立教新座チャペル

課題の供養。


喘ぐように、蝶番がぎしりと鳴った。
光のはしごが、停滞した空間に射した。

歩く。足音を立ててはいけない。
整列した木製の長椅子たちの、ちょうど真ん中に目を付け、すわる。

前方の壇上には、質素な十字架。
頭上を見上げれば、がらんとして虚ろな空間。

ステンドグラスの窓から、うららかな陽の光が、しんしんと、うす暗い静寂を、鮮やかに染める。

時計が進むのを忘れてしまうほどの無音に、呼吸も楽ではない。

不意に、背後で扉が動く音がした。
ギィ…、コツコツ…。

その音は螺旋階段を上り、後頭部のあたりでとまった。
どうやら、紙を広げているらしい。

かすかに、椅子にすわるのを聞いた、瞬間。
その場の空気が、鼓膜が、大きく震えた。

停滞した空間が、進みはじめる。

オルガンの音色が、重たく響く。

わたしと、演奏者しかいない、小さな世界に。



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