランニングコスト)ですね。
まず、初期費用です。介護記録は、やはり現場で、利用者さんのそばで、起こることを記録したいですよね(事件は会議室じゃなくて現場で起こっているんです!・・・この言葉、もう使い古されていますが)。
そうなると、事務所にPCが1台あれば事足りる、わけではありません。持ち運びできるタブレットまたはスマホを、できれば出勤しているスタッフの分欲しくなります(そうしないと、紙に記録して転記、という無駄が発生してしまいます)。
つまり、10人出勤する施設ですと、機器を10台用意する必要があります。スマホ1台3万円とすると、10台で30万円。この時点で、PC1台の値段をほぼ超えます。
また、通信ができなければいけません。ネットで調べると、Wifi敷設費用は10万円〜といったところのようですが、広い施設や複数階ある施設は、その3〜5倍かかってくるでしょう。 平均的に、40万円としましょう。
これで導入費用が合計70万円です。
次に、維持費用です。維持にかかる費用にもいろいろありますが、わかりやすい例で言うと、スマホ本体の故障率を考えてみましょう。スマホの故障率は使用年数によっても違いますが、1%と考えてみましょう。1台で故障しない確率が99%、2台あると故障しない確率が(0.99×0.99=)約98.0%になります。
10台だと・・・。約90.4%になります。つまり10日に1回、故障します。
(実際には本体の故障だけではなくて、ソフトの不具合や、使い方が間違っている、などいろいろな不具合が考えられますね。)
この際に出張サポートを受けるとします。出張パソコン修理、などでネットを調べると、だいたい出張費用5,000円、診断費用3,000円、修理10,000円〜ということで、だいたい2万円前後かかるようです。つまり、10日に1回、2万円がかかります。1ヶ月あたり8万円。
つまり、ハードだけで、初期費用70万円、維持費用月8万円です・・・コストを気にする方にはすでに高いですね。
ところがまだ終わりませんよ。これに加えて、本命の、介護記録ソフトのコストがかかってきます。ソフトの価格は提供会社の価格設定によって様々ですが、ソフトウェアエンジニアの人件費は、一人当たりざっと月100万円です。 この人件費に加えて、サーバの費用が、介護記録ソフトの価格に載ってきます。 例えば、初期費用20万円、維持費用月5万円・・・。
全部合わせて、初期費用90万円、維持費用月13万円ですね。
このように、コストだけをみていくと、介護記録ソフトというのはPCだけでこと足りる他の介護ソフトほどの安さには到底なりません。
では、介護記録ソフトは、コストがかかるから導入できない・・・のでしょうか?
現在、介護記録ソフトの導入が進んでいないのは、みなさま多かれ少なかれ上のような思考経路をたどって、「やっぱり高い」というところで止まってしまっているからではないかと思います。
しかし長年ITの研究教育に関わってきた私からプロとして言わせてもらうと、
大変失礼ながら、その思考経路は不完全です。
と言わざるを得ません。
少し違う考え方をすると、劇的に幸せになれるのに。もっと介護業界を変えられるのに・・・。
コストではなくB/Cです
B/Cというのは、ベネフィットbyコスト、つまりコストあたりの効果が重要なのです。はい、いわゆるコスパというやつですね。コスパという言葉、中学生でも使っています。
そもそも、世の中のITシステムは全て、コストだけで考えればマイナスです。つまり導入しない方が得です。それなのになぜ、世の中ではこれだけITが普及しているのでしょうか。
それは、コストを超えるベネフィット(メリット)があるからです。あえて言いますが、ベネフィットを考えずにコストを語るのは、時間の無駄!です。
そして、ベネフィットを定量化して、かつなるだけ大きくなるようにする、これがコストを語るのと同じくらい重要なことなのです。
きちんと定量化できて、ベネフィット>コストであれば、導入しない理由はないですよね?
では、介護記録システムのベネフィットはどういったことにあるのでしょうか。普段は50万円もらってAIやIoTのコンサルティングをしている私が、特別に無料で回答しましょう!
