しんちゃんと青春。


ネタバレ含みます。


「映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園」

いやーよかった。
めちゃくちゃ泣いた。
しんちゃんの映画の中で一番の名作かもしれない。
ていうかそうなってほしい。
個人的には大人帝国よりもよかった。


Twitterで「ミステリ好きでも楽しめる本格ミステリーで面白かった」とか、「すごく青春だった」とかいうツイートを見かけていたから気になっていたけど、予想を遥かに超えてきた。

もともと私はドラえもんしんちゃん系に弱い。家族っぽい台詞があるだけで涙が出る。年なのかなあ。

まず開始5分で泣いた。
しんちゃんが天カス学園に1週間の体験入学に行くことになって、お迎えのバスに乗り込む前にみさえが
「1週間分ね!」と言ってしんちゃんをぎゅうっとハグするシーン。良かったなあ。

①風間くんについて。

そんな訳でかすかべ防衛隊の5人は体験入学して色々な授業を受ける。
この学園には「エリートポイント」というのがあって、「良い行い」をするとポイントが貯まっていく。ポイントをたくさん貯めると天カス学園に入学できることもあるらしいと知って、風間くんは目を輝かせる。「エリート」なんて風間くんが好きそうだよなあと思って観てたんだけど、それだけじゃなかった。
風間くんは優秀なので、どんどんポイントが貯まっていく。でもしんちゃんなんて、当然おしりは出すわ、綺麗な先生にセクハラするわで、どんどんポイントを失っていくし、他の子達もイマイチやる気はないんだけど、「しんのすけやめろよ!」「みんなでポイントを貯めようよ!」って、風間くんがやたらみんなのことを気にするんだよね。風間くんって(言っちゃ悪いけど)自分のポイントが高ければそれでよさそうな性格してるのに、やたら「みんなで」たくさんのポイントを稼ぐことを気にしているから、なんでだろうなあと思っていたんだけど、それが後半で明かされたときにもう、めちゃくちゃに泣いた。

風間くんの家はお金持ちだし塾にも通ってて、小学校はお受験する予定らしい。そうすると当然、小学校に行ったらかすかべ防衛隊のみんなとは違う学校に通うことになる。だから、みんなでポイントを貯めて、「5人」で天カス学園に入学する、そうすればみんなと離れ離れにならずに済むって思ったんだって。

風間くんが天カス学園に入学する直前に書いた手紙がまた良い。僕の友達の4人にはそれぞれいいところがあって、それを「優しさのエリート」「心がエリート」みたいに全員を表現する。そして「この5人で天カス学園に入学したいです」で締め括られる。

ああもう、こんな話されて、とてもじゃないけど涙なしには観られないじゃないか。
普段ツンツンしてて、みんなとはちょっと一線を引いたプライド高めキャラの風間くんが、実はしんちゃん達が大好きで、小学校に行っても離れ離れになりたくなくて…って考える風間くん、愛おしすぎる。
よく考えれば、小学校から私立の学校に通うなんて膨大な学費がかかること、多分絶対全員に出来ることではないけど、そこまで頭が回っていないのは、さすがに幼稚園児らしいところ。はーみんな同じ小学校行ってほしい…。


②コンプレックスの苦悩と昇華
かすかべ防衛隊5人の案内役に、チシオという生徒会長の女の子が出てくる。
この子は陸上選手だったんだけど、あるコンプレックスのせいで走れなくなってしまった。

このコンプレックスとは「走ると変顔になってしまう」というもので、ここはさすがクレヨンしんちゃんらしさというか、恥ずかしそうに話すチシオの様子はちょっと笑えるシーン。
でもこれもよく出来てるなあと思う。他の人にとっては「そんなこと?」と思えるようなことが本人にとっては耐え難いコンプレックスになったりするよね。

そして最後の方のシーンでは、友達を救うためにpコンプレックスを乗り越えて走り出す。それがまた良かった。

「人のことなんか気にしない、誰がなんと言おうと、私は私が大好きだ!」
こう言って走り出すチシオ。めちゃくちゃかっこよかったし涙も出た。人の評価なんか気にするな!自分は自分!ってテーマを織り込んでくるの、現代らしいしすごいなとも思った。


この他にも、経験不足ゆえの恥ずかしい目に遭ったり、後悔したり、好きな人のために無理をしたり、恋をして玉砕したり、ちょっと道を外れてみたり、クラスのカーストだったり…中高生あたりで経験する全ての青春と苦悩が詰め込みながらも、クレヨンしんちゃんらしく、くすっと笑えるシーンももちろんたっぷりある映画だった。最高すぎる。

めちゃくちゃいい映画。
全人類に観てほしい。


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