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夏の秘策は寒天だしゼリー。

文・撮影/長尾謙一
料理/横田渉

かんてんクック 顆粒(素材のちから第40号より)

この夏、80℃以上の熱湯で溶ける
「かんてんクック 顆粒」を使いこなす。

しっとりと上品な寒天の崩壊感が夏の冷たい麺を演出する

弊誌ではこれまで、ふわっと溶けるような口溶けを持つ「ル・カンテンウルトラ」や、高い粘度を持つ「伊那寒天 大和」など、特徴のある寒天製品をたくさんご紹介してきたが、今回は極めて寒天らしい寒天、「かんてんクック 顆粒」をご紹介したい。

「かんてんクック 顆粒」は、沸騰溶解することなく80℃以上の熱湯に溶ける使いやすい粉末寒天だ。凝固力も安定していてとても使いやすく、寄せものの料理や和菓子、ゼリーなどに広く使われている汎用性の高い粉末寒天だ。やわらかなゼリーが崩れ、しっとりと溶けていく寒天ならではの食感を料理にいかしたい。

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「かんてんクック 顆粒」は沸騰溶解しなくても、80℃以上の熱湯で溶ける使いやすい粉末寒天だ。レシピがあれば誰でも簡単に寒天独特の食感を持つ“寒天だしゼリー”がつくれる。

冷たい麺と寒天だしゼリーの組み合わせ

暑い夏に寒天を使ったスイーツが好まれるように、寒天の食感をいかして夏を楽しむメニューがつくれないだろうか? たとえば、冷たい麺に 〝だし〟や〝つゆ〟を寒天で固めた〝寒天だしゼリー〟を添えてみてはどうだろう。
冷たい麺と〝寒天だしゼリー〟との組み合わせは、まったく新しいメニューというわけではない。冷麺に柚子のゼリーやだしのゼリーなどを添えるメニューは今までにもあったように思うが、それほど注目されなかった。「なぜだろう?」と考え込む前に、とにかく試作して食べてみることにした。

それでは〝すだちそうめん 寒天だしゼリー〟を試作してみよう。
つるつると喉ごしがいい冷たい麺は、夏の涼味だ。これに細かく砕いた冷たい“寒天だしゼリー”をのせてみると、口の中でしっとりと崩れていくゼリーの新たな食感が加わり、見た目もキラキラと涼やかだ。

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まず、〝寒天だしゼリー〟を仕込む。80℃以上の熱湯880gに「かんてんクック 顆粒」6gをダマにならないようにゆっくりと加え混ぜ溶解する。ここに白だし100g、醤油17・5g、みりん10g、日本酒10g、食塩3gを加え混ぜ、容器に移し冷やし固めた。

皿に盛ったそうめんに冷たいつゆをかけ、その上によく冷やした〝寒天だしゼリー〟を砕いてのせ、薄く切ったすだちを敷き詰めた。歯ごたえのある麺と冷たい〝寒天だしゼリー〟のしっとりと上品な崩壊感は絶妙で、すだちのさわやかな香りと酸味がたまらない。まさに夏のメニューだ。それにしても冷たい麺に寒天でつくるゼリーを添えるメニューは、なぜこれまでそれほど注目されなかったのだろう。

砕いた寒天は箸で食べにくいからだろうか? ならば、〝寒天だしゼリー〟を大きく砕けばいいし、ゼリーをすくうスプーンを用意すればいい。もしかしたら仕込みが手間だと考えられたのかもしれない。ならば、それはまったく誤解だと言い切ろう。

もう一品、〝冷やしたぬきそば〟を試作してみる。

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冷たいそばの上に、山芋、キュウリ、なるとを千切りにして飾る。さらにワカメ、揚げ玉、冷やした〝寒天だしゼリー〟をのせ、冷やしたつゆをまわりからそっと流した。サクサクとした揚げ玉の食感と〝寒天だしゼリー〟の食感がおもしろい。その他にも冷やし中華など、広く応用できると思うがいかがだろうか。

まぐろ丼の新たな提供スタイルになるかもしれない

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さらに〝寒天だしゼリー〟をまぐろ丼に応用してみよう。まぐろ丼用のゼリーには、やわらかくとろりとした食感が欲しかったので、冷たい麺用よりも「かんてんクック 顆粒」は控えめに使う。それでは〝寒天だしゼリー〟をつくろう。80℃以上の熱湯790gに「かんてんクック 顆粒」4gを加え混ぜ溶解する。ここに白だし70g、醤油160gを加え混ぜ、容器に移し冷やし固めた。これを大きめのスプーンで薄くすくって、まぐろの切り身とご飯の上にのせ、刻んだ万能ねぎとごまをふった。

いかがだろうか、この 〝寒天だしゼリー〟の艶からまぐろ丼のおいしさが伝わってくるようだ。一緒に食べると、まぐろのみずみずしさが増し喉ごしもいい。温かなご飯に絡めても〝寒天だしゼリー〟は溶けず、染み込まない。まぐろがなくなっても〝寒天だしゼリー〟だけでおいしく食べられた。

肉汁が溢れ出す小籠包餃子

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今度は〝寒天だしゼリー〟を餃子に仕込んでみた。80℃以上の熱湯1000gに「かんてんクック 顆粒」8gを加えて溶解し、鶏ガラスープの素10gを加え混ぜ、容器に移し冷やし固めて餃子用〝寒天だしゼリー〟をつくる。これを小さなダイス状に切り、餃子の具と合わせ餃子の皮で巻き焼いた。「かんてんクック 顆粒」は多めの8gを入れ、小さく切りやすいようにゼリーを強くした。

ジューシーな肉汁に驚いた。溢れ出すとはまさにこのことだ。〝寒天だしゼリー〟が熱で溶け、具の旨みが溶けた油分と上手く合わさっている。まるで小籠包餃子だ。ぜひ試作をお勧めする。

冷たい夏おでんはいかがだろうか

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最後は夏のおでんだ。夏のおでんといっても大根、たまご、がんも、結び昆布、ごぼう巻きなど、いつものおでん種を〝寒天だしゼリー〟で寄せたものだ。夏らしくオクラとミニトマトを加えた。おでん種にしっかりと味がついているため〝寒天だしゼリー〟は冷たい麺用のものより塩分を控えた。〝おでんテリーヌ〟といったところだろうか。冷えたおでん種と〝寒天だしゼリー〟を一緒に食べるとこれがまたおいしい。

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手元にテリーヌ型があったのでそれで寄せたが、使う型や切り方を変えれば店オリジナルの夏のおでんができあがる。潰したコリアンダーシードや米油をふると、さらに夏のおでんがバージョンアップする。

今回は「かんてんクック 顆粒」を〝寒天だしゼリー〟という用途に絞って夏向けのメニューを試作したが、メニューの可能性はこれに留まらない。機会があればその高い汎用性をさらに探りたい。


協力/お問い合わせ:伊那食品工業株式会社

(2021年3月31日発行「素材のちから」第40号掲載記事)

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