1. 介護記録時間の削減
これは、システム導入の直接的なベネフィットですね。私たちの実験ですと、1日に約1時間かかっていた介護記録時間が、ITの導入で約30分になり、さらにAIの導入で約20分になりました。10人が勤務している施設だと、約6.7時間の勤務時間または残業時間、つまり約0.8人分の人件費に相当します。0.8人分の人件費、と言えば少なく見積もっても、一月20万円くらいでしょう。これだけで月々の維持コスト13万円を払っても、7万円お釣りが来ます。
2. 業務改善
スタッフがどのように業務をしているのか、業務の可視化ができます。 これを見返せば、 この時間この階が忙しそうだから、別のフロアのスタッフが協力しようとか、相互のチームワークが発揮できるかもしれません。もしかしたら、10人のスタッフを、9人で回せるかもしれません。そこまで減らせなくても、忙しい時間帯を見積もって、その時間だけスタッフを増やすといった対応でいいかもしれません。仮に0.5人分の効率化ができたとすると、月12.5万円のベネフィットです。
他にも、スタッフの勤務スケジュールの調整、出退勤管理など、システムと 連携して様々に活用することで、事務スタッフの業務削減も見込めます。事務スタッフが月のうち2日分楽になるとすると、月2.5万円のベネフィットです。
3. 利用者の満足度向上
介護業界にかかわらず、業務というのは3種類に分かれます。
A) 定期的に決まった業務を行うルーチンタスク、
B) 何かのきっかけで始まるイベントドリブンタスク
C) それ以外の、自発的に行うクリエイティブタスク
介護記録システムをしっかり活用すると、このA-Bをしっかり可視化することができ、それぞれについて利用者の満足度が高まる方向に改善のサイクルを回し始めることができます。
当然ですが、AとBについては不要に時間をかけずに利用者が喜ぶように、上手にケアしつつ、Cについてはなるべく時間をかける方がいいですね。まだまだ、A-Cを明確に区別されていない施設も多いのではないでしょうか。あなたの施設はいかがでしょうか?
このベネフィットですが、計算は難しいですが、これによって例えば月1名の利用者の離脱を防いで、売り上げ30万円、利益率10%だとすると、 月3万円のベネフィットです。
4. 人が育つ
業務を可視化できると言うことは、例えば、チームワークを可視化することもできます。いくつかの施設では、サンクスメッセージといって、お互いに感謝の気持ちを伝えるしくみを取り入れているところがあると思います。サンクスメッセージは、スタッフのエンゲージメント(結びつき)を高めるために有効なのですが、これを介護記録を応用して記録したりすれば、その場で感謝の気持ちを伝えるだけでなく、月ごとの集計や、リアルタイムな集計、または施設間でランキングしたり、といった作業が、全部自動でできるようになります!
このように、使い方を工夫すれば、人を育て、そのスタッフが仕事に生き生きと熱中するような仕組みを作ることができるのです(全ての介護記録システムでこれができるわけではないので、システムにも柔軟性が必要になりますが)。
このような人材マネジメントで、例えば半年に一人の離職が防止できたとしましょう。介護職員一人を採用するのに約60万円のコストがかかるそうですから、月あたり10万円のベネフィットです。
・・・さて、ここまでを集計するといくらになるでしょうか。
コスト: 初期費用90万円、維持費用月13万円
ベネフィット: 記録時間削減20万 +
業務改善12.5万 + 2.5万 +
利用者満足度向上 3万 +
人が育つ 10万 = 48万円
となります。下記に、毎月の積み上げを月ごとに累積していったシミュレーショングラフを載せますが、3ヶ月目にはすでにプラスマイナスでプラスになります。それ以降は、ベネフィットから維持費用を引いた月35万円が毎月プラスとなります。12ヶ月目には、約300.5万円のプラスですね!
・・・これ、中学生が考えても、コスパがいいと思いませんか?
ただ、介護記録システムの記録時間削減だけを見ると、コストを回収するのに、14ヶ月かかっています。これが、ベネフィットを大きくしよう、と考えるかどうかの違いです。
ともあれ、ここまで読んだ皆さんは一つのことに気づかれたかと思います。介護記録システムを効果的に導入していない施設は、年間300万円損失しているのです。
それでも尻込みする人のために
・・・ 分かります。私だって、どちらかと言うと慎重派なので、そんな上手い話はないと思ってしまいます。上記の話は、いろいろな仮定が入っていることは、中学生ではない、介護のプロの皆さんは分かると思います。
その仮定の話をしてもいいのですが、ここではしません。だって私は介護のプロではありません。介護のプロの皆さんに仮定の話を突っ込まれたら、必ずボロが出るか、水掛け論になりますから・・・笑。
ですから、ここで私が提案するのは、
無料でスマホをお貸ししますので、私の主張が間違っていることを証明していただけませんか?
私の主張が間違っていることは証明されても、私に気を遣っていただく必要はありません。それはそれでまた頑張ろう、となりますし、大学の研究者としては、問題がある方が研究しがいがあるのです。もちろん、私の主張が正しければ、皆さんのベネフィットがあるのでそれはそれで良しですね。
お貸しする介護記録アプリは以下のものです。まずは1台を1ヶ月無料でお貸ししますので、使い勝手を確かめたり効果を確かめたりしてみてください。その後複数台試したいと言うことでしたら、月額利用料が必要ですが、いつでも当月分全額返金します。コスト0でベネフィットを体験してみませんか?
以下が借用フォームになります。ご記入後、審査の上スマートフォンを送付いたします。
最後に申し上げますが、お貸し出しするスマホは数に限りがあります。また、私の上記の主張が正しいか間違っているか証明された時点で、新規の貸し出しはストップします。ご興味ある方はとりあえず、ご記入いただけると良いかと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?