手づくりグリーティングカード⑥:インクのことはインクに訊こう
ラバースタンプとクリアスタンプについて、前回まで3回にわたりお話ししました。対照的な特徴が多いふたつのスタンプですが、共通点も、もちろん、あります。
いちばん大きな共通点。
それは、どちらのスタンプもインクがあって初めてスタンプとしての役割を果たすということ。
どんなに見事なスタンプでも、インクなくしてその姿を紙に映すことはできません。インクはスタンプの鏡なのです。
そんな訳で、きょうのテーマは「インク」です。
インク、それともインキ?
そもそもインク、インキ、どちらなのでしょうか。
どちらもきっと英語の ink 、「ク」と「キ」は発音の「揺れ」に違いないと、わたしは考えていたのですが・・・見事に間違っていました。
「インク」は英語の ink、「インキ」のほうはオランダ語の inkt が語源なのだとか。日本の近代印刷術は、江戸時代末期にオランダの印刷技術をもとに発展したのだそうです。
大分県の大野印刷株式会社さんによると、
とてもわかりやすい説明です。
「インキ」は、プロの方の専門用語だったのですね。浸透印で有名なシヤチハタさん(shachihata.co.jp)のウェブサイトでも「インキ」とされています。
そういえば、昭和中期に若き日を過ごしたわたしの両親も、たしかインキと言っていました。
印刷関係者でも何でもないですから、もしかすると年代にも関係しているかもしれません。そのせいかインキはどこか懐かしいレトロな響きがあります。
クラフト用のインク
さて、クラフト用の ink は、インクとインキ、どちらがよいのか。
悩むところですが、先に引用した大野印刷さんの「顔料や染料を含んだもの」という説に従い、ここではインクとしておきます。
インクは、補充用のものを除き、たいていはスポンジなどに染みこませた製品として売られています。その呼び方もさまざま。
スタンプ台に、スタンプパッド、インク台、インクパッド、ただインクとだけすることもできるでしょう。
インクにしてもスタンプ台にしても、長い間生活に溶け込んでいるインク製品なのに、名称が統一されていないのは不思議です。
きっとどう呼んでも通じるからなのでしょうけれど、日本語の先生(もし読んでくださっている方があれば)、教えるのは大変ではないですか。
インクは色で選ばない
今、市場には色とりどりのクラフト用インクがでまわっています。クラフト用インクの種類や、また色の数においては日本は世界でも最も充実した国のひとつだと思います。
クラフターにとってはうれしいかぎりですが、ただその輝きに目を奪われ、色だけでインクを選ぶのは少しばかりデンジャラス。
インクにはいくつかの種類があり、インクを使う素材と合うものと、合わないものがあるからです。
素材から見れば、紙には紙に適したインク、布には布に合うインクがあります。インクと素材には相性があるのです。
「この色、いい!」
と手に取ったら、レジに並ぶ前に、必ずインクに訊いてください。
「わたしの紙に合っている?」
インクの種類
クラフト用のインクは、主な成分である溶剤と着色剤の組み合わせにより、その種類が分かれます。
1. 溶剤:油性、または水性(水溶性)
2. 着色剤:染料、または顔料
例えば、溶剤を油性に、着色剤に顔料を用いれば「油性顔料系」のインクになります。溶剤に溶けるのが染料、溶けないのが顔料で、前者は「ダイ」、後者は「ピグメント」とも呼ばれています。
ここで、改めて、手に持ったインクをじっくり見てください。ラベルのどこかにインクの成分が書いてありませんか。
油性とか、顔料とかの文字はありませんか。それによって選んだインクが用途に合ったものなのかどうかを確かめることができるのです。
次回もインクについて、グリーティングカードづくりに適したインクのことなども含めて、お話ししたいと思います。
※見出し写真のカードのつくり方は、こちらをご覧ください。
